He lives next door
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「やっぱりないなぁ。カギ、どこになくしちゃったんだろう?」
私が鞄の中身を地べたに並べて確認していると、上から声が聞こえた。
「何やってんだぁ? オマエ」
顔を上げると、隣の部屋に住んでいる半間さんだ。
「実はカギをなくしてしまったみたいで」
「こんな夜中にそれは災難だな。彼氏に迎えに来てもらえよ」
「彼氏なんていないので、それはムリなんです。困りました」
半間さんは少しだけ間があってから笑った。
「オマエ、ベランダ側の窓、カギかけてるか?」
「いえ。不用心ですが、いつも開けています」
ここはマンションの11階だから、誰も入って来られない。
「じゃあオレんちのベランダから入れよ」
「いいんですか?」
半間さんはあぁ、と言って自室の玄関のドアを開け、私に入るよう促した。私はすぐに鞄に中身をしまい、彼の方へ駆け寄る。一瞬、こんな時間に男の人の部屋に入るのは危険かな、と思った。彼とはもう1年以上隣人だけど、ほとんど話したこともない。たしか仕事は、フリーのカメラマンだったはずだ。世界中を飛び回っているから、家をあけることが多いらしい。それでも背に腹はかえられない。こんな真夜中に駅前まで戻るのは面倒だし、野宿はもっと面倒だ。
ところが半間さんは私を中に招き入れると、すぐにドアを閉め、私のことをゆっくりと壁際に追いつめた。すぐに顔を近づけてきて、楽しそうに笑っている。
「オマエ、ほんとに不用心だな。こんな夜中に良く知りもしねぇ男の部屋に入るなんて。自殺行為だろ」
これは多分、所謂壁ドンというものだ。彼の肩までのばした髪が、私の鎖骨に触れている。彼はサイドだけ金髪に染めていて、なかなかお洒落だ。
「そうですね。でも万が一にもそんな可能性があっても、いいかなって思ったんです」
「……へぇ。じゃあ今からオレがひどいことしても?」
顔色を変えない私を見て、半間さんはさらに愉快そうに笑った。
「オモロ♡」
彼はすぐに私から離れると、靴を脱いで奥に進んだ。私は自分の靴を持って、彼のあとに続く。中は片付いていて、あまり物がない。リビングには大きなTVとゲーム機だけが置かれ、豪華な絨毯が敷かれている。
彼はベランダを出ると、私の部屋との間仕切り板を蹴り飛ばした。私は自分のベランダへ入ると、彼の方を振り返った。
「有難うございました。またこのお礼をさせていただきます」
「あぁ。気長に待ってるぜ」
私は半分開いていた窓から自分の部屋に上がった。
1週間後。また半間さんと同じような時刻に出くわして、私は彼に声をかけた。
「今晩は」
「カギは見つかったか?」
「いえ。どこにもないので、スペアを使っているんです。本来なら、玄関のドアを変えることも検討しないといけないのですが」
「そりゃあダリぃな」
半間さんは今日も愉快そうだ。
「先週のお礼をしたいんですが、次の土曜ってあいてますか? もし良かったら何か夕飯を作りますので、召し上がりに来ませんか?」
「了解♡」
半間さんはそれだけ言うと部屋に入っていった。
土曜日の夜。8時ごろになって彼は来た。私が招き入れると、彼はやっぱり上機嫌だ。目を輝かせながらリビングを見渡している。
「オマエんち、綺麗だな」
「そうですか? 冷めないうちに食べましょう」
たわいもない雑談をしながら夕飯を食べ、私が食器の後片付けを終えたとき、彼が尋ねてきた。
「なぁ、まだ食べたいもんがあるんだけど、言っていいか?」
「なんですか?」
彼はゆっくり私に近づいて、私を真っ直ぐに見下ろした。
「オマエ」
私はまだ返事もしていないのに、彼は私を横向きに抱き上げて、隣の部屋の襖を開けた。そちらは寝室になっていて、私はベッドの上に優しく落とされる。
彼はもう目の前だ。ゆっくり私に覆い被さってくる。
「いいよな?」
「私、初めてだけどいいですか? もしかしたら面倒くさいかもしれないです」
質問を質問で返した私に、彼は目を丸くした。あ、彼でもこんな表情をするんだ。
「なんでケーケンねぇんだよ? その見た目なら、男なんて履いて捨てるほど寄ってくんだろ?」
「その中で私が心惹かれる人はいなかったので」
「へぇ。じゃあオレはいいのか?」
ちょっとだけ間があって、私は答えた。
「はい。でも……」
「なに?」
「世界中に出かけている半間さんなら、色々な国の美女に出会えるはずです。どうして私に白羽の矢が立ったのですか?」
彼は一層楽しそうに笑った。
「氷みてぇに冷たそうなオマエが、どんなふうに溶けて啼くのかキョーミあったから」
「……成る程。それは私も、興味があります」
半間さんはそれを聞くとマジでオモロ、と言って私にキスした。
私が鞄の中身を地べたに並べて確認していると、上から声が聞こえた。
「何やってんだぁ? オマエ」
顔を上げると、隣の部屋に住んでいる半間さんだ。
「実はカギをなくしてしまったみたいで」
「こんな夜中にそれは災難だな。彼氏に迎えに来てもらえよ」
「彼氏なんていないので、それはムリなんです。困りました」
半間さんは少しだけ間があってから笑った。
「オマエ、ベランダ側の窓、カギかけてるか?」
「いえ。不用心ですが、いつも開けています」
ここはマンションの11階だから、誰も入って来られない。
「じゃあオレんちのベランダから入れよ」
「いいんですか?」
半間さんはあぁ、と言って自室の玄関のドアを開け、私に入るよう促した。私はすぐに鞄に中身をしまい、彼の方へ駆け寄る。一瞬、こんな時間に男の人の部屋に入るのは危険かな、と思った。彼とはもう1年以上隣人だけど、ほとんど話したこともない。たしか仕事は、フリーのカメラマンだったはずだ。世界中を飛び回っているから、家をあけることが多いらしい。それでも背に腹はかえられない。こんな真夜中に駅前まで戻るのは面倒だし、野宿はもっと面倒だ。
ところが半間さんは私を中に招き入れると、すぐにドアを閉め、私のことをゆっくりと壁際に追いつめた。すぐに顔を近づけてきて、楽しそうに笑っている。
「オマエ、ほんとに不用心だな。こんな夜中に良く知りもしねぇ男の部屋に入るなんて。自殺行為だろ」
これは多分、所謂壁ドンというものだ。彼の肩までのばした髪が、私の鎖骨に触れている。彼はサイドだけ金髪に染めていて、なかなかお洒落だ。
「そうですね。でも万が一にもそんな可能性があっても、いいかなって思ったんです」
「……へぇ。じゃあ今からオレがひどいことしても?」
顔色を変えない私を見て、半間さんはさらに愉快そうに笑った。
「オモロ♡」
彼はすぐに私から離れると、靴を脱いで奥に進んだ。私は自分の靴を持って、彼のあとに続く。中は片付いていて、あまり物がない。リビングには大きなTVとゲーム機だけが置かれ、豪華な絨毯が敷かれている。
彼はベランダを出ると、私の部屋との間仕切り板を蹴り飛ばした。私は自分のベランダへ入ると、彼の方を振り返った。
「有難うございました。またこのお礼をさせていただきます」
「あぁ。気長に待ってるぜ」
私は半分開いていた窓から自分の部屋に上がった。
1週間後。また半間さんと同じような時刻に出くわして、私は彼に声をかけた。
「今晩は」
「カギは見つかったか?」
「いえ。どこにもないので、スペアを使っているんです。本来なら、玄関のドアを変えることも検討しないといけないのですが」
「そりゃあダリぃな」
半間さんは今日も愉快そうだ。
「先週のお礼をしたいんですが、次の土曜ってあいてますか? もし良かったら何か夕飯を作りますので、召し上がりに来ませんか?」
「了解♡」
半間さんはそれだけ言うと部屋に入っていった。
土曜日の夜。8時ごろになって彼は来た。私が招き入れると、彼はやっぱり上機嫌だ。目を輝かせながらリビングを見渡している。
「オマエんち、綺麗だな」
「そうですか? 冷めないうちに食べましょう」
たわいもない雑談をしながら夕飯を食べ、私が食器の後片付けを終えたとき、彼が尋ねてきた。
「なぁ、まだ食べたいもんがあるんだけど、言っていいか?」
「なんですか?」
彼はゆっくり私に近づいて、私を真っ直ぐに見下ろした。
「オマエ」
私はまだ返事もしていないのに、彼は私を横向きに抱き上げて、隣の部屋の襖を開けた。そちらは寝室になっていて、私はベッドの上に優しく落とされる。
彼はもう目の前だ。ゆっくり私に覆い被さってくる。
「いいよな?」
「私、初めてだけどいいですか? もしかしたら面倒くさいかもしれないです」
質問を質問で返した私に、彼は目を丸くした。あ、彼でもこんな表情をするんだ。
「なんでケーケンねぇんだよ? その見た目なら、男なんて履いて捨てるほど寄ってくんだろ?」
「その中で私が心惹かれる人はいなかったので」
「へぇ。じゃあオレはいいのか?」
ちょっとだけ間があって、私は答えた。
「はい。でも……」
「なに?」
「世界中に出かけている半間さんなら、色々な国の美女に出会えるはずです。どうして私に白羽の矢が立ったのですか?」
彼は一層楽しそうに笑った。
「氷みてぇに冷たそうなオマエが、どんなふうに溶けて啼くのかキョーミあったから」
「……成る程。それは私も、興味があります」
半間さんはそれを聞くとマジでオモロ、と言って私にキスした。
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