Mr. Perfect(灰谷竜胆/長編夢)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
灰谷君は何も言わずに車を発進させた。どこに向かっているんだろう? 明らかにマンションとは反対方向だ。しばらく行くと、なんだかイヤな予感がする。
案の定、私の高校が見えてきた。えーっ。なんで?? ちょうど下校時刻だから、生徒たちがわらわらと出てきている。
彼は校門のそばに車を停めると、淡々とした口調で言った。
「誰か友達つかまえて、オマエが無事なの伝えてこいよ。それから今日の授業のこととか聞いてきたら?」
それは有難い……多分欠席連絡は親が入れてると思うけど、やっぱり友達は心配しているだろう。今日は英語でグループワークの準備もあったから、きっと迷惑をかけちゃったに違いない。ずっと携帯も見ていないし、実はすごく気がかりだったのだ。
車を降りると、皆んなこちらを見て驚いている。そりゃそうか。校門の前に、こんな高級外車が停まってるんだもん。う、うわぁ。ほんとに私、なんか注目浴びちゃってる! 早く友達を探さないと!
すぐに友達はつかまって、要件を話し、親しい友達に伝えてもらえることになった。安心して車まで戻る。
「どうも有難う。ちゃんと友達に伝えてきた」
「オマエ、まだ家出続けるのか? もう気分も落ち着いただろ。そろそろ帰れよ」
私はそのときハッとした。彼は本当に、おととい出会ったときからずっと、一貫してこの態度だ。折に触れて家に戻れ、学校に行け、帰れ、と言ってくれている。私を不良にするなんて言っておきながら、実はずーっと帰るよう促してくれていたのだ。挙げ句の果てに、こうして学校まで連れてきてくれたのだった。
や、優しい……
私は気がついてしまった。そうだ、彼は優しい。ビックリするほど優しい人なんだ。
なんだか胸がドキドキして、落ち着かなくなってきた。なんだろう? この気持ちは。たしかに私は、今すぐ帰るべきだろう。きっと両親も心配しているし、ずっと家出を続けることは出来ない。でもこのまま彼と別れてしまうのはイヤだった。
「……もうちょっと、灰谷君といたいんだけど、ダメ?」
「じゃあ日付けが変わるまでは付き合ってやるよ」
灰谷君は穏やかに微笑んだ。私はその笑顔が眩しくて、やっぱり心臓がドキドキする。一体どうしたんだろう?
それから彼はまた車を走らせて、次はミッドタウンへ行った。少し早いけど、夕食に行くことにする。
なんだか彼は、また敷居の高い所へ連れてってくれそうだ。例えばここの、高層階のレストランとか。地元民は絶対に行かないようなお店だ。今回は1階のカジュアルなレストランにしない? と私から誘い、そこに行くことになった。はぁ。良かった。もうこれ以上、彼にお金を使ってほしくない。
「ねぇ、灰谷君ってさ、私のこと不良にするって言ってたけど、実際は全然違ったよね。私のこと泊めてくれて、親に連絡してくれて、話を聞いてくれて、遊びに連れ出してくれて、学校にまで連れてってくれて。なんか……めちゃくちゃお世話になっちゃった。ほんとに有難う」
私は注文したドリアを食べながら彼にそう切り出した。ほんとに、彼には感謝してもしきれないなぁ。
「そうか? けどオマエ、酒も飲んだし、家ではエロい衣装で過ごしたし、学校サボってオレと遊びに出かけたじゃん。だいたい男んとこに泊まってる時点でアウトだし」
彼はパエリアを食べながら淡々と言った。でもやっぱりちょっと嬉しそうだ。
「はは。確かにそうだね。でもそれが灰谷君で本当に良かったよ」
レストランを出るともう日は落ちていた。あぁ、彼との時間ももうすぐ終わっちゃう! そう思うと、すごく寂しい………
案の定、私の高校が見えてきた。えーっ。なんで?? ちょうど下校時刻だから、生徒たちがわらわらと出てきている。
彼は校門のそばに車を停めると、淡々とした口調で言った。
「誰か友達つかまえて、オマエが無事なの伝えてこいよ。それから今日の授業のこととか聞いてきたら?」
それは有難い……多分欠席連絡は親が入れてると思うけど、やっぱり友達は心配しているだろう。今日は英語でグループワークの準備もあったから、きっと迷惑をかけちゃったに違いない。ずっと携帯も見ていないし、実はすごく気がかりだったのだ。
車を降りると、皆んなこちらを見て驚いている。そりゃそうか。校門の前に、こんな高級外車が停まってるんだもん。う、うわぁ。ほんとに私、なんか注目浴びちゃってる! 早く友達を探さないと!
すぐに友達はつかまって、要件を話し、親しい友達に伝えてもらえることになった。安心して車まで戻る。
「どうも有難う。ちゃんと友達に伝えてきた」
「オマエ、まだ家出続けるのか? もう気分も落ち着いただろ。そろそろ帰れよ」
私はそのときハッとした。彼は本当に、おととい出会ったときからずっと、一貫してこの態度だ。折に触れて家に戻れ、学校に行け、帰れ、と言ってくれている。私を不良にするなんて言っておきながら、実はずーっと帰るよう促してくれていたのだ。挙げ句の果てに、こうして学校まで連れてきてくれたのだった。
や、優しい……
私は気がついてしまった。そうだ、彼は優しい。ビックリするほど優しい人なんだ。
なんだか胸がドキドキして、落ち着かなくなってきた。なんだろう? この気持ちは。たしかに私は、今すぐ帰るべきだろう。きっと両親も心配しているし、ずっと家出を続けることは出来ない。でもこのまま彼と別れてしまうのはイヤだった。
「……もうちょっと、灰谷君といたいんだけど、ダメ?」
「じゃあ日付けが変わるまでは付き合ってやるよ」
灰谷君は穏やかに微笑んだ。私はその笑顔が眩しくて、やっぱり心臓がドキドキする。一体どうしたんだろう?
それから彼はまた車を走らせて、次はミッドタウンへ行った。少し早いけど、夕食に行くことにする。
なんだか彼は、また敷居の高い所へ連れてってくれそうだ。例えばここの、高層階のレストランとか。地元民は絶対に行かないようなお店だ。今回は1階のカジュアルなレストランにしない? と私から誘い、そこに行くことになった。はぁ。良かった。もうこれ以上、彼にお金を使ってほしくない。
「ねぇ、灰谷君ってさ、私のこと不良にするって言ってたけど、実際は全然違ったよね。私のこと泊めてくれて、親に連絡してくれて、話を聞いてくれて、遊びに連れ出してくれて、学校にまで連れてってくれて。なんか……めちゃくちゃお世話になっちゃった。ほんとに有難う」
私は注文したドリアを食べながら彼にそう切り出した。ほんとに、彼には感謝してもしきれないなぁ。
「そうか? けどオマエ、酒も飲んだし、家ではエロい衣装で過ごしたし、学校サボってオレと遊びに出かけたじゃん。だいたい男んとこに泊まってる時点でアウトだし」
彼はパエリアを食べながら淡々と言った。でもやっぱりちょっと嬉しそうだ。
「はは。確かにそうだね。でもそれが灰谷君で本当に良かったよ」
レストランを出るともう日は落ちていた。あぁ、彼との時間ももうすぐ終わっちゃう! そう思うと、すごく寂しい………