其ノ一 

ミーンミーンと蝉が鳴く。
ちりん、と風鈴が涼やかな音を上げる。
カラン、とグラスに入れた氷が音を立てる。
私が好きな、夏の音だ。
夏は好きだ。おしゃれがいっぱいできるし、寒くない。
なにより、お休みがいっぱいある。
そして――
「よぉ」
「!、瞬」
「美姫大きくなったなー」
からから、と笑う貴方は、いつのまにか小さくなっていた。
瞬。
しゅん。
シュン。
「また、瞬より大きくなっちゃった。」
「…嗚呼」
瞬は6コも上の子。
なのに、私のほうが大きい。
なぜなら、瞬は――。
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