外殻大地編 3
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「兄様!」
「ん?アリエッタ?」
「どうしたんだ?」
少し離れた場所にいたアリエッタが、こちらに走ってきた。普段抱いている筈のぬいぐるみがない。不思議に思い剣を腰に挿した。喜色満面の表情だから、理由は何となくわかる。
「ウィンが目覚めたか?」
「うん!でもお腹減ってないから、ご飯要らないって」
心配そうにしょんぼりしたアリエッタは傍まで来ると、泣きそうな表情で俺を見上げた。
「まあ、そうなるだろうな。仕方ねぇ、俺が作るか」
「え、フレイが作るの?」
「大丈夫かよ?」
「まあ一人旅は長かったし、ウィンと一緒のときでも交代で当番してたからな。周りの仲間には舌が肥えた奴等ばっかだったから、文句言われ続けて試行錯誤続けて、なにも言われなくなるまで長かったよ」
ファーズとかファーズとかシンクとかシンクとか陛下とか。ファーズや陛下はともかく、何でシンクまでなるんだよ。ファーズの影響か?
「とりあえずウィンでも食べれる病人食作らなきゃな。ただの粥じゃ食べないから、卵加えて野菜切り刻むかな」
「手伝う、です」
「いや、アリエッタはウィンの傍に。俺の代わりを引続き頼めるか?」
「はい!」
距離は離してあるとはいえ、周囲には仲間と呼べる人間が少ないと万が一の事態の時対処の仕方を知る人間が少ないということになるので、大惨事になりかねないのは回避したい。
「俺は手が離せなくなる。いいか、異変が起きたらすぐに叫べ。俺を呼べ。あいつの制御が及ばなくなる前に」
「はい、です………!」
少し強張った表情でウィンの傍に駆け戻るアリエッタを見送った後、俺も駆け出した。
「悪い二人とも、ウィンの看病に戻る」
「お、俺も行く!」
「んじゃ、俺も行きますか」
慌てたようなルークの声に続き、ガイも戻ることを決めたらしく剣を納めた。そのまま俺に続いてきた二人の気配を感じながら、瑠璃の傍を過ぎジェイド達のところに向かった。ルークとガイは瑠璃の傍で立ち止まったらしく着いてくる気配はなかった。
「悪い、火を貸してもらえるか?」
「どうしたの?」
「ウィンが目覚めたらしいんだが、食事を口にしたくないらしい。けれど流石に何も食わずってのは身体に悪いから、粥でも作ろうと思って」
「あら、そうなの?」
そう言ってティアが食料を用意してくれた。ライスはもちろん、俺が頼んだ卵と野菜を少し。今回使用するのは人参のみ。他にも野菜はあるが、流石にあまり量が多すぎたら食べきれない。
人参は固いから、先に刻んで細かくしたあとライスと一緒に煮る。途中で塩を少し加え、完成間近に卵を落とし、軽くかき混ぜて終わり。シンプル。
あとは少し煮立たせて器に盛るだけ。終わるまでに目を覚まさないだろうか。あまり煮立たせても焦げる危険性があるし、固くなりそうなので長時間は避けたい。