番外編
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「よく戻った!瑠璃!俊哉!」
私室に入った瞬間、そんな声が聞こえたかと思うと何かに抱き締められた。いや、何かって言うのも変だけども。
この部屋にいるのは陛下かアスランか、世話役のメイドぐらいしかいないし。メイドはさっき出てったし、真面目なアスランが今居る確率は低い。よって陛下しかいない。
「へーか、へーか。いきできない」
「ん?おお、すまん」
「ふはっ」
陛下の腕をタップしてギブの合図を送りつつ降参宣言すれば、やっと気付いてくれた陛下が腕の力を緩めてくれた。やっと呼吸を確保することができたので、思う存分酸素を取り込む為に陛下の胸板から顔を横に背け、深く深呼吸をする。時折酸素の取り込みすぎで噎せる私の背中を、抱き締めた状態のまま擦るので離せばいいのにとも思っていた。
そうしてやっと落ち着いてきた頃、大丈夫かと陛下直々に確認された後身体を離してもらえた。流石に関係上は兄と言えど、男女がいつまでもくっついていることは問題になると思ってくれたのだろう。ちょっと気まずそうに謝られた。
「それで、私達に何か用でもあるのですか?」
「ん?ああそうなんだよ、大変なことになった」
「「??」」
尋ねた瞬間、再び慌て出す陛下に今度こそ先に落ち着かせた。扉開けた瞬間にどーんだったから、さっきよりは早めに収束してくれたけど。
そこで先程扉の前に出くわしたメイド三姉妹が、ノックの後に許可を取って入室し、お茶の用意をてきぱきとこなしていく。陛下はそれを暫く眺めていたが、不意に私達の方に向き直った。
「お前達、今度はいつまで滞在する?」
「私の書類と、瑠璃・俊哉の書類を捌ききった後のことなので、日数はなんとも。少なくとも二・三日ぐらいは必要でしょうね」
「充分だ」
ジェイドの返答に満足そうに頷き、私と俊哉に笑顔を向けた。その笑顔は無邪気というよりは。
「………な、なんでしょうか?」
「い、嫌な予感しかしない」
身震いし後ずさる私達の様子は視界に入っているだろうに、全く頓着した様子もなく、それどころか笑みがますます深くなっていく。それに比例して嫌な予感どころか悪寒までするものだから、俊哉と共に扉まで後退した。
「二人とも喜べ。社交界デビューだ」
極限まで深められた笑みと共に放たれた言葉に、私や俊哉のみならずルーク達まで硬直させた。
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