外殻大地編 2
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「六神将の仲間なんですか?」
ほーら来たよ、こんちくしょう。
セントビナーの門を潜った瞬間、ジェイドの殺気を含んだ視線を浴びることになった。フードで多少軽減されている筈なんだけど、何この殺気。このまま死ぬんじゃね?
「六神将とは顔見知りではあるけれど、六人全員と仲間な訳じゃない」
「どういうこと?教官やラルゴがいなくなった後の話を、あの二人は関与していないということ?」
「………まあ遅かれ早かれ気付くことだけどね、あの三人は私の事情も正体も全て知っている。私が信頼し、そして彼らもそれに応えてくれた。その時点で彼らはあんたらより優先順位は上だ」
暗にあの三人を馬鹿にするなと言えば、殺気が増えた。ガイもか。面倒臭くなったな。
「あんたらの態度がそれのままなら、私だってあんたらを信頼して全てを話す気にはなれない。私もフレイも、そう軽々しく口にしていい立場の人間じゃないんだ」
「なるほど、そうやってはぐらかすつもりですか」
明らかに苛つかせて口を割らせようとするジェイドに、流石に頭に血が上りそうになる。しかしそれでは駄目なのだ。そうなってしまったら、力が暴走する。ここ一帯が消滅してしまう。
「口を割らせようとするなら、私は本気であんたらの目の前から消えるからな。こんな爆弾抱えたままキムラスカに行こうとするなんて、戦争吹っ掛けるようなものだからな」
「………爆弾?いえそれよりも、私から逃げることは難しいと言ってませんでしたか?」
「言ったよ。難しいとは言ったけど、できないとは言ってない」
難しくもないけれど。そんなこと言えば、完全に嘗めた発言になるから控えておく。自信過剰な奴程、厄介なものはない。
「さてフレイ探さないとな。あの野郎待ち合わせ場所にいやがらねぇし」
「言葉が悪くなってんぞウィン」
「ルークも悪いじゃんか」
「元からだ」
「私も元からだ」
その場からすたすた歩き出す。あのまま場に留まれば街に出入りする人達の迷惑になるし、私の精神衛生上ジェイドの言葉は避けるべきものだ。力が暴走しかねない。
先行する私達の後ろで街の子供に話しかけられていたけれど、アレだな、死霊遣い(ネクロマンサー)に生き返らせてもらうって話だろ。そんなことは不可能なのに。
ソイルの樹に近付くと、本来の待ち合わせ場所であった大樹の根本のところに白い便箋があるのが見えた。そこそこの大きさの石で押さえてあるからか、流しで見ると見付けづらい。
石をどかして便箋を開ける。そこには。
「セントビナーの基地に呼ばれたから行ってくるー?なんでやねん」
日本語で書かれたそれはやっぱりという内容だった。いや理由はわかるけども。
仕方ない、行くか。
ルークに内容を見られないよう、素早くポーチの中に手紙を突っ込む。燃やさなきゃいけないが、街中で術を使うのはまずい。後でやろう。
「フレイがマルクト軍の基地に呼ばれたらしいから、基地に行くよー」
「え、もういなかったらどうすんだよ?」
「いなかったらあの便箋の内容とは違うものが置かれてる筈だから、まだいるよ」
そういうところはキチンとさせているから、多分大丈夫………な筈。若干不安になりつつも、ソイルの樹から門の方に戻る。先程子供に話しかけられていたところで立ち止まっていたジェイド達にも便箋の内容を話して、六人で基地へと向かった。
「何やってんだてめぇは」
「いてっ」
マクガヴァン様と話し込んでいたフード付きのマントを羽織った人物の頭を叩く。ジェイド達は入り口付近に置き去り。とは言え部屋の中だから別に問題はないだろう。
「………あれ、ウィン?」
「なんでマクガヴァン様と話し込んでるんだお前」
「ウィンか。丁度いい。お主らに「ストップマクガヴァン様。依頼は現在受けれません」何故じゃ?」
叩かれた頭を擦りながら振り向く俊哉の向こうで、マクガヴァン様が表情に喜色を浮かべながら、恐らく依頼をしようとしているのを即座に遮る。
きょとりとした表情で放たれた言葉に、マクガヴァン様から入り口が見えるように身を引く。そこに佇む高身長の軍服姿の男性を見付けた瞬間。
「おお、ジェイド坊やではないか」
この発言。
マクガヴァン様の発言に、噴き出すのをやっとの思いで堪える。やっぱり三十代半ばの人に、坊や呼ばわりは笑えて仕方がない。
笑いを堪えながら俊哉のマントを引いて移動させる。ここから先はジェイドに任せれば進むからだ。
「お久しぶりですね、マクガヴァン元帥」
「わしはもう引退した身じゃ、そんな風に呼んでくれるな。そろそろ昇進を受ける気は出たかね?お前さんの実力なら、その若さで大将にまでいけるだろうに」
「どうでしょうねぇ。大佐で充分だと思っていますが」
いけしゃあしゃあと謙遜しているジェイドに、思わず半眼になる。見えないだろうけども。
何が充分だ、陛下のお守りをアスランに押し付けたいだけだろ。
「ジェイドって偉かったのか?」
「そうみたいだな」
「大佐という階級は軍の中でも中の上。軍の中では階級持ちは少ないから、そこそこかな。大将は神託の盾(オラクル)騎士団で言えばヴァン謡将と同じぐらいじゃないかな」
「そんなにスゲーの!?」
私の補足に仰天したルークが驚く中、マクガヴァン様とジェイドの話は続く。
「お前さんは陛下の幼馴染みだろう。陛下に頼んで、神託の盾(オラクル)騎士団をなんとかできんか?」
「彼らの狙いは私達です。それに既に主力は撤退しているので、完全撤退もそう時間はかからないでしょう」
「神託の盾(オラクル)の狙いはお主らじゃと?どういうことじゃ?」
「陛下の勅命なので、他言無用なのです。すみません」
そこまで説明して初めて、グレン将軍が口を開いた。咳払いで会話を止めつつ、訪れた理由を聞いてくる。
「失礼。神託の盾(オラクル)の導師守護役(フォンマスターガーディアン)から手紙が届いてませんか?」
「あれですか。失礼ながら中身を確認させてもらいました」
「結構ですよ。見られて困ることは、書いていない筈ですから」
グレン将軍から手渡された手紙を読み進めるジェイドだが、視線が半分ぐらいのところで止まった。訝しむルークに手紙を渡すジェイドの表情は、張り付けたような爽やかな笑み。常人なら寒気がするようなもので。
………あの目が滑る内容に呆れたのかな。
その手紙を受け取ったルークも、最後まで読んで目が半眼になった。ガイがからかうが、私は内容に突っ込みたかった。
「(イオンはついでか。職務怠慢もいいとこだな)」
このネタをアリエッタ辺りに言えば、飛んでくるだろうな。シンクの兄弟であるイオンを蔑ろにしているんだ、この旅に着いてくると言うに決まってる。あの子の方がよっぽど優れた導師守護役(フォンマスターガーディアン)だった。それを私はずっと見てきたからよく理解している。
手紙の中にあった第二地点………カイツールに向かう為、部屋を退出する。勿論フレイも引き摺って。
マクガヴァン様にはまた来いと言われたが、グレン将軍には睨まれた。五年経つのにまだ怪しんでるのかあの人は。