第16話 同居生活⑤ -媚薬I-
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ヤノくんとの同居生活も5日目になった。そろそろ仕事に行きたいなぁ、と思いはじめていた頃。その日、信じられない大事件が起こってしまうのだった………
「よし!今日も掃除完了!」
お昼過ぎ。私はいつものように家中の掃除を終わらせ、一息つこうとしていた。ヤノくんからもらったチョコレートの箱を開ける。中身はもう赤とピンクの2つだけだ。最後は一粒ずつ分け合おうと思い、赤はヤノくんに残し、私はピンクのチョコを手に取った。
「このチョコレート、本当に美味しかったなぁ」
最後の一粒を噛み締めるように味わう。ほっぺが落ちそうな甘さだ。そのときスマホの着信があった。見ると、ヤノくんからだ。
「苗字!チョコレートはあるか?!あと何色のが残ってる?!」
ヤノくんは大声でそう尋ねた。なんだか焦っているようだ。
「どうかしたんですか?あとは赤色だけですが」
ヤノくんが電話越しに息を飲むのがわかった。本当に、どうしたんだろう?
「ピンクのはどうした?!」
「……たった今食べたばかりですが」
「今すぐ帰るから待ってろ!その赤のやつはぜってぇー食うな!!わかったな?!!」
小1時間後、ヤノくんは帰ってきた。私はというと、なんだか少し暑く感じるので、リビングの窓を開けたところだった。今日は秋晴れでとても過ごしやすい気候なのに、何故だろう?
「ヤノくん、何かあったんですか?チョコレートならそちらに置いていますよ」
ヤノくんは顔面蒼白だった。
「……お前、なんか変わったことはねぇか?」
「? 特にありませんが」
ヤノくんは私をソファに座らせる。彼はものすごい汗をかいている。本当に、一体どうしたんだろう?
「いいか、良く聞いてくれ……実はこのチョコレート、赤とピンクのに細工がされてた。俺たちが使うもぐりの医者が作った、ある"試作品"が入ってたんだ……」
「試作品、ですか?」
「……あぁ、そいつは遊び半分で作ったらしいが、ボスがそれを知らず俺に渡して、お前が食っちまった」
「中身は何なのですか?」
ヤノくんは相変わらず青い顔をしている。私はまた暑くなってきて、カーディガンを脱いだ。
「……媚薬だ」
「びやく?」
私がキョトンとしていると、ヤノくんは左手で両目を覆いながら項垂れた。
「……あぁ。しらねぇか?」
「分かりません。それってどんなものなんですか?」
何故だかどんどん暑くなってくる。私はネックウォーマーも外してトップス1枚になった。胸元の傷が見えるけれど、ヤノくんの前だから恥ずかしくない。
ヤノくんは目を伏せたまま答えた。
「……エロいことしたくなる薬」
「……え?」
やっぱり身体が暑くてたまらない。デジタル時計の温度は20℃と快適なはずなのに、真夏のように暑く感じる。それに今の言葉って……?
「……えろいこと、ですか?」
ヤノくんは俯いたまま両手で頭をかきむしり始めた。
「くそー!!もうちょっと早く電話してれば……」
「ヤノくん、これって良くない状況なんですか?」
ヤノくんは私を見た。相変わらず汗だくだ。
「……驚かねぇで聞いてくれ。その薬を飲むと身体が熱くなってきて、エロいことがしたくなる。それでそのまま放置したら、お前の心臓は止まっちまう」
私は何度も瞬きした。それって……
「つまり、死んでしまうということですか?」
「そう」
私はもう暑くて暑くてたまらない。とうとうトップスも脱いで、キャミソール1枚になってしまった。こんなはしたない姿をするなんて普段なら考えられないが、本当に暑くて熱中症になりそうなのだ。
「ごめんなさい、すごく暑くて……もしかしてこれも、その薬の効果なんですか?」
「……あぁ、きっとそうだ」
ヤノくんは私から視線を逸らした。私はどんどん頭の中がボーッとしてくる。熱がある時みたいだ。
「……ヤノくん、何だか身体がおかしくなってきました。私、死んでしまうんですか?出来ればまだ死にたくないんですが」
もうボーッとし過ぎて危機感がわいてこない。それより何か、強い衝動が込み上がってくるのを感じる。良く分からないけれど、身体の中から強い飢えのようなものを感じるのだ。
「……悪いがお前の命を救うには、エロいことするしかねぇ」
ヤノくんはやっぱり下を向いたまま酷く思い詰めた顔をしている。私はふわふわした頭のまま尋ねた。
「えろいことって、具体的にはどうすればいいのですか?」
ヤノくんは数秒沈黙したあと、静かに言った。
「……ちゅーしたら治るらしい」
しばらく固まっていたけれど、もう身体が限界だった。動悸がするし、めちゃくちゃ暑い。くらくらしていて酸欠状態だ。この状況をなんとかして止めたい。でも、ちゅーするというのは……
「ほかに何か方法はないんですか?」
私は泣きそうになりながら尋ねた。すごく苦しい。身体が苦しくてたまらない。ヤノくんはやっと顔を上げた。
「ない。悪りぃけど、お前を死なせるわけにはいかねぇからやるしかねぇ」
「けど……」
どうやらヤノくんは私とそれをするつもりらしい。でも私はそんなことできないと思った。
「ヤノくん、私、死にたくないです……まだいっぱいやり残したことがあるんです……ヤノくんと行ってみたい所が沢山ありますし、ヤノくんに聞いてみたいことも、話したいことも沢山あるんです……」
「だったらもう覚悟キメるしかねぇだろ」
「……けど、私たちは恋人じゃありませんし……」
それを言うととても悲しくなった。でもそれは事実だった。ヤノくんにそんな事はしてもらえない。
「そんなこと言ってらんねぇ!早くしねぇとお前死んじまうし。そんなことぜってーさせねぇ!」
「でも……」
いよいよ身体がおかしくなってきた。苦しくて苦しくて、勝手に涙が溢れてくる。それに頭の中もぐちゃぐちゃになって、気持ちが抑えられなくなった。
「……でも、そんなこと出来ません……私はヤノくんのことが好きだけど、ヤノくんは私のこと好きじゃないから、ただの友達だから、そんなことは……」
私は一体、何を言っているんだろう?でも身体から湧き上がってくる衝動に抗えない。溢れ出てくる感情の波も押し戻せない。
「……でも私、めちゃくちゃそれがしたい、です……ヤノくんが、欲しい……」
最後は言葉も砕けて、そう言っていた。もう完全に頭も身体も混乱していたけれど、それは紛れもない本当の気持ちだった。もう恥ずかしくてどうにかなってしまいそうだ、と思った瞬間。
突然唇にあたたかい感触がして、私は目を見開いた。ヤノくんの切れ長の目が私のすぐ前にある。キスしてるんだな、と分かるとすぐ、私は腕を彼の背中にまわして強く抱きしめた。目を閉じてその感触に集中する。すごくすごく幸せで、生まれてきて良かったと思った。
どのくらいの時間が経ったのか、ヤノくんはゆっくりと私から離れた。今の出来事は夢だったのだろうか?とても名残惜しい気持ちが込み上げてくる。
ヤノくんは私のことを真っ直ぐに見下ろしている。その表情は真剣で、めちゃくちゃカッコよかった。
「悪かった。けどお前を助けるにはこれしかないから、やるしかなかった」
でも私は違和感を感じていた。だって、ちゃんとキスしたのにまだ身体は熱いし、動悸も息切れも止まっていない。なんで?これって、一体??
「……ヤノくん、私、まだ足りない、みたい……」
「……は?」
ヤノくんは目が点になる。私はまた身体が熱くなってきて、耐えきれずに自分からヤノくんにキスした。
「よし!今日も掃除完了!」
お昼過ぎ。私はいつものように家中の掃除を終わらせ、一息つこうとしていた。ヤノくんからもらったチョコレートの箱を開ける。中身はもう赤とピンクの2つだけだ。最後は一粒ずつ分け合おうと思い、赤はヤノくんに残し、私はピンクのチョコを手に取った。
「このチョコレート、本当に美味しかったなぁ」
最後の一粒を噛み締めるように味わう。ほっぺが落ちそうな甘さだ。そのときスマホの着信があった。見ると、ヤノくんからだ。
「苗字!チョコレートはあるか?!あと何色のが残ってる?!」
ヤノくんは大声でそう尋ねた。なんだか焦っているようだ。
「どうかしたんですか?あとは赤色だけですが」
ヤノくんが電話越しに息を飲むのがわかった。本当に、どうしたんだろう?
「ピンクのはどうした?!」
「……たった今食べたばかりですが」
「今すぐ帰るから待ってろ!その赤のやつはぜってぇー食うな!!わかったな?!!」
小1時間後、ヤノくんは帰ってきた。私はというと、なんだか少し暑く感じるので、リビングの窓を開けたところだった。今日は秋晴れでとても過ごしやすい気候なのに、何故だろう?
「ヤノくん、何かあったんですか?チョコレートならそちらに置いていますよ」
ヤノくんは顔面蒼白だった。
「……お前、なんか変わったことはねぇか?」
「? 特にありませんが」
ヤノくんは私をソファに座らせる。彼はものすごい汗をかいている。本当に、一体どうしたんだろう?
「いいか、良く聞いてくれ……実はこのチョコレート、赤とピンクのに細工がされてた。俺たちが使うもぐりの医者が作った、ある"試作品"が入ってたんだ……」
「試作品、ですか?」
「……あぁ、そいつは遊び半分で作ったらしいが、ボスがそれを知らず俺に渡して、お前が食っちまった」
「中身は何なのですか?」
ヤノくんは相変わらず青い顔をしている。私はまた暑くなってきて、カーディガンを脱いだ。
「……媚薬だ」
「びやく?」
私がキョトンとしていると、ヤノくんは左手で両目を覆いながら項垂れた。
「……あぁ。しらねぇか?」
「分かりません。それってどんなものなんですか?」
何故だかどんどん暑くなってくる。私はネックウォーマーも外してトップス1枚になった。胸元の傷が見えるけれど、ヤノくんの前だから恥ずかしくない。
ヤノくんは目を伏せたまま答えた。
「……エロいことしたくなる薬」
「……え?」
やっぱり身体が暑くてたまらない。デジタル時計の温度は20℃と快適なはずなのに、真夏のように暑く感じる。それに今の言葉って……?
「……えろいこと、ですか?」
ヤノくんは俯いたまま両手で頭をかきむしり始めた。
「くそー!!もうちょっと早く電話してれば……」
「ヤノくん、これって良くない状況なんですか?」
ヤノくんは私を見た。相変わらず汗だくだ。
「……驚かねぇで聞いてくれ。その薬を飲むと身体が熱くなってきて、エロいことがしたくなる。それでそのまま放置したら、お前の心臓は止まっちまう」
私は何度も瞬きした。それって……
「つまり、死んでしまうということですか?」
「そう」
私はもう暑くて暑くてたまらない。とうとうトップスも脱いで、キャミソール1枚になってしまった。こんなはしたない姿をするなんて普段なら考えられないが、本当に暑くて熱中症になりそうなのだ。
「ごめんなさい、すごく暑くて……もしかしてこれも、その薬の効果なんですか?」
「……あぁ、きっとそうだ」
ヤノくんは私から視線を逸らした。私はどんどん頭の中がボーッとしてくる。熱がある時みたいだ。
「……ヤノくん、何だか身体がおかしくなってきました。私、死んでしまうんですか?出来ればまだ死にたくないんですが」
もうボーッとし過ぎて危機感がわいてこない。それより何か、強い衝動が込み上がってくるのを感じる。良く分からないけれど、身体の中から強い飢えのようなものを感じるのだ。
「……悪いがお前の命を救うには、エロいことするしかねぇ」
ヤノくんはやっぱり下を向いたまま酷く思い詰めた顔をしている。私はふわふわした頭のまま尋ねた。
「えろいことって、具体的にはどうすればいいのですか?」
ヤノくんは数秒沈黙したあと、静かに言った。
「……ちゅーしたら治るらしい」
しばらく固まっていたけれど、もう身体が限界だった。動悸がするし、めちゃくちゃ暑い。くらくらしていて酸欠状態だ。この状況をなんとかして止めたい。でも、ちゅーするというのは……
「ほかに何か方法はないんですか?」
私は泣きそうになりながら尋ねた。すごく苦しい。身体が苦しくてたまらない。ヤノくんはやっと顔を上げた。
「ない。悪りぃけど、お前を死なせるわけにはいかねぇからやるしかねぇ」
「けど……」
どうやらヤノくんは私とそれをするつもりらしい。でも私はそんなことできないと思った。
「ヤノくん、私、死にたくないです……まだいっぱいやり残したことがあるんです……ヤノくんと行ってみたい所が沢山ありますし、ヤノくんに聞いてみたいことも、話したいことも沢山あるんです……」
「だったらもう覚悟キメるしかねぇだろ」
「……けど、私たちは恋人じゃありませんし……」
それを言うととても悲しくなった。でもそれは事実だった。ヤノくんにそんな事はしてもらえない。
「そんなこと言ってらんねぇ!早くしねぇとお前死んじまうし。そんなことぜってーさせねぇ!」
「でも……」
いよいよ身体がおかしくなってきた。苦しくて苦しくて、勝手に涙が溢れてくる。それに頭の中もぐちゃぐちゃになって、気持ちが抑えられなくなった。
「……でも、そんなこと出来ません……私はヤノくんのことが好きだけど、ヤノくんは私のこと好きじゃないから、ただの友達だから、そんなことは……」
私は一体、何を言っているんだろう?でも身体から湧き上がってくる衝動に抗えない。溢れ出てくる感情の波も押し戻せない。
「……でも私、めちゃくちゃそれがしたい、です……ヤノくんが、欲しい……」
最後は言葉も砕けて、そう言っていた。もう完全に頭も身体も混乱していたけれど、それは紛れもない本当の気持ちだった。もう恥ずかしくてどうにかなってしまいそうだ、と思った瞬間。
突然唇にあたたかい感触がして、私は目を見開いた。ヤノくんの切れ長の目が私のすぐ前にある。キスしてるんだな、と分かるとすぐ、私は腕を彼の背中にまわして強く抱きしめた。目を閉じてその感触に集中する。すごくすごく幸せで、生まれてきて良かったと思った。
どのくらいの時間が経ったのか、ヤノくんはゆっくりと私から離れた。今の出来事は夢だったのだろうか?とても名残惜しい気持ちが込み上げてくる。
ヤノくんは私のことを真っ直ぐに見下ろしている。その表情は真剣で、めちゃくちゃカッコよかった。
「悪かった。けどお前を助けるにはこれしかないから、やるしかなかった」
でも私は違和感を感じていた。だって、ちゃんとキスしたのにまだ身体は熱いし、動悸も息切れも止まっていない。なんで?これって、一体??
「……ヤノくん、私、まだ足りない、みたい……」
「……は?」
ヤノくんは目が点になる。私はまた身体が熱くなってきて、耐えきれずに自分からヤノくんにキスした。