海を仰いで
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翌朝5時にはいつものように目覚めて人の敷地内で申し訳ないが鍛錬を済ませる。いつもながら朝は苦手だけどもう習慣化してしまっているんだなぁ、と休憩中に息を落ち着かせながら汗を拭う。こうしていつまでもゆっくりしていられない、と改めて立ち上がり祖父に習った型や稽古を一通り終えていく。
そろそろ日も登ってきた事だし、とエミリアが手を止めて室内へ戻ろうとするといつの間にか入り口にラスティがいた。
「あ、ごめん。覗くつもりはなかったんだけど、真剣そうだったから見ちゃった。」
「別に隠してた訳じゃないしいいわよ。でも見てても面白くなかったでしょう?」
「そんなことないけど?エミリアがどうして強いのか少しわかったような気がするし。」
「?どういうこと?」
「だって俺少なくとも6時30分にはここにいたけどその時には既に始めてたみたいだし、こうして見てた事に気付けないほど集中してた、ってことだろ?」
休みの日にまで早起きしてあんなに真剣に取り組んでるのに強くないわけがないよ、と言うラスティに少しむず痒くなる。そのまま「邪魔してごめんな」と言うだけ言って去っていったラスティを見送ったエミリアもぼうっとしているわけにもいかない、とシャワーを浴びる為一旦個室へと向かった。
―――
「おはようございます。」
「ニコルはよー」
「こいつ何度声かけても起きん!」
「だって眠いんだから仕方ないだろ~」
「それにも限度があるだろうが!」
シャワーや支度を終えてリビングへ行くと各々も準備を終えて降りてきたところのようだった。誰かに頼まれたようで部屋が隣だったイザークがラスティを起こしに行ったがなかなか起きなかった、と苦言を漏らしている傍でアスランは仕方のないやつだな、と言わんばかりに溜息を零している。
恐らく朝私と会ったあとに部屋に戻って二度寝したのだろう。二度寝から起きるのは大変なので気持ちは物凄くわかるが擁護は出来ない、と見守るしかなかった。
そこへキッチンへ足を向けながらディアッカがとりあえず朝飯にしようぜ、というのでエミリアもキッチンへ入る。
「お、エミリアもおはよ。昨日は寝れたか?」
「うん、ベッドに入ってからすぐ寝ちゃった。」
「それはようございました」
ふざけた調子で返事しながら作業を進めている。どうやらこのまま朝食作りを手伝ってくれるようだった。「朝はどーすんの?」という問いに「今日はフレンチトーストとフルーツヨーグルトボウル」といえば「いいね、朝からがっつりしてて。」と嬉しそうだ。
みんなどこか寝ぼけた様子でリビングでこの後の話や試験の話をしている中ささっと朝食を作ってゆく。フルーツはカットして別に盛り合わせたので好きなものが入れられるようにし、フレンチトーストも甘い味付けにはせずトッピングやシロップで好みの味に出来るようにした。
それらを更に盛り付けてダイニングテーブルへ持ち寄ると匂いにつられて席に着いていく。みんな席について食べだすと先ほどまでの寝ぼけ眼が嘘のように開かれて食べ進んでいくラスティに「慌てて食べると詰まらせますよ」とニコルが声を掛けるのであった。
「朝からきっちりご飯食べたの久しぶりかも!」
「どういうこと?」
「朝ギリギリまで寝ちゃうからさ~」
アハハ、と気にした様子でもなく告げられて朝のイザークに怒られたことは彼には全く気にならないらしい。逆にその精神が凄い、と感心してしまう。みんなが食べ終えると皿を片付け始めたニコルが「洗い物はするので座っていていいですよ」と言ってくれたので礼を言い、昨晩話したように午前中は勉強するべく個室から筆記用具や教材を持ちよりリビングの席に着く。教材を取りに行ったメンバーも順々に席へと着く中、アスランが私の右隣に座った。
「お前もわからないところがあるんだろう?」
ラスティのついでだと言わんばかりにアスランがこちらを見る。そもそも今回の試験勉強に参加した理由はエミリアも教えてもらうためだった。苦手分野はどうしても頭に入りづらいもので、何度か教科書の解説を読んでみても頭を傾げるものもあった。そのため今回その苦手分野を無くすためにも勉強合宿へ賛成、参加したのだ。
しかし、それではラスティを見ているアスランはいつ勉強するのか、そう思い断ろうとすると横反対側から声がした。
「問題ない。この脳筋には俺が教えてやる。」
お前はそっちでも見てろ、と言いたげな目でイザークがエミリアの左隣へ着席した。
「待って、脳筋って誰の事言ってるの」
「お前以外におらんだろう」
その頭にくる上から目線の物言いにムッとするものの、自身より成績が良い事は事実で何も言えない。それに勉強を教わりに来たのだから自分のプライドなどの為に成績を落とすわけにもいかない。
「…わかった。ちゃんと聞いたら教えてよね。」
「…それなりの聞き方をしたなら教えてやらんでもない。」
自分もそうだがなぜこの男はこうも素直に「いいよ」等と言えないのだろうか、と思いながらもイザークの性格からしていいよなんて単語が聞けるはずもないので諦めて教材を開く。
右隣では一連の流れでお互い教える事に同意していることに驚いているアスランが「なぁ先生、これaで合ってる?」と生徒に肩を揺すられているのだった。
「ねぇ、これ前回の試験で答えbだった問題だけどイマイチ納得いかないのよね」
「作戦時に大人数で侵入するよりは少人数の方がバレにくいし行動しやすいだろう。それを考えて相手も警備を配置するから…」
「あーだからbってこと?でも突っ込んだ方が鎮圧速くない?」
「それは作戦メンバーが全員お前ならな!俺たちまで殺す気か!」
「そんなこと言ってないでしょ。自分の身は自分で守りなさい。それに本当に不測の事態が起きたとしたら私が守ってあげるわよ」
「お前に守られるほど弱くないわ!」
数分おきにエミリアが説明を求めればあれこれとイザークが答えるが考え方の違いからかこうして何度も意見がぶつかっている。イザークはあくまでも模範解答を伝えた上で解説するがエミリアの判断ではこっちの方が良いのでは、と意見が割れてしまうのだ。その度に言い合いをしては勉強が進まない、と言われてエミリアも渋々従う、という流れだ。
アスランは横目に相変わらずエミリアは強情なところがあるな、と内心苦笑いを浮かべるのであった。
「あーもう、全然進まない!わかるんだけど納得できない!」
「作戦に納得できないならお前は戦地で死ぬぞ」
「絶対死なない」
「戦場で絶対なんてない、そんな甘ったれたこと言うな。」
「絶対!…死なないわよ、私は。」
そう言ってがたっと席を立ったエミリアの顔は今まで見た中で一番真剣な顔つきをしていて、周りに座っていたみんなもその雰囲気に思わずペンを止めた。イザークも流石にいつもの調子で怒ることも無かったが何故そう言ったのか図ることが出来ずにいた。
当の本人はキッチンへ向かいながら今後の事を思い返していた。
イザークに言われて改めて感じたが私達はこれから戦争に行くために学んでいる、死なないために学んでいる。それだというのに作戦の為に犠牲が出ることもある。
しかしエミリアは犠牲を出さないために戦いへと行くのだ。自らの危険に周りを巻き込むつもりはないし、先ほどのような作戦ならば誰かを死なせる作戦だとわかっていて実行するつもりは毛頭ない。
そもそも先の事をよく考えなければ、と思ってはいたのだ。少なくともこれから起きるであろう出来事に自分が関与することで生前に見たあのストーリー通りには進まないかもしれない。何重にも作戦や対処方法を考えておかなければ…。
そう考えながらもうすぐお昼になる頃合いだったのでそのまま飲み物をグラスに注いで飲み干すと調理を始めるべく冷蔵庫を開けた。
すると微かに冷蔵庫の扉の向こうに人影が見えたので扉越しに覗くとそこにはアスランがいた。
「…お前が何をしたいかわかっているつもりでいた。でもそれはほんの一部だったのかもしれない。だがそれでもお前が危険を顧みず誰かを助けるために死ぬのだけは勘弁してくれ。俺がお前を大事に思うようにもうアイツらにとってもお前は大事な存在なんだよ。」
「…そうだね、わかってるよ。だからこそ死ねないし死なせるわけにはいかない、誰一人。」
「俺にはたまにエミリアが分からなくなる時がある、お前は今何を見てる?何を知っている?」
「何もないよ、誰にも死んでほしくない、それだけ。」
「…お前は昔から強情なんだよ、もっと周りを頼れ。いいな、何かあったら必ず言うんだぞ。」
「アスランこそそればっか。同い年なのにお兄ちゃん気取りよね。」
俺はお前を心配して!という言葉に被せてハイハイわかったからご飯作り手伝って、と言えば仕方ないと口を閉ざしてキッチンへ並んだ。聞いても答えないエミリアにアスランはそれ以上無理に問うことはなかった。
―――
「はい、お昼できたよー」
「わぁ、シチューですね。ありがとうございます。」
「リクエストしてたもんな」
「はい、嬉しいです。」
食卓へ皿を持っていくとニコルが声を上げて喜ぶ。今日のお昼ご飯はニコルのリクエストだったシチューにした。煮込んでいる間に作ったコールスローサラダもある。
それらを昨日同様に平らげていく姿にエミリアは男の子は本当良く食べるなぁ、と母親のような気分で見守った。数分後にはぺろりとカラになった皿が並ぶ中ディアッカが放つ。
「んじゃ予定通り午後は対人訓練しようと思うから着替えて来いよ。洗い物は今日俺やるし」
「いいの?じゃあさっさと着替えてくるね。」
他のみんなにも見送られて着替えるため個室へ向かう。今回持ってきた荷物の中で唯一嵩張る荷物がこの練習着だった。半袖のインナーに長ズボンとアーミーブーツを鞄から出して着替えていく。その他にタオルも出してチェストの上に置く。
今日は授業じゃないから簡単で良いかな、と髪をポニーテールに結い上げる。ブーツの紐も堅く結び直してつま先を確認するように数回床に打ち付ける。
よし、とタオルを持ちリビングへ行けばディアッカ以外は全員着替え終えて降りて来ていた。
「遅いぞ」
「女性の着替えにケチ付けないでよね」
「今日エミリアポニーテールなんだな、俺そっちの方が好きー」
「そう?別段珍しくもないけど」
「なんかいつもはかっちりしててお堅い感じするからそっちの方がエミリア可愛いよ」
「そ、そう、ありがとね」
突然ラスティに言われたことでつい照れると「あ、エミリアが照れた!めずらし!」と覗き込まれたのでうるさい!と頭を押しのけて外へと出る。そこへ着替え終えたディアッカも来たので揃ったな、と続いてゾロゾロ出てくる。
「それで、どーすんの?ただの組手しても意味ある?」
「とりあえず考えたんだけど誰かが教えるにはやっぱり2人1組になるのが一番だと思うのよね。対人苦手な人と得意な人がペア組むのがいいと思うんだけど。」
「そうだな、少なくともエミリアは教える側だ。」
「あ、僕教わる側になりたいです。どうしても対人は苦手で…」
ニコルは優しいからな、と納得してると横からディアッカがこないだ俺倒したくせに~と茶化す。話し合った結果成績順にやるべきだという話になったのでエミリア、アスラン、イザークが教える側に、ニコル、ディアッカ、ラスティが教わる側になった。ペアは上と下が一緒になるようにとエミリア&ラスティ、アスラン&ディアッカ、イザーク&ニコルのペアになり各々組手を始めた。
「じゃ、エミリア先生よろしくお願いします!」
「こちらこそよろしく。一応先に聞くけどラスティ対人戦何か苦手とか上達させたいこととかある?」
「んーなんか俺が攻めてもうまく決まらないんだよな。」
「あぁアレね、理由教えてあげられるけど実践する?」
「する!」
即答で返ってきた返事とともにすぐさま構えるラスティにエミリアも軽く拳を握る。彼の言う“うまく決まらない”には訳がある。それを言うよりも体感した方が早い、とラスティ本人もわかっているようですぐさま摸擬戦が始まる。
様子を見ているエミリアに間髪入れずにラスティが一発入れてくる。何でもないようにいなすと次の一発を入れてくる。拳や足、あれこれと出してくるが一向に決まる様子がなく、ラスティが少し息を乱しながら「なんで…?」と言ったところでエミリアが話し出した。
「ラスティは2つあるかな、それも単純なことが。」
「なに?」
「まず動きが単調すぎ。殴って当たらないから蹴ってみる、って感じが分かり易すぎる。あとは目線ね。次どこ攻撃しようか探してるのは良い事なんだけどそれが目線として分かり易すぎ。敵にまで次どこに攻撃します、って言ってる感じよ、それ。」
「え、そんなに!?」
そりゃ決まらねぇわ、と言うが落ち込んでいる様子はない。ただでは折れないところがラスティの良いところだ。「こういう時には脇締めて…」等と一手一手指示したり目線の配り方なども改めて教えていった。すると呑み込みが早いのとやはり動くのは性に合っているのかその身軽さが板についてきた。
あれこれと伝えたが吸収力が良く、今教えたことでもやってみたら出来るのだ。何年もかけて覚えた動きでもこうもあっさり出来るようになられると少し悲しいような寂しい気持ちにもなるが急激な成長に喜んでいることも確かだった。
やった、できた!とまた新しい動きが出来るようになり喜ぶ姿はさながら犬のようだな、と本人には言えないが微笑ましく見やる。しかしこうも順調にことが進むとラスティは調子に乗りやすいので出てきた鼻先を砕くように次の摸擬戦で杭を打っておいた。
「うあー流石にエミリアにはまだ勝てねぇわ」
「当然でしょ。私が教えた動きで私が負けるはずないもの。」
「それもそうだ」
んじゃもう一戦!と起き上がり頼んできたところで横から声がかかった。
「おい、そろそろ相手を変えないか?こいつらも下手なわけではないしいろんな人物と練習を積めた方がお互いの利だ。」
「そうだねアスラン。じゃあ今のペアバラけよっか。」
そういえばラスティからええー先生!と声がかかるがそんなラスティにイザークが「今度は俺がしばいてやる」と何やらイラついた様子で首根っこ掴んで連れて行ってしまった。何かは知らないが機嫌が悪い時のイザークに絡まれたらご愁傷様としか言えない。
可哀想に思いながらもそのまま2人を見送るとディアッカからお誘いがきた。入学してすぐのナイフ戦の授業後に“手取り足取り教える”ことを約束していたのを思い出し承諾すると、それを見ていたアスランとニコルもお互いペアを組むことにしたようだ。
またバラけて組手を始めるとディアッカはアスランから何かを得たのか今までの動きとは違い、一発ずつ確実に仕留めてくるように重い一撃をするようになった。
「…ちゃんと考えたのね。アスランから教えてもらった?」
「まぁね、俺も負けっぱなしは性に合わないから、なっ」
体重のかかった重い一撃に片手ではいなしたり庇いきれない、と両腕でカバーすると足をかけられたと同時に前に出していた両腕毎押さえつけるようにして地面へと倒された。
「へへっ、一本もーらい」
「やるじゃない、私にパワー勝負かけるのは正解よ。流石に経験値や技術では勝ってても筋肉量じゃ男子には勝てないからね。」
「そーいうこと。ま、アスランは倒せなかったけどね。」
「口煩い母親みたいだけどあぁ見えて男だから、彼も。」
「力だけなら変わんねぇんだけどな。…ま、こっからの景色が拝めたのもアスラン様様ってところかな。」
そういって上から馬乗りになった状態でにんまりするディアッカにこいつは…と息を零しそうになりながらも「そういうのは私以外にやって」と言えばはいはい冗談ですよ、と言われる。隙あり、と言わんばかりに顎めがけて思い切り頭突きをくらわして両腕を抑える手が離れたところを片腕のみ掴む。両者の体の間に足を挟み、それを起点にして頭上へ腕を振り上げると同時にディアッカを一気に蹴り飛ばす。
思わぬ攻撃に吹き飛ばされて地面に転がるディアッカにすぐさま寝技をかければ「ギブギブ!!」と声が上がるので仕方なし、と放してやる。
「あーしんど。やっぱエミリア攻略すんのは簡単じゃねぇわ」
「安っぽい女に見えたならごめんなさいね」
起き上がろうとするディアッカに手を貸してやり、立たせると「まぁ下から見るのも悪くなかったけどな」なんてまだ言っていたので横っ腹を小突いてやればうげっ、とうめき声と共に腹を抑える。その姿を見ながら先ほどまでのやり取りを解説しつつ技の掛け方やタイミングが良かったことも褒めておく。
ディアッカはガタイも良いし高身長だ。そこを活かすべきだと思い、力の込め方や的となる身体が大きい分狙われるので躱し方や分散させる方法などを伝えていく。時折「そんなこと考えながら戦ってんの…?」と若干引き気味の声がしたがコーディネーターの頭の回転の速さなら問題もないだろう、と「やれるかどうかじゃなくてやるのよ」と言えば気の抜けた返事が聞こえるのだった。
数分後休憩を挟んだのちにもう一戦やるか、という時にニコルが話しかけてきた。
「お疲れ様です。良かったら僕もエミリアと一戦交えたいのですが」
「ニコル大丈夫か?こいつこんな見た目してるけど凄い力あるからな」
「ディアッカの夕飯抜きね」
悪かったって、冗談だよ、という声を後ろ手に聞きながらニコルに「行きましょ」と腕を掴んで連れていく。残されたディアッカはラスティの「誰かこの鬼から助けてくれよー!」という弱音に仕方ないな、と助けに足を向けた。
やりとりに笑いながらもニコルの話を聞く。話を聞く限りどうやら力不足を感じているようだった。自らも先ほど言ったが男女差で力負けしてしまうのはわかるがニコルは男だ。やはり普段口に出さないが悔しい部分もあるのだろう。
そこで今の小柄なニコルの体型を活かす方法、そして筋力トレーニングを教えた。部屋にいる時には飲み物の入ったボトルをダンベル代わりにしてるよ、と言えば部屋でトレーニングしているんですか!?と驚かれた。
出来ることしないとね、と答えると「前から気になっていたんですが…」と聞かれた。
「エミリアはどうしてこのアカデミーに?それもパイロット科なんて…」
「みんなに言われたよ、それ」
そう笑えば「すみません、言いたくなければ答えていただかなくても…」と言うので続ける。
「私ね、母が死んだの。こないだのユニウス・セブンで。だからってわけではないんだけどそれがキッカケだったのも事実で、私は誰かを守るために今いるの。世界中の人を、なんて大口は言えないけど少なくともプラントのみんなや家族や仲間を守りたいの。」
こんな性格だからじっとしてられなくて、と言えばそれ以上深くは聞かずそうですね、とだけ言って聞いてくれた。
「これ他の人に話したらダメだからね?」
気使われても困るし、と言えばわかりました、秘密にしておきますねと言ってくれる。そう話がキリ良く終わったところで遠くでやりあうアスランとイザークが見えた。
今回もアスランがなんだかんだ上手のようだがイザークも負けていない。勝ったり負けたりを繰り返している2人は本当に良いライバルだな、なんて微笑ましく思うものの、本人たちからすればその関係は少し違うのだろう。
そのうち結果が出るだろうことはわかっていたのといい時間だったので先に夕飯作りの為にエミリアは抜けることにした。ニコルに先に抜けてお風呂へ行くと伝えれば二つ返事で答えてくれた。
ニコルに見送られてお風呂へ向かい、砂埃にまみれた体や髪を洗っていく。そのうち他のみんなも来るだろうとお風呂は早々に済ませてキッチンで作業を始める。すると思った通りキッチンへ真っ先に飲み物を取りに来たラスティにせめて手を洗ってくるように言って追い払う。
練習が終わった後だというのに元気だな、とその姿を見送る。さて、今日はみんな朝から頑張ったからハンバーグにしよう。そう決めてエミリアは調理へと戻った。
ー手加減しませんー