プロローグ(過去編)
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思わず出たその名に反応したのは、呼ばれた本人と軍人の二人。素早く反応したフリングス将軍が剣を抜き、その刀身を私の首筋に当てた。それに俊哉は立ち上がるが、私が実質の人質状態だからかフリングス将軍の一睨みで動かなくなった。
一瞬で変化した状態に半分パニックになっていると、ピオニー陛下が動いた。ゆっくりと、確実に。その表情は一片の暖かみも親しみもなく、為政者としての彼の人だった。
机を迂回して私の目の前に立った彼は、フリングス将軍に剣を引くように指示したあと真っ直ぐ私を見た。彼から発せられるプレッシャーに、萎縮してしまう心をなんとか奮い立たせて顔を上げた。
「何故、俺を陛下と呼んだ?皇族と知っているのは親父殿と姉兄達と軍の将軍クラス、そして俺の護衛であるアスランのみの筈だが」
「え?そんな、まさか」
皇族なのに、一握りの人しか知らない真実。私達が知っているマルクト帝国の内情とは全く違っている。
「俺は今国内でも皇族としては認知されていない。ただアスランの屋敷に居候している一般人として通っている。王位継承権なんてあってないようなものだからな、隠された皇子ってのは知られてはいるがそれが俺とは関係者以外誰も知らん。その即位する可能性が殆どない俺を、何故お前は陛下と呼んだ?」
ほぼ完全に隠されているらしい真実を、ただの一般人にしか見えない人物が言い当ててしまった。だからこの二人は警戒しているのだろう。どうにか説明しようと口を開いたところで、ふと思った。
それを確認しようと、開けた口を説明ではなく質疑する為に動かした。
「今って、何年?」
「なに?」
「今は、何年何デーカンですか!?」
殆ど悲鳴のようになってしまったその問いに、訝しげに私を見ながらも陛下が答えてくれた。
「ND2010のレムデーカンだが」
それはゲームの本編が始まる筈の日付から、七年も遡っていた。