そう思い始めた２０代後半の頃の事だった。ある日、半間は思い付きで引っ越しをする事にした。また色々と退屈だから、住む街を変えてみようと思ったのだ。築年数10数年程度の、セキュリティのいいマンション。11階の1LDK。最寄駅から空港まで交通機関一本だから、利便性もいい。どうせまたすぐに飽きて、引っ越すんだろうけど。そう思いながら越してきた、その翌週の事だった。

　玄関のドアを開けると、隣室の前に美しい女が立っている。女にしては背が高く、多分162cmほどある。すらりとしたスレンダーな体型で、品のいい薄ピンク色のワンピースを着て、艶やかな髪を靡かせている。けれども半間の目を引いたのは、彼女のその美貌ではない。彼女と視線が合った瞬間に、直感で見抜いたからだ。この女は'自分と同じ種類の人間'だと。つまり彼女も特異で異質で普通とは違う、「自分と同じタイプの人間」だと分かった。そんな女に出逢うのは、人生で初めての事だった。

　さらに奇妙な事に彼女の事を半間は、実は既に知っていたのだ。「何度も繰り返し見る夢」の中で、半間は彼女に逢っていたからだった。不可思議な事にその夢は、半間の仲間達も同じ内容のものを見ている。あまりに不可解な現象なので、その夢の内容は実は、『別の世界線』での出来事なのではないかと、言い出す者まで出る始末だった。半間は勿論、そんな事は信じていない。半間はその夢の中では「反社になった東卍の幹部」だったり、「殺人幇助罪で指名手配犯」になっていたりと、確かに自分らしい人生ではあった。でもただの夢なのだから、何の意味もないはずだ。けれども半間はその夢の中でも逢った事のある彼女に、『特別な縁』のようなものを感じたのだった。



　いい子、みーっけ！　

　半間は新しい世界を見つける事が出来た。さぁ、どうやってこの子を手に入れよう？　まずは彼女を尾行して、生活スタイルを知るところから始めるか。そのうち鍵を盗んで、部屋に入り込むのもいい。とにかくこの女のことは、絶対に手に入れてみせる。自分らしく、どんな手段を使っても、必ずこの女を自分のものにしようと、心に決めたのだった。


　　　　　　　　　　‥ おしまい ‥　
⋆半間とハッピーエンドになるお話は→
He lives next door（半間修二/短編夢）

⋆半間が「反社になった東卍の幹部だった世界線」のお話は→
He lives next door 【反社軸】番外編（半間修二/長編夢）

⋆半間が「殺人幇助罪で指名手配犯だった世界線」のお話は→
He lives next door3（半間修二/続編夢）

He lives next door 序章
執筆期間2023.11.13-2023.11.23
管理人　りぃ