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其ノニ

美姫が死んだ。交通事故で。
――なんで。
お前は死ぬ必要がなかった。
だって、おれが肩代わりしたから
俺が代わりになった。
”死神”と名乗る人物と契約して。
電話で駆けつけたときには美姫の心臓は止まっていた。
代わりに俺は前みたいに瞬ちゃん、瞬、と当たり前のように名前を呼ばれる。
こんなこと人間は出来ない。
人間なら。
俺は走った。
走って走って走って走って走って走って…走った。
「おい」
そいつに声をかけた。
「やぁ。よくここがわかったな。小僧。」
「小僧って呼ぶな。それはそうと、どういうことだ。」
「と、いうと?」
「お前だろ。美姫を贄にして、俺を生き返らせたの。」
ふん…、と彼は目を細めた。
「知らないぞ。自分はお前としかこの件に関しては関与してない。」
「ならなんで美姫が死んだんだ!」
「小僧が考える通り、たかが人間がこのようなことが出来ぬ。が、」
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