一ヶ月目
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この世界に来てから早一週間。読み書きは勉強しつつも文章としては英語と同じだった。フォニック文字と呼ばれるこちらの文字は、キムラスカもマルクトも共通だから多いに助かる。
文字の形状のみを学習し、文章は英語の復習のようになっていった。とはいえ文字の形状がややこしく、一歩間違えたら全部同じに見えてしまうので書き分けが難しい。
今日はそんな勉強を一切なしにして、陛下………もとい殿下のところへと向かっていた。殿下が使用している部屋に着くと、扉をノックする。数秒待てば殿下が笑顔で扉を開けてくれた。
「おー、来たか。瑠璃、俊哉」
「こんにちわ、殿下」
「堅苦しくするな。皇族としては顔は割れてないんだから、お前達の態度でバレるぞ」
「………すみませ「瑠璃?」ごめん」
「よし」
私の名前を呼ぶ一瞬で雰囲気を少し怖い方向にされてしまったので、即座に言葉を崩して謝れば満足そうに頷かれた。そのまま部屋の中に案内された私達は二人掛けのソファに並んで座る。殿下………もといピーニは私達の向かい側のソファに座った。
「生活には慣れてきたか?」
「うん、まあね。文字も字体を覚えるだけで良さそう」
「ほう、文法はそっちの言葉と似ているのか?」
「母国語は違うけど、世界共通語がね」
「一つの星に言葉が複数、か。ややこしい上に意思疏通が国毎で違うとは面倒だな」
心からの言葉だろうそれに思わず苦笑する。確かに国毎に違うといえる言葉を全て把握することは難しいだろう。
「んで?呼び出した理由は?」
「おお、そうだった。実はな、一週間前にお前達が落ちた場所辺りに、神託の盾(オラクル)兵が闊歩してると報告が来てな」
「神託の盾(オラクル)兵?何でダアトが?」
ピーニの言葉に驚いたのは俊哉だ。勿論私も驚いたが、先に声を出された。
その問いにピーニは少し考え込んだあと、少し言いにくそうにしつつも教えてくれた。
「………預言(スコア)が、あるんだ」
「預言(スコア)?どういった内容?」
この世界の仕組みを既に知っているのも教えてあるから、余計な説明は省くに限る。そう思って聞いたのだが、何故かピーニは言いにくそうに口ごもったあと漸く話し出した。
「今年、漆黒を纏った男女の二人組がオールドランドに降り立つというものだ。名前は『音素に愛されし女神』と『炎を纏いし女神の従者』。イスパニア語でのお前達の名前だ、瑠璃、俊哉」
「「………は?」」
重々しく紡がれた言葉は、予想外の流れへと私達を誘(いざな)った。