外殻大地編 2
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てくてくと門の方に寄りながら、ルーク達と出会ってから今まで頑なに外さなかったフードを外す。距離を離したし後ろにいるから、ルーク達には顔までは見えないだろう。
高を括って、そのまま六神将に近付く。その間にも彼らの話は進んでいった。
「エンゲーブとセントビナーの兵は撤退させる」
「しかし!」
「奴等はカイツールで国境を越えるしかない。それにアンタは死霊遣いに殺されかけたんだ。大人しくしててよね。このまま駐留すれば、外交問題になりかねないし」
ディストを除け者に進む会話に、少し怒ったらしく声を荒げる。
「おい、無視するな!」
「カイツールでどう待ち受けるか………ね。一度タルタロスに戻りましょう」
だが努力虚しく、誰もディストを構う様子はなかった。可哀想だねー。
「姉さーん!」
「む?………ウィン、か?」
最後の距離を駆け足にしながらリグレットを呼んだ。それに気付いた六神将が振り返る。瞬間アリエッタの表情が輝いた。
「ウィン姉様!」
「アリエッタ!久しぶりー!」
アリエッタも駆け寄ってきてくれたので、ひしと抱き着いた。柔らかい桃色の髪に頬を寄せれば、くすぐったそうに軽く身を捩らせるアリエッタが可愛くて仕方がない。
「ウィン姉様、兄弟に聞いた、です。ママのお引っ越し」
「あ、ちゃんと無事にお引っ越し済んだんだね。また今度挨拶に行くよ」
「はい、です」
するりと抱き着いていた腕が外されたので、ゆっくりと立ち上がってアリエッタと共に他の六神将に寄った。
「姉さーん♪」
「久しぶりだな、ウィン。セントビナーにいたのか?」
「うん、そうだよー。フレイと待ち合わせー」
ぽすっと軽い音を立てて、リグレットに抱き着く。瞬間背後(ルーク達)の方から、殺気が飛んできた(多分ジェイド)が、六神将に気付かれない為にか一瞬だった。
そんなことは気にせずリグレットにくっつき続けると、リグレットも抱き締め返してきてくれた。そのまま私の髪を優しく撫でた。
「相変わらず抱き着き癖があるよね、ウィンは」
「たしかにな」
シンクの言葉に頷いたラルゴに、ちょっとしたいたずら。抱き着いていたリグレットから身を離し、タックルのように抱き着いた。
「パパー♪」
からかいの言葉と共に。
「「「ぶっ!」」」
「………たしかに年齢的にはそうなるだろうが………」
中々複雑な心境になったらしく、表情も何とも言いがたい。パパ発言に噴き出したリグレット・ディスト・シンクは声には出さないものの肩が揺れている。
そんな三人に注意する気すらなくなったのか、ラルゴは先程から固まっていた神託の盾の兵士に命令を出した。
「伝令だ。第一師団、撤退する」
「あ、第五師団もエンゲーブから撤退するように言っといて」
「了解!」
ラルゴの命令に便乗するように、笑いをやっと収めたシンクが命令した。口許は名残なのか緩んでいたが。
未だ抱き着いていると、ラルゴが手持ちぶさたのように私の頭をポンポンと撫でる。何が面白いの。
「ウィンだけってことは、フレイとはまだ合流できてないの?」
「んー?うん、そう。まああいつのことだから心配ないだろうけどね」
名残惜しいけれどラルゴから離れる。彼らにも仕事があるしね。
「じゃあ私は戻るわ」
「俺も戻ろう」
「あ、僕はまだここにいるよ」
「アリエッタも、です」
神託の盾兵が全員撤退した頃、リグレットとラルゴも帰還しようとする。シンク達もかと思えば、それは外れてまだここに残るらしい。
「早めに戻ってきなさい。ではウィン、またな。今度はゆっくり茶でも」
「うん、またね。リグレット、ラルゴ」
「ああ、またな」
離れていく二人を手を振りながら見送る。距離が結構離れたところで、この場に残った三人を振り返った。
「さて、んじゃあ報告し合いますか」
腰に手を当てて微笑めば、少しだけ三人が緊張したのがわかる。そんなに気負うなよ、ただの報告なんだから。