一ヶ月目
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ND2010 漆黒を纏いし男女、マルクトの地に降り立つ。その者達、星の命運分けし選択を担う。女子(おなご)の名を音素に愛されし女神、男子(おのこ)の名を炎を纏いし女神の従者と称す。
二人の選択はやがて、世界を巻き込む繁栄への第一歩となるであろう。
「これが、お前らに詠まれた預言(スコア)の全容だ。知っているのはダアトの他にキムラスカとマルクトの王族及びそれに連なる家系のみだ。皇族外とされている俺が知っているのは、ダアトの知り合いから教えてもらったからだがな」
そう締め括ったピーニは、呆然としている私達を見やった。その視線に多少の同情と悲痛を見出だした瞬間、我に返る。
私達がここに来たのは必然だった。そう言われているのだ。
「ただの………偶然じゃなくて」
「来るべくして呼ばれたってか。預言(スコア)ってのは強制力がありすぎるな」
「だが不思議なことに、今後の預言(スコア)を詠んでいってもお前達の名前は出てこないそうだ」
「「は?」」
預言(スコア)を忌々しく思っていたら、思い出したように告げられたその言葉に口が開いた。間抜け面を晒した私を俊哉が肘で小突き(今回は手加減されてた)、どういうことだとピーニに問いかけた。
「お前達がこの世界に来たあと、その預言(スコア)に何故か追加文があったんだ。内容は、『これから先、彼の者達は不自由なき道を行(ゆ)く。此(これ)以降、彼等の行方は彼らが心のままに』。つまり、預言(スコア)の道筋から完全にお前達の姿は眩まされたということだ」
「ってことは」
思わず俊哉の方に顔を向けると、俊哉も私の方に顔を向けていて、お互いの顔を見ながらきょとりと首を傾げた。
「俺達の預言(スコア)はその一文のみで、他には何もないなら」
「預言(スコア)から解放されたってことになるのかな?」
「一時的なのか、完全になるのかはわからんがな。少なくとも預言(スコア)に名前が出てこない限りは安心していいと思う」
ピーニにも不可解だろうそれに、腕を組んだ状態で唸る。
そんなことがあるのだろうか。預言(スコア)に追加されたとされる一文も謎だが、預言(スコア)自体がその束縛を解放したなど。
過去そんなことがあったのかと聞くと、流石にないと返され沈黙する。聞けばユリアが預言(スコア)を詠んで以来、そんな人物は一人たりともいなかったそうだ。いたらいたでダアトに何されるかわからないが、少なくとも預言(スコア)を順守しているなら殺されはしないだろう、と言われた。
「むしろ預言(スコア)通りならお前達はダアトに狙われるな」
「え、なんで」
思わずそう聞くと、ピーニは少し苦々しい表情をしながら腕を組んだ。
「ダアトは預言(スコア)を順守すれば繁栄するという一派が勢力を強めている。そしてお前達の選択が繁栄への道筋だと解釈したとなれば」
「俺達を捕らえて選択を強要し、万が一繁栄から遠ざかっても俺達に責任を押し付けて処刑、ってか」
「そうなるだろうな」
俊哉とピーニの言葉に血の気が引いた。完全に青褪めた私に二人の視線が集中したが、預言(スコア)を復唱した際に気付いたものに自分の立場がいかに重要なのかを悟ってしまった。
「私達の選択の一つ一つが、この星を生かすことも殺すこともできる………」
「命運を、ってことはそうなるよな。繁栄が来たら星は生き、逆に来なければ殺すことになる。秘預言(クローズド・スコア)の通りにな」
「秘預言(クローズド・スコア)?何でお前達が………ああ、いい。それも出てきたんだな」
私の言葉を拾った俊哉が、抱えるべき懸念を的確に指摘した。秘預言(クローズド・スコア)を知っていることに訝しんだピーニだったが、私達のことを思い出したらしく手を振って説明をしようとする私を止めた。