A sweet little devil
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イザナ君が婚約した、と鶴蝶が嬉しそうに報告してきたのは、7月のことだった。わぉ。あのイザナ君が。しかもお相手は、私達と同じ施設にいた仲間らしい。
「ほんとに良かったね。でも鶴蝶、寂しいんじゃない? これまでイザナ君とずっと仲良かったし、退寮してからも彼、日本にいるときは毎日のように家に泊まりに来てたんでしょ?」
「あぁ。何故かアイツんち、ベッドが無いからな。メシもうちで食ってくし、殆どずっと一緒だったな」
「ほんとに仲がいいよね」
でもイザナ君は確か、鶴蝶のことを'下僕'って言ってた気がする。面白い。
「あぁ。けどもうそんな生活も終わった。イザナはこれからは、彼女と過ごすからな」
鶴蝶はあまり残念じゃないみたいだ。この感じだとこれからも彼は、イザナ君中心の生活を送るんだろう。仕事も一緒だし、ほんとに何も変わらなかったりして。
ところがそこから鶴蝶は、いきなり豹変してしまった。突然私を食事に誘い、その日のうちに告白してきたからだ。
施設を出て働き出してから、彼はイザナ君達と世界中を飛びまわっている。それでも彼はちょくちょく帰国して、その度に私に会いに来た。でもまさか私のことが好きだなんて夢にも思わなかったから、私はもうビックリだ。
でもすごく嬉しい。すっごくだ。だって実は私もずっと、彼のことが好きだった。だから2度目のデートのとき、私は彼を自分から部屋に誘った。彼は戸惑っていたけど、私達はもう20代後半のいい大人だ。こんなの当たり前のはずだろう。
「……なぁ、名前。オレ達ついこの前付き合ったばかりだし、泊まるのはまだ早いんじゃないか?」
鶴蝶は私の部屋へ来ると、目を泳がせながらそう言った。わぁ。なに、このウブな反応。
「私達もういい大人じゃん。それに鶴蝶、これまで散々モテてたのに、なんで今さらそんなこと言ってるの? いっぱい彼女いたじゃない」
「……別にオレは、モテてたわけじゃねぇぞ」
「えー。でも施設でも学校でも、大人気だったじゃん。ずっと彼女も途切れなかったし」
彼は性格が良くて優しくて、さらに漢気もあって頼り甲斐もある。細かいことを気にしないし、気遣いも完璧だ。見た目も精悍でカッコいいし、女子達が放っておくワケがない。
「……まぁそうだけど、皆んなオレが好きで付き合ったワケじゃないからな」
「ソレどういうこと?」
鶴蝶はちょっと顔を赤くしながら言った。
「……ほんとはオマエのことが好きだったけど、告白する勇気がなかったんだ。だから向こうから告白してきた子と、ただ付き合い続けてただけだった」
「ホントに? でも鶴蝶、童貞ってワケじゃないよね?」
「……あぁ」
これはかなり驚いた。それなら私達、両思いだったんじゃん。勿体ないことしちゃったなぁ。それに私のことが好きだったのに、他の子とやることはやってるの? なんかちょっとムカつく。私はこれまで、誰とも付き合わなかったのに。
よし。じゃあちょっと、彼のことを懲らしめちゃおう。
私は無言で彼のそばに寄り、ギョッとする彼の顔を見て笑った。そしてそのまま彼の手を取りベッドまで誘導すると、彼を思いきり押し倒した。
「お、おい!!」
鶴蝶が焦ってる。面白い。私はすぐに彼の太腿の上に乗り、マウントポジションを取った。わぁ。いい眺め。鶴蝶は私を見上げて絶句してる。もう顔が真っ赤だ。
「鶴蝶は歴代の彼女達とこんなことはいっぱい経験してるんでしょ? そんなにビックリすることないじゃん」
私が満面の笑みで言うと、今度は彼は唇を尖らせた。
「……オマエ、オレを何だと思ってるんだ。殆どしたことねぇよ」
「殆どだから、無いワケじゃないんでしょ?」
「……まぁ確かにそうだけど、もう全然覚えてねぇから、前の話はやめてくれ」
鶴蝶はそっぽを向いた。なんかやっぱり、ちょっとムカつく。私はそんな経験、ほんとにないのに。ますます彼を懲らしめたくなってきた。
「鶴蝶、中学のときは3人付き合ってたよね? 高校でも確か3人くらい。仕事はじめてからは聞いたことなかったけど」
「……なんでそんなにオレのことに詳しいんだ」
「だって施設内ってすぐ噂まわるから。私達にプライベートなんてなかったでしょ」
「……まぁ、そうだけど」
「なんで私のこと好きなのに言わなかったの?」
私もずっと好きだったのに。まぁ、待ってたワケじゃないけど。
「……勇気が出なかった」
鶴蝶は相変わらず照れているのか顔が赤い。私と目も合わせない。
「じゃあどうして他の子達と付き合ったの?」
「……童貞のままだとイザナ達にバカにされるから」
「えー。そんな理由? でも確かに鶴蝶の周りは、年上の不良だらけだったもんね。そんな風になるのかぁ」
鶴蝶はしばらく黙り込んだあと、言いにくそうに打ち明けた。
「……それに、いつか名前と付き合えたときのためにも、色々経験積んどけってうるさくて」
「経験って、エロい経験のこと?」
「……そうだ」
わぁ。男子と女子では、こんなに考え方が違うのか。仕方ないけど、やっぱり残念だなぁ。なんかもうちょっとだけ、意地悪したくなってきた。
私はここで、これまでずっと秘密にしていたことを、彼にぶちまけることにした。
「……鶴蝶、実は私さ、結構経験豊富なの。ちょっとやってみるから確かめて」
「……え」
鶴蝶はビックリした顔をして私を見た。私はすぐに彼に濃厚なキスをする。多分1分以上はしていたと思う。ずっと閉じていた目を開けると、彼は固まっていた。
「……オマエ、やっぱり彼氏いたんだな」
私は答えない。かわりに更に大人なキスをしてみる。長いこと続けていると、鶴蝶は私を優しく引き離した。腑に落ちない表情をしている。
「オマエ、彼氏がいたならなんでオレに言わなかったんだよ」
「彼氏なんてずっといないよ」
「なんだよソレ」
「だから、彼氏なんていないって」
「じゃあ付き合ってもねぇ男と、こんな経験積んだのか!」
鶴蝶は怒った。自分だって彼女達と経験してきたくせに、かなり自分勝手だ。でも私はそれが嬉しくて思わず微笑んでしまう。
「実はもっと経験あるんだ」
鶴蝶はもう完全に怒っている。勢い良く身体を起こし、私のことを優しく払い退けた。
「オマエがそんな女だなんて思わなかった」
「私のこと嫌いになった?」
「いや、全然」
即答だ。怒ってはいるけど、嫌いにはならないんだ。私は益々嬉しくなる。よーし。じゃあここで、爆弾発言をしてみよう。
「ほんとに良かったね。でも鶴蝶、寂しいんじゃない? これまでイザナ君とずっと仲良かったし、退寮してからも彼、日本にいるときは毎日のように家に泊まりに来てたんでしょ?」
「あぁ。何故かアイツんち、ベッドが無いからな。メシもうちで食ってくし、殆どずっと一緒だったな」
「ほんとに仲がいいよね」
でもイザナ君は確か、鶴蝶のことを'下僕'って言ってた気がする。面白い。
「あぁ。けどもうそんな生活も終わった。イザナはこれからは、彼女と過ごすからな」
鶴蝶はあまり残念じゃないみたいだ。この感じだとこれからも彼は、イザナ君中心の生活を送るんだろう。仕事も一緒だし、ほんとに何も変わらなかったりして。
ところがそこから鶴蝶は、いきなり豹変してしまった。突然私を食事に誘い、その日のうちに告白してきたからだ。
施設を出て働き出してから、彼はイザナ君達と世界中を飛びまわっている。それでも彼はちょくちょく帰国して、その度に私に会いに来た。でもまさか私のことが好きだなんて夢にも思わなかったから、私はもうビックリだ。
でもすごく嬉しい。すっごくだ。だって実は私もずっと、彼のことが好きだった。だから2度目のデートのとき、私は彼を自分から部屋に誘った。彼は戸惑っていたけど、私達はもう20代後半のいい大人だ。こんなの当たり前のはずだろう。
「……なぁ、名前。オレ達ついこの前付き合ったばかりだし、泊まるのはまだ早いんじゃないか?」
鶴蝶は私の部屋へ来ると、目を泳がせながらそう言った。わぁ。なに、このウブな反応。
「私達もういい大人じゃん。それに鶴蝶、これまで散々モテてたのに、なんで今さらそんなこと言ってるの? いっぱい彼女いたじゃない」
「……別にオレは、モテてたわけじゃねぇぞ」
「えー。でも施設でも学校でも、大人気だったじゃん。ずっと彼女も途切れなかったし」
彼は性格が良くて優しくて、さらに漢気もあって頼り甲斐もある。細かいことを気にしないし、気遣いも完璧だ。見た目も精悍でカッコいいし、女子達が放っておくワケがない。
「……まぁそうだけど、皆んなオレが好きで付き合ったワケじゃないからな」
「ソレどういうこと?」
鶴蝶はちょっと顔を赤くしながら言った。
「……ほんとはオマエのことが好きだったけど、告白する勇気がなかったんだ。だから向こうから告白してきた子と、ただ付き合い続けてただけだった」
「ホントに? でも鶴蝶、童貞ってワケじゃないよね?」
「……あぁ」
これはかなり驚いた。それなら私達、両思いだったんじゃん。勿体ないことしちゃったなぁ。それに私のことが好きだったのに、他の子とやることはやってるの? なんかちょっとムカつく。私はこれまで、誰とも付き合わなかったのに。
よし。じゃあちょっと、彼のことを懲らしめちゃおう。
私は無言で彼のそばに寄り、ギョッとする彼の顔を見て笑った。そしてそのまま彼の手を取りベッドまで誘導すると、彼を思いきり押し倒した。
「お、おい!!」
鶴蝶が焦ってる。面白い。私はすぐに彼の太腿の上に乗り、マウントポジションを取った。わぁ。いい眺め。鶴蝶は私を見上げて絶句してる。もう顔が真っ赤だ。
「鶴蝶は歴代の彼女達とこんなことはいっぱい経験してるんでしょ? そんなにビックリすることないじゃん」
私が満面の笑みで言うと、今度は彼は唇を尖らせた。
「……オマエ、オレを何だと思ってるんだ。殆どしたことねぇよ」
「殆どだから、無いワケじゃないんでしょ?」
「……まぁ確かにそうだけど、もう全然覚えてねぇから、前の話はやめてくれ」
鶴蝶はそっぽを向いた。なんかやっぱり、ちょっとムカつく。私はそんな経験、ほんとにないのに。ますます彼を懲らしめたくなってきた。
「鶴蝶、中学のときは3人付き合ってたよね? 高校でも確か3人くらい。仕事はじめてからは聞いたことなかったけど」
「……なんでそんなにオレのことに詳しいんだ」
「だって施設内ってすぐ噂まわるから。私達にプライベートなんてなかったでしょ」
「……まぁ、そうだけど」
「なんで私のこと好きなのに言わなかったの?」
私もずっと好きだったのに。まぁ、待ってたワケじゃないけど。
「……勇気が出なかった」
鶴蝶は相変わらず照れているのか顔が赤い。私と目も合わせない。
「じゃあどうして他の子達と付き合ったの?」
「……童貞のままだとイザナ達にバカにされるから」
「えー。そんな理由? でも確かに鶴蝶の周りは、年上の不良だらけだったもんね。そんな風になるのかぁ」
鶴蝶はしばらく黙り込んだあと、言いにくそうに打ち明けた。
「……それに、いつか名前と付き合えたときのためにも、色々経験積んどけってうるさくて」
「経験って、エロい経験のこと?」
「……そうだ」
わぁ。男子と女子では、こんなに考え方が違うのか。仕方ないけど、やっぱり残念だなぁ。なんかもうちょっとだけ、意地悪したくなってきた。
私はここで、これまでずっと秘密にしていたことを、彼にぶちまけることにした。
「……鶴蝶、実は私さ、結構経験豊富なの。ちょっとやってみるから確かめて」
「……え」
鶴蝶はビックリした顔をして私を見た。私はすぐに彼に濃厚なキスをする。多分1分以上はしていたと思う。ずっと閉じていた目を開けると、彼は固まっていた。
「……オマエ、やっぱり彼氏いたんだな」
私は答えない。かわりに更に大人なキスをしてみる。長いこと続けていると、鶴蝶は私を優しく引き離した。腑に落ちない表情をしている。
「オマエ、彼氏がいたならなんでオレに言わなかったんだよ」
「彼氏なんてずっといないよ」
「なんだよソレ」
「だから、彼氏なんていないって」
「じゃあ付き合ってもねぇ男と、こんな経験積んだのか!」
鶴蝶は怒った。自分だって彼女達と経験してきたくせに、かなり自分勝手だ。でも私はそれが嬉しくて思わず微笑んでしまう。
「実はもっと経験あるんだ」
鶴蝶はもう完全に怒っている。勢い良く身体を起こし、私のことを優しく払い退けた。
「オマエがそんな女だなんて思わなかった」
「私のこと嫌いになった?」
「いや、全然」
即答だ。怒ってはいるけど、嫌いにはならないんだ。私は益々嬉しくなる。よーし。じゃあここで、爆弾発言をしてみよう。
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