Story.3 confess my secret
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翌日。待ち合わせの会場に行くと、既に三ツ谷さんが来ていた。ここは貸し切りのお部屋だから、少し安心する。彼は私の顔を見るなり、ビックリしたようだ。きっと私が酷い顔をしているからに違いない。
「苗字さん、大丈夫か? めちゃくちゃ顔色が悪いけど」
「実は……」
やっぱりその先は言えなくて、黙りこんでしまう。でももう限界だった。これまで懸命に堪えてきたものが、音を立てて崩れようとしている。
三ツ谷さんは私の肩に優しく手を乗せ、これまでで1番優しい眼差しで言った。
「苗字さん、オマエ、なんかあるんだろ? 最初に会ったときから気になってた。普通そうにはしてるけど、ずっと何かに怯えてるみたいだった。たくさん予定を入れたかったのも、そのことと関係があるんじゃねぇのか?」
「はい……」
彼は私のことを「君」とは呼ばず、「オマエ」と呼んでくれたことに、彼の優しさを感じた。きっと彼は、私との雇用関係は終わったから、私と距離を近づけてくれたんだ。それはつまり、私に踏み込んできてくれる優しさだと思った。
私はもう泣き出しそうだ。そのとき皆んなもやってきて、私の顔を見るなり息を飲んだ。でもすぐに真剣な表情になり、私を見守ってくれている。三ツ谷さんが一層優しい声で言った。
「実はこいつらは全員、オレが昔"東卍"っていうチームにいたころの仲間なんだ。皆んなオマエのことを心配してる。何か悩みがあるんじゃねぇかって。もしオレらで良ければ、話してくれよ」
私はそれを聞くと安心して、小さく深呼吸してから話し始めた。
私は4月に最愛の母を亡くしてから、誰かに監視されていることに気づいた。それが誰かは分からないけど、何故だか視線を感じる。それは外にいるときも、家にいるときも同じだった。
最初は大切な母を亡くし、一人暮らしが始まったばかりの頃だったので、神経が過敏になっているんだと思った。でもやっぱり感じるのだ。しばらく経ったころから、玄関の郵便受けに写真が入るようになった。それは私が写っている写真で、職場の人や友達といるときのものもあり、心の底から怖くなった。
すぐに警察に相談したけれど、見回りを強化するだけで、事件としては捜査できない、と言われた。警察は何か被害がないと捜査が出来ないらしい。
私はだんだん、周りの人達と交流するのが怖くなった。万が一皆んなに危害を加えられたらと思うと、いてもたっても居られない。でも家族も親族もいない私は、どんどん気持ちが塞ぎ込んでいった。
三ツ谷さんの事務所の貼り紙を見つけたのは、そんな頃だった。土日も仕事をすれば、私は誰かと居られることになる。だから私は彼の事務所の扉を叩いたのだった。
「職場や友達には、心配かけたくないからどうしても言えなかったんです。それに万が一のことがあったらいけないと思って。でもそうしたら、どんどん孤独になってしまいました。それにまた昨日、こんな写真が入っていて」
私がその写真を取り出すと、皆んなビックリしている。スマイリーさんが口を開いた。珍しく彼は笑っていない。
「コレは気持ち悪りぃな。昨日のショーの時も、苗字さんのことを見てたってワケか」
「なんだよ!! なんで警察は動かないんだよ!! 役立たず!!」
アングリーさんは一層怒っている。
「お母さんが亡くなったのは4月だから、もう2ヶ月もこんな状況が続いてるのか。ほんとに辛いですね」
千冬さんは真剣な表情でそう言ってくれた。
「心当たりはねぇのか? そのストーカー野郎に」
場地さんに尋ねられ、私はもう一度考えてみたけれど、やっぱり心当たりはない。
「それが、全くわからなくて」
「君さ、その前に男フッてない? 君ならよくされるだろ? 告白」
一虎さんは笑ってそう尋ねた。彼のピアスがリン、と鳴る。
「いえ、そんなことはないんですが……でも多分、今年に入ってからは3人くらいだと思います……」
ところがそれを聞いた途端、何故か皆んな、一斉にへらりと笑った。あ、あれ? なんだろう、この雰囲気は? さっきまでものすごく緊迫していたのに、一気に皆んな、柔らかい雰囲気になった。
「そうだろなぁ、お前なら」
スマイリーさんはもうニコニコ顔に戻っている。
「昨日ランウェイを歩いてる苗字さんを見てた男は、皆んな釘付けでしたもんね」
千冬さんも笑っている。すぐに場地さんが元気良く続けた。
「けどそれなら話は早いぞ。そのお前がフッた男どもをリストアップして、片っ端から殴っていきゃあいい!!」
場地さんは拳を振り上げて豪快に笑った。えっ? 片っ端から殴る?? 私は目が点になる。
「久々にオレら、腕がなるな! オイ一虎、どっちが先に真犯人ぶん殴るか、勝負しよーぜ!!」
「言ったな場地! ぜってぇ負けねぇぞ!! 犯人はオレが殺す!!」
えっ! ぶん殴るとか殺すとか、めちゃくちゃ過激すぎる!
「よし、兄ちゃん!! オレらも苗字さんのために、一肌脱がないとね!! 絶対犯人捕まえてやる!!」
「あぁ勿論だ! 犯人はオレ達元"双悪"がボコボコにしてやるぜ!!」
わぁぁ、これって一体、どういうこと?! 私は完全に八方塞がりなのに、彼等はもう、絶対に解決出来ると思っているようだ。しかもなんだか、犯人を倒せることを喜んでいるような………
私はもう先ほどまでの悲壮感は消え、ただただ皆んなの勢いに圧倒されている。す、すごい。でも皆んな、めちゃくちゃ心強い……
そのとき三ツ谷さんが少し声を荒らげ、皆んなを遮った。
「オイオイ! お前ら片っ端から殴るとか辞めろ! 苗字さんにフラれたからって、そいつが犯人とは限らねぇだろ! それに苗字さんだって職場や友人関係もあるんだ。犯人ボコるときはちゃんと特定してからだ」
三ツ谷さんはスマートだけど、結局ボコボコにする気らしい。や、やっぱり彼も、なかなか血気盛んなんだ……
「あ、でもちょっと待って。やっぱりそれなら、稀咲に相談してからの方がいいんじゃないですか? 苗字さんのためにも、絶対失敗はできねぇし」
千冬さんの提案に、みんな一斉に頷いた。すぐさま場地さんが、彼に勢いよく指をさす。
「よし! じゃあ社長、稀咲の奴に今すぐ電話かけて聞いてくれ!」
「えっ、でもいきなりかけて大丈夫ですかね? あいつめちゃくちゃ忙しいから」
「大丈夫だよ! 早くかけろ!! こっちは一大事なんだ!!」
「苗字さん、大丈夫か? めちゃくちゃ顔色が悪いけど」
「実は……」
やっぱりその先は言えなくて、黙りこんでしまう。でももう限界だった。これまで懸命に堪えてきたものが、音を立てて崩れようとしている。
三ツ谷さんは私の肩に優しく手を乗せ、これまでで1番優しい眼差しで言った。
「苗字さん、オマエ、なんかあるんだろ? 最初に会ったときから気になってた。普通そうにはしてるけど、ずっと何かに怯えてるみたいだった。たくさん予定を入れたかったのも、そのことと関係があるんじゃねぇのか?」
「はい……」
彼は私のことを「君」とは呼ばず、「オマエ」と呼んでくれたことに、彼の優しさを感じた。きっと彼は、私との雇用関係は終わったから、私と距離を近づけてくれたんだ。それはつまり、私に踏み込んできてくれる優しさだと思った。
私はもう泣き出しそうだ。そのとき皆んなもやってきて、私の顔を見るなり息を飲んだ。でもすぐに真剣な表情になり、私を見守ってくれている。三ツ谷さんが一層優しい声で言った。
「実はこいつらは全員、オレが昔"東卍"っていうチームにいたころの仲間なんだ。皆んなオマエのことを心配してる。何か悩みがあるんじゃねぇかって。もしオレらで良ければ、話してくれよ」
私はそれを聞くと安心して、小さく深呼吸してから話し始めた。
私は4月に最愛の母を亡くしてから、誰かに監視されていることに気づいた。それが誰かは分からないけど、何故だか視線を感じる。それは外にいるときも、家にいるときも同じだった。
最初は大切な母を亡くし、一人暮らしが始まったばかりの頃だったので、神経が過敏になっているんだと思った。でもやっぱり感じるのだ。しばらく経ったころから、玄関の郵便受けに写真が入るようになった。それは私が写っている写真で、職場の人や友達といるときのものもあり、心の底から怖くなった。
すぐに警察に相談したけれど、見回りを強化するだけで、事件としては捜査できない、と言われた。警察は何か被害がないと捜査が出来ないらしい。
私はだんだん、周りの人達と交流するのが怖くなった。万が一皆んなに危害を加えられたらと思うと、いてもたっても居られない。でも家族も親族もいない私は、どんどん気持ちが塞ぎ込んでいった。
三ツ谷さんの事務所の貼り紙を見つけたのは、そんな頃だった。土日も仕事をすれば、私は誰かと居られることになる。だから私は彼の事務所の扉を叩いたのだった。
「職場や友達には、心配かけたくないからどうしても言えなかったんです。それに万が一のことがあったらいけないと思って。でもそうしたら、どんどん孤独になってしまいました。それにまた昨日、こんな写真が入っていて」
私がその写真を取り出すと、皆んなビックリしている。スマイリーさんが口を開いた。珍しく彼は笑っていない。
「コレは気持ち悪りぃな。昨日のショーの時も、苗字さんのことを見てたってワケか」
「なんだよ!! なんで警察は動かないんだよ!! 役立たず!!」
アングリーさんは一層怒っている。
「お母さんが亡くなったのは4月だから、もう2ヶ月もこんな状況が続いてるのか。ほんとに辛いですね」
千冬さんは真剣な表情でそう言ってくれた。
「心当たりはねぇのか? そのストーカー野郎に」
場地さんに尋ねられ、私はもう一度考えてみたけれど、やっぱり心当たりはない。
「それが、全くわからなくて」
「君さ、その前に男フッてない? 君ならよくされるだろ? 告白」
一虎さんは笑ってそう尋ねた。彼のピアスがリン、と鳴る。
「いえ、そんなことはないんですが……でも多分、今年に入ってからは3人くらいだと思います……」
ところがそれを聞いた途端、何故か皆んな、一斉にへらりと笑った。あ、あれ? なんだろう、この雰囲気は? さっきまでものすごく緊迫していたのに、一気に皆んな、柔らかい雰囲気になった。
「そうだろなぁ、お前なら」
スマイリーさんはもうニコニコ顔に戻っている。
「昨日ランウェイを歩いてる苗字さんを見てた男は、皆んな釘付けでしたもんね」
千冬さんも笑っている。すぐに場地さんが元気良く続けた。
「けどそれなら話は早いぞ。そのお前がフッた男どもをリストアップして、片っ端から殴っていきゃあいい!!」
場地さんは拳を振り上げて豪快に笑った。えっ? 片っ端から殴る?? 私は目が点になる。
「久々にオレら、腕がなるな! オイ一虎、どっちが先に真犯人ぶん殴るか、勝負しよーぜ!!」
「言ったな場地! ぜってぇ負けねぇぞ!! 犯人はオレが殺す!!」
えっ! ぶん殴るとか殺すとか、めちゃくちゃ過激すぎる!
「よし、兄ちゃん!! オレらも苗字さんのために、一肌脱がないとね!! 絶対犯人捕まえてやる!!」
「あぁ勿論だ! 犯人はオレ達元"双悪"がボコボコにしてやるぜ!!」
わぁぁ、これって一体、どういうこと?! 私は完全に八方塞がりなのに、彼等はもう、絶対に解決出来ると思っているようだ。しかもなんだか、犯人を倒せることを喜んでいるような………
私はもう先ほどまでの悲壮感は消え、ただただ皆んなの勢いに圧倒されている。す、すごい。でも皆んな、めちゃくちゃ心強い……
そのとき三ツ谷さんが少し声を荒らげ、皆んなを遮った。
「オイオイ! お前ら片っ端から殴るとか辞めろ! 苗字さんにフラれたからって、そいつが犯人とは限らねぇだろ! それに苗字さんだって職場や友人関係もあるんだ。犯人ボコるときはちゃんと特定してからだ」
三ツ谷さんはスマートだけど、結局ボコボコにする気らしい。や、やっぱり彼も、なかなか血気盛んなんだ……
「あ、でもちょっと待って。やっぱりそれなら、稀咲に相談してからの方がいいんじゃないですか? 苗字さんのためにも、絶対失敗はできねぇし」
千冬さんの提案に、みんな一斉に頷いた。すぐさま場地さんが、彼に勢いよく指をさす。
「よし! じゃあ社長、稀咲の奴に今すぐ電話かけて聞いてくれ!」
「えっ、でもいきなりかけて大丈夫ですかね? あいつめちゃくちゃ忙しいから」
「大丈夫だよ! 早くかけろ!! こっちは一大事なんだ!!」