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其ノ一 

交通事故で死んだから。
私の目の前で。
錆びた鉄のような匂いが未だに忘れられない。
私を抱きしめていた温もりが、段々と遠くなっていくのを感じた。
いかないで、瞬ちゃん。
もう一回でもいいから、触れてみたいな、
そんな願い叶えてもらえないのわかっているけど。
「叶えてあげようか?」
不意に、声が聞こえた。
「、わ」
声が漏れてしまった。
つややかな黒い髪
闇色のワンピース。
そして紫色の鎌。
「しにがみ?」
「いかにも。それがしは死神だ!」
「どうして、私のとこに?」
「”歴史を戻す”ためだ。元々、お主は死ぬ運命だったのじゃからな。」
「―え?」
「それを、あんの小僧が肩代わりしおったのだ。」
「だから、わたしを?」
「ああ。」
「お主の願いは叶えてやる。その代わり、お主の魂を某に寄越せ。」
ごくり、とつばを飲んだ。
これで、瞬ちゃんに触れられる。迷いはなかった。


「判った」
私はそう言った。
死神はニヤリと笑った。
「契約完了。ああ、そうだ。某の名は白哉。よろしきくな。」
「うん。」
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