プロローグ(過去編)
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あれから歩き続けること五時間。時折獣らしきものを見かけては隠れ、見かけては隠れの繰り返しをして漸く道らしい道に出た。
「さて、どっちの方向に行く?」
「うーん、人がいればいいのになー。よし、勘でこっち!」
「勘かよ。まあ今のとこそれしかねーな」
そのまま道なりに進むこと一時間。遠目に建物らしきものが見えてきた。
「あ、街かな?」
「だろうな。いい加減疲れたぞ」
「はよ行こ」
「おう」
早く休みたい一心でひたすら街へと進む。その街に近付くにつれ水音が聞こえてきた。滴るような音ではない。しかし雨は降っていない。とすると、なんだ?
不思議に思いつつも街に近付く。が、街の外観が見えてくるにつれ嫌な予感がしてきた。
「………ねえ、街全体が青いって日本にあったっけ?」
「………海外ならありうるが、日本にあるなんて話は聞いたことないな」
「まさか外国来ちゃった?」
「夢遊病者じゃあるまいに。そもそも俺らパスポートも持ってないんじゃね」
言われてはたと気付く。パスポートの発行なんてしたことないし、そもそも両親も持っていない。新婚旅行は国内だったらしいし、覚えている範囲で国外に行ったという話もない。
「何処の国なのかわかればいいけど」
「全く知らん国だったら日本大使館の場所だけでも聞こうぜ」
「困ったときの大使館(笑)」
本当なら笑い事ではないのだけれど、そうでもしないと力が抜けそうなのだ。こんな不思議現象、普通ならあり得ないから。
そのまま進む道すがら、所持金がないことに気付く。盗られるものもないなというポジティブ思考に無理矢理変換し、歩き続けた。
そうして街の入り口に立ったときだった。
「………うそ」
「そんな、まさかここは………」
二人して絶句し、呆然と立ち尽くす。水が街中を流れ青の色に統一された街並みは、訪れたことはなかったが見覚えはあった。だってこの街は、この風景は。
「………グランコクマ………?」
現実には存在し得ない、ゲームの中の街だった。
呆然と立ち尽くす私達は、街中からこちらを窺う視線に気付かなかった。