影に咲く者
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地下施設の静寂の中で、ルシアは二人の男の間に立っていた。
片方は、彼女を家族のように大切にしてくれたバリー・バートン。
もう片方は、彼女の”本当の力”を肯定し、導こうとするアルバート・ウェスカー。
二人は、それぞれ違う道を示していた。
バリーは、今にも泣きそうな声で言う。
「ルシア……戻ってこい」
彼の目には、心からの”願い”が込められていた。
「お前は、普通に生きることができるんだ。特別であることなんか、関係ない」
「……関係ない?」
ルシアは、静かに呟いた。
「バリー……あなたは、私がどれだけ”普通になろうと努力してきたか”、分かりますか?」
「……ルシア……」
「どれだけ”普通の人間のふり”をして生きてきたか、考えたことはありますか?」
バリーの表情が、痛みに歪む。
「でも、それでも、お前は……」
「私は、“普通でいること”がどれほど苦しかったか、ずっと分からなかった」
ルシアは、涙をこらえながら言葉を続けた。
「バリー……あなたの家族は、本当に温かかった。私は、あんな風に生きられたらどんなに幸せかと思いました」
バリーが、かすかに息を呑む。
「でも、それだけじゃ埋められないものがある」
ルシアの声は震えていた。
「どれだけ優しくされても、どれだけ普通の生活を望んでも、私は……“普通の人間じゃない”」
彼女の目には、今まで決して認めようとしなかった”真実”が映っていた。
「……ルシア」
バリーの声が、苦しげに掠れる。
彼女は、彼の愛情を拒絶しているわけではない。
けれど、“彼の世界”に戻ることはできない。
それを、彼女は理解してしまったのだ。
その時、ウェスカーが静かに手を差し出した。
「来い」
彼の声は、揺るがなかった。
「お前の力を導いてやる」
ルシアは、ゆっくりとその手を見つめる。
バリーが、目を見開いた。
「ルシア……! お前は、本当にそれでいいのか!?」
ルシアは、小さく微笑んだ。
「……ありがとう、バリー」
その言葉は、“さよなら”と同じ意味だった。
そして──
彼女は、ウェスカーの手を取った。