A highly sensitive story
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「実は来週、柴社長がうちの店舗に視察に来る事になった。その日は是非、苗字さんに対応して欲しい」
渋谷にあるオープンして2年目の無国籍レストラン。店内には巨大な水槽が設置され、優雅に泳ぐ鮫達がトレードマークのシックな高級店だ。平日でも予約を取るのに数か月もかかるほど人気のそのレストランで、私はスタッフとして働いている。
仕事はとても遣り甲斐がある。お客さん達はみんな料理が美味しいと喜んでくれるし、同僚達も親切で、私に一から仕事を教えてくれた。
けれどいま店長からそう命じられた私は思わず涙目になった。
「……店長!あの柴社長がいらっしゃるのですから、まだ採用されて数ヶ月の私なんかじゃなく、他の方が対応された方がいいんじゃないでしょうか……」
「何言ってるんだよ苗字さん。君はうちの"看板娘"じゃないか!君がホールに入ってから、平日の夕方まで予約が殺到するようになった。それに君の接客が見たいって、上からのご指名なんだ。もしかしたら苗字さん、社長に気に入られたのかも!あの社長なら君を飛び級で昇格させたり、本部に引き抜いたりとかもあるかもよ?つまりこれはチャンスだよ」
店長は爽やかな笑顔でそう言うと、営業へ出掛けてしまった。私は茫然と事務室で立ち尽くしながら、本気で青ざめている。
うそ‼︎あの厳しい柴社長に私が対応しなくちゃいけないの⁉︎!
それでも私は上司に抗議する事なんて出来ない。元々断れない性格で、生真面目だからやるしかないと思ってしまう。
でも今回ばかりは"非常事態"だった。私なんかに務まる筈ない!!ゼッタイにだ!!
けれども実際はきっと、その日はめちゃくちゃ頑張れば、ギリギリこなせるだろう。あの峻厳かつ厳格で有名な柴社長に笑顔で応対し、オーダーを取り、キッチンに伝え、料理をお運びする。何か尋ねられたらハキハキと答え、分からない事は先輩達に確認してから回答する。
でも………
きっとその後私は疲労困憊するだろう。何故なら私は生まれつき"極度の虚弱体質"だった。超がつくほどの低血圧で、目眩持ちで、兎に角疲れやすい。
さらに身体だけでなく、心も繊細だった。常に周りを気にする性格で、あらゆる事に気を遣ってしまう。周囲の期待にも敏感で、能力以上に応えようとしてしまう。例えば接客に関しても、意地悪だったり横柄な人にあたったりすると、自分の対応が悪かったんじゃないかと後でひとり考えこんでしまう。
だからその場は取り繕えたとしても、翌日からダウンするのがお決まりだった。微熱が出たり風邪を引いたりと様々だけど、軽く寝込んでしまうのだ。私は身寄りのない独り暮らしだから、そうなると本当に、ツライ。
そういうわけなので本当は裏方を希望していて、面接の時もハッキリと伝えたのだけど、何故かホールにまわされてしまいタイヘンな思いをしていた。
つまり私は生まれつき心身共に繊細で、それをひた隠しにしながら頑張る"自称・社会不適格者"なのだ。
私みたいなタイプは意外に居るようで、本で読んだ事がある。"HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン、とても繊細な人達)"、って呼ばれているらしい。この繊細さは生来の気質だから、折り合いをつけてやっていくしかないのだという。
はぁ……何度も溜息をつくけど、上の指令には逆らえない。それにこの仕事はお給料もいいし、「生活の為に」辞めるワケにはいかない。
誰かに愚痴る事も出来ず過度なプレッシャーを感じながら、私は悲壮感いっぱいでなかなか覚悟が決まらなかった。
渋谷にあるオープンして2年目の無国籍レストラン。店内には巨大な水槽が設置され、優雅に泳ぐ鮫達がトレードマークのシックな高級店だ。平日でも予約を取るのに数か月もかかるほど人気のそのレストランで、私はスタッフとして働いている。
仕事はとても遣り甲斐がある。お客さん達はみんな料理が美味しいと喜んでくれるし、同僚達も親切で、私に一から仕事を教えてくれた。
けれどいま店長からそう命じられた私は思わず涙目になった。
「……店長!あの柴社長がいらっしゃるのですから、まだ採用されて数ヶ月の私なんかじゃなく、他の方が対応された方がいいんじゃないでしょうか……」
「何言ってるんだよ苗字さん。君はうちの"看板娘"じゃないか!君がホールに入ってから、平日の夕方まで予約が殺到するようになった。それに君の接客が見たいって、上からのご指名なんだ。もしかしたら苗字さん、社長に気に入られたのかも!あの社長なら君を飛び級で昇格させたり、本部に引き抜いたりとかもあるかもよ?つまりこれはチャンスだよ」
店長は爽やかな笑顔でそう言うと、営業へ出掛けてしまった。私は茫然と事務室で立ち尽くしながら、本気で青ざめている。
うそ‼︎あの厳しい柴社長に私が対応しなくちゃいけないの⁉︎!
それでも私は上司に抗議する事なんて出来ない。元々断れない性格で、生真面目だからやるしかないと思ってしまう。
でも今回ばかりは"非常事態"だった。私なんかに務まる筈ない!!ゼッタイにだ!!
けれども実際はきっと、その日はめちゃくちゃ頑張れば、ギリギリこなせるだろう。あの峻厳かつ厳格で有名な柴社長に笑顔で応対し、オーダーを取り、キッチンに伝え、料理をお運びする。何か尋ねられたらハキハキと答え、分からない事は先輩達に確認してから回答する。
でも………
きっとその後私は疲労困憊するだろう。何故なら私は生まれつき"極度の虚弱体質"だった。超がつくほどの低血圧で、目眩持ちで、兎に角疲れやすい。
さらに身体だけでなく、心も繊細だった。常に周りを気にする性格で、あらゆる事に気を遣ってしまう。周囲の期待にも敏感で、能力以上に応えようとしてしまう。例えば接客に関しても、意地悪だったり横柄な人にあたったりすると、自分の対応が悪かったんじゃないかと後でひとり考えこんでしまう。
だからその場は取り繕えたとしても、翌日からダウンするのがお決まりだった。微熱が出たり風邪を引いたりと様々だけど、軽く寝込んでしまうのだ。私は身寄りのない独り暮らしだから、そうなると本当に、ツライ。
そういうわけなので本当は裏方を希望していて、面接の時もハッキリと伝えたのだけど、何故かホールにまわされてしまいタイヘンな思いをしていた。
つまり私は生まれつき心身共に繊細で、それをひた隠しにしながら頑張る"自称・社会不適格者"なのだ。
私みたいなタイプは意外に居るようで、本で読んだ事がある。"HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン、とても繊細な人達)"、って呼ばれているらしい。この繊細さは生来の気質だから、折り合いをつけてやっていくしかないのだという。
はぁ……何度も溜息をつくけど、上の指令には逆らえない。それにこの仕事はお給料もいいし、「生活の為に」辞めるワケにはいかない。
誰かに愚痴る事も出来ず過度なプレッシャーを感じながら、私は悲壮感いっぱいでなかなか覚悟が決まらなかった。
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