外殻大地編 2
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セントビナーには神託の盾(オラクル)騎士団がいたが、どうやら入り口だけのようで。さてどうやって入るかと思案していたところで、エンゲーブからの馬車が来た。どうやら後からもう一台来るらしいので、それに乗らしてもらおうとルークを促した。
勿論、ルークが除け者扱いされないようにする為だ。
知らないことが罪な訳じゃない。知ろうとしないことが愚かなだけ。けれど、説明しようとしない人はそれ以上に愚かだ。
私の今のパーティーメンバーに対する好感度なんて、その程度だ。
街道を少し遡っていくと、馬車が丁度来ていた。ルークが私を追い抜いて馬車の前に飛び出す。
「その馬車、止まれ!」
「ばっかルーク!危ないだろ!」
思わず叱るとちょっと拗ねたような表情になったルークだったが、ローズさんがジェイドとルークに気が付いた。そこから私の方に視線をやったローズさんが驚いたように私を呼んだ。
「おや、ウィンじゃないか!久しぶりだねぇ」
「久しぶり、ローズさん」
「どうしたんだい、お揃いで」
昔からの顔見知りである私も一緒だからか、にこやかに聞いてくる。人付き合いって大切だよね。
「おばさん、わりぃけど馬車に匿ってくれねえか?」
おや、と思った。
ゲーム初期のルークのイメージは大体が横暴だのわがまま坊っちゃんだのが付いてくる。けれど、こうして頼む様はちゃんとした青年だ。やはりイオンの第一印象は間違ってない。ただ素直になれなくて、不器用なだけだ。
「セントビナーに入りたいのですが、導師イオンを狙う不逞の輩が街の入り口を見張っているのです。ご協力いただけませんか」
「おやおや。こんなことが起きるなんてねぇ。生誕祭の預言にも詠まれてなかったねぇ」
ガイの言葉に朗らかに笑いつつ答えるローズさんには拒否の意は見られない。そこにすかさずティアが近寄ったが、近くにいたガイが飛び退いた。
「お願いします」
「いいさ、泥棒騒ぎで迷惑かけたからね。それにウィンにはいつも世話になりっぱなしだから軽いもんさ。お乗りよ」
「助かります」
何度も依頼を請け負い、その度に食料を貰っているにも関わらずまだお礼し足りないらしい。苦笑しながらもジェイドに続いてお礼を言った。
結果からして。
気付かれずにセントビナーに入ることができた。荷馬車の中身をあらためようとは思わなかったらしい。別れ際に持たされた野菜や果物を抱え、ローズさんとは別れた。
「ウィンは村の人から好かれているのですね」
「まあ、ね。こうやって会う度に何かを貰うんだけど、私だけでも私とフレイが一緒にいても絶対なんかくれるんだよね………」
「他の村からもか?」
ルークからの質問に、頷く。私達が休みの日にしか依頼を受けないのはそのためだ。一回一回貰う量が結構多いのだ。それを持ちながら次の依頼を受けるのは、少し厳しいので最近ではその場で貰わずに屋敷に届けてもらうようにしている。
屋敷ったって私と俊哉と数人しか住んでないけどさ。
「すげーな」
「すごくないよ。それより、セントビナーには何の用だったんだ?私に付き合ってって訳じゃないだろ?」
「あ、そうだった。アニスって奴とここで合流する筈なんだよ」
な?と振り返る先にはジェイド。どうやらそれをいったのはジェイドらしかった。
「マルクト軍の基地で落ち合う約束ですよ。ーーー生きていればの話ですがね」
「嫌なこと言う奴だな」
「諦めなってルーク。このおっさんは意地でも性格直さないよ」
ルークの右肩を肘でツンツンつつきながらジェイドに向けて冷笑すれば、それに対抗したジェイドも冷笑を返してきた。
気温が一度か二度下がったところで、ルーク達が身を震わせる。
「い、いいから行こうぜ」
ちょっと涙目のルークに、やり過ぎたと反省した。ごめんねルーク。