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夕方、日が落ちてくると三ツ谷さんはこう言った。
「よし、じゃあ今日はここまでにしよう。苗字さん、ほんとに有難う。君のお陰でかなり進んだよ。この調子だと来週には終わるな」
「そうですか。良かったです!」
時間は午後6時だ。まだ帰りたくないなぁと思っていると、彼が声をかけてきた。
「なぁ君、今夜予定ある? なかったら、良かったらオレが晩メシおごるけど」
「……いいんですか?」
正直それは本当に有難い。私はこの後も、1人になりたくなかったからだ。それから私たちは、徒歩で目的地に向かった。
「君は出身は東京なの?」
「はい。私、地元がここなんです」
「ほんとに? オレも。中学どこ?」
「中学は渋谷第三中です」
「マジ? オレもさっき来たペーやんも、渋谷第二だよ。隣の校区だな」
「わぁ! そうなんですか! 近いですね」
「三中も手芸部あった? オレは部長してたんだ」
「ありました! 部員は少ないけど、ちゃんと活動してましたよ。私、副部長でした」
「そっか。やっぱり君もリーダーやってたんだな。じゃあ地域のコンクールとかで君の作品、見たことあったかも。ほら、渋谷作品展とかあっただろ?」
「そうですね! きっと見てましたね」
彼は本当に話しやすい。気さくだし、爽やかだし、人を包み込むような優しさがある。私と同い年だけど、精神年齢も高い。たわいもない雑談も弾むし、楽しい。こんなにホッと出来るのは久しぶりだった。
彼が連れてきてくれたのは、ラーメン屋さんだった。看板には"双悪"と書かれている。ちょっと変わった店名だなぁ。
「そーあく、ですか?」
「いや、"すごあく"だ」
中に入ると、なかなか繁盛している。キッチンでは2人の男性が忙しそうに調理していた。
「あれ、三ツ谷じゃん。また来てくれたのか」
片方の男性がニコニコしながらそう言った。
「よぉスマイリー。相変わらず流行ってんな」
三ツ谷さんは、先ほどペーやんさんに向けたようなくだけた表情をしている。この人も、昔からのお友達なのかな?
「あれ、その人もしかしてオマエのカノジョか?!」
彼はニコニコした表情のままで、ビックリした声を出した。
「いや、違うよ。彼女はうちにバイトに来てくれてる苗字さん。すごく助かってるから、オマエらのラーメンご馳走しにきたんだよ」
「へぇ。そうなのか」
私が彼に笑顔で会釈をすると、彼も返してくれた。ずっとニコニコしていて、優しそうな人だ。あ、だからスマイリーさんか。三ツ谷さんは私にメニューを見せてくれた。
「ここのラーメンはさ、2種類なんだ。白トンコツ"スマイリー"と黒トンコツ"アングリー"。どっちがいい?」
「わぁ! すごく美味しそうですね。迷いますね、どうしましょう? えーっと……」
「アングリーにするよね?! 君!」
調理場にいたもう1人の男性がいきなり話しかけてきたので、私はビックリした。彼はなんだか、怒っているような表情だ。
「オイオイ。アングリー、お客さんに強要するなよ」
三ツ谷さんは苦笑しながらなだめている。
「けどその人、三ツ谷が世話になってる人なんでしょ?! じゃあ美味い方食べてもらいたいに決まってんじゃん!!」
やっぱり彼は、怒っているようだ。そうか、だからアングリーさんなのか。なんだか面白いなぁ、このお店。
「じゃあ私、このアングリーにします!」
「君、見る目あるね!!」
私と三ツ谷さんとスマイリーさんはちょっと苦笑いしてしまうけど、とても和やかな雰囲気になった。
黒トンコツの"アングリー"は、見た目と違いすごく優しいお味だった。
「すごく美味しいです。口当たりが良くて、私これ、ハマりそうです」
「そう!! それは良かった!! じゃあまた来てね!!」
やっぱりアングリーさんは怒っているようで、喜んでいる。なんだかおかしくて、またくすりと笑ってしまった。
お店を出ると、もうすっかり暗くなっていた。帰りたくないけど、もう帰らなければ。
「家まで送ってくよ」
「有難うございます。それに私、今夜は誰かとご飯に行きたかったので、ほんとに楽しかったです」
三ツ谷さん達のお陰で、本当に今日は安心して過ごすことが出来た。私は彼等に心から感謝した。
「よし、じゃあ今日はここまでにしよう。苗字さん、ほんとに有難う。君のお陰でかなり進んだよ。この調子だと来週には終わるな」
「そうですか。良かったです!」
時間は午後6時だ。まだ帰りたくないなぁと思っていると、彼が声をかけてきた。
「なぁ君、今夜予定ある? なかったら、良かったらオレが晩メシおごるけど」
「……いいんですか?」
正直それは本当に有難い。私はこの後も、1人になりたくなかったからだ。それから私たちは、徒歩で目的地に向かった。
「君は出身は東京なの?」
「はい。私、地元がここなんです」
「ほんとに? オレも。中学どこ?」
「中学は渋谷第三中です」
「マジ? オレもさっき来たペーやんも、渋谷第二だよ。隣の校区だな」
「わぁ! そうなんですか! 近いですね」
「三中も手芸部あった? オレは部長してたんだ」
「ありました! 部員は少ないけど、ちゃんと活動してましたよ。私、副部長でした」
「そっか。やっぱり君もリーダーやってたんだな。じゃあ地域のコンクールとかで君の作品、見たことあったかも。ほら、渋谷作品展とかあっただろ?」
「そうですね! きっと見てましたね」
彼は本当に話しやすい。気さくだし、爽やかだし、人を包み込むような優しさがある。私と同い年だけど、精神年齢も高い。たわいもない雑談も弾むし、楽しい。こんなにホッと出来るのは久しぶりだった。
彼が連れてきてくれたのは、ラーメン屋さんだった。看板には"双悪"と書かれている。ちょっと変わった店名だなぁ。
「そーあく、ですか?」
「いや、"すごあく"だ」
中に入ると、なかなか繁盛している。キッチンでは2人の男性が忙しそうに調理していた。
「あれ、三ツ谷じゃん。また来てくれたのか」
片方の男性がニコニコしながらそう言った。
「よぉスマイリー。相変わらず流行ってんな」
三ツ谷さんは、先ほどペーやんさんに向けたようなくだけた表情をしている。この人も、昔からのお友達なのかな?
「あれ、その人もしかしてオマエのカノジョか?!」
彼はニコニコした表情のままで、ビックリした声を出した。
「いや、違うよ。彼女はうちにバイトに来てくれてる苗字さん。すごく助かってるから、オマエらのラーメンご馳走しにきたんだよ」
「へぇ。そうなのか」
私が彼に笑顔で会釈をすると、彼も返してくれた。ずっとニコニコしていて、優しそうな人だ。あ、だからスマイリーさんか。三ツ谷さんは私にメニューを見せてくれた。
「ここのラーメンはさ、2種類なんだ。白トンコツ"スマイリー"と黒トンコツ"アングリー"。どっちがいい?」
「わぁ! すごく美味しそうですね。迷いますね、どうしましょう? えーっと……」
「アングリーにするよね?! 君!」
調理場にいたもう1人の男性がいきなり話しかけてきたので、私はビックリした。彼はなんだか、怒っているような表情だ。
「オイオイ。アングリー、お客さんに強要するなよ」
三ツ谷さんは苦笑しながらなだめている。
「けどその人、三ツ谷が世話になってる人なんでしょ?! じゃあ美味い方食べてもらいたいに決まってんじゃん!!」
やっぱり彼は、怒っているようだ。そうか、だからアングリーさんなのか。なんだか面白いなぁ、このお店。
「じゃあ私、このアングリーにします!」
「君、見る目あるね!!」
私と三ツ谷さんとスマイリーさんはちょっと苦笑いしてしまうけど、とても和やかな雰囲気になった。
黒トンコツの"アングリー"は、見た目と違いすごく優しいお味だった。
「すごく美味しいです。口当たりが良くて、私これ、ハマりそうです」
「そう!! それは良かった!! じゃあまた来てね!!」
やっぱりアングリーさんは怒っているようで、喜んでいる。なんだかおかしくて、またくすりと笑ってしまった。
お店を出ると、もうすっかり暗くなっていた。帰りたくないけど、もう帰らなければ。
「家まで送ってくよ」
「有難うございます。それに私、今夜は誰かとご飯に行きたかったので、ほんとに楽しかったです」
三ツ谷さん達のお陰で、本当に今日は安心して過ごすことが出来た。私は彼等に心から感謝した。