影に咲く者
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静寂に包まれた地下施設。
ルシアの視線は、目の前に差し出されたウェスカーの手を捉えていた。
「選べ」
その言葉は冷たく、決定的だった。
“普通”を捨て、“特別な存在”として生きるか。
それとも──
その時、不意に聞き慣れた声が響いた。
「ルシア!!」
振り向いた瞬間、そこにいたのは──バリー・バートンだった。
彼は荒い息を吐きながら、険しい表情でこちらを見つめていた。
その拳は硬く握りしめられ、彼の目には焦りと怒りが宿っていた。
「バリー……?」
ルシアが困惑するよりも先に、彼は怒鳴った。
「お前は騙されてる!!」
その叫びが、地下施設の静寂を破る。
「ウェスカーの言うことなんか、真に受けるな!」
バリーの声は本気だった。
「……騙されてる?」
ルシアは、自分でも驚くほど冷静な声を出していた。
「バリー、あなたは何も知らないんです」
「知ってるさ!」
バリーは一歩前に出る。
「ウェスカーは、ずっと裏でお前を誘導してきたんだ! 自分に都合のいいように、お前の考えを少しずつ変えてきた!」
ルシアの胸が、一瞬締め付けられる。
──確かに、ウェスカーの言葉は不思議と心に響いた。
“特別であることを受け入れろ”
それが、まるで”正しい答え”のように思えてしまう。
「違う」
ルシアは、静かに首を振った。
「ウェスカー隊長は、私の本当の価値を教えてくれた」
「ルシア!!」
バリーの声は、これまでに聞いたことのないほどの”必死さ”を孕んでいた。
「俺たちは家族みたいなもんだろう!?」
ルシアの心臓が、大きく跳ねた。
「……家族?」
「そうだ!」
バリーの拳が震えている。
「お前は、S.T.A.R.S.の仲間だ! 俺にとっては娘みたいなもんなんだよ!」
その言葉に、ルシアは思わず息を飲んだ。
バリーは、本気でそう思っているのか?
「俺は、お前を絶対に見捨てない」
バリーは、強く言い切った。
「だから……戻ってこい。こんなところで、お前が”お前自身”を見失うな」
その言葉は、まっすぐにルシアの心へと届いた。
だが──
彼の言葉がどれだけ温かくても、それだけで”答え”を出すことはできなかった。
彼女は、まだ”迷っていた”。
バリーの言葉に応えられないまま、ルシアは小さく口を開く。
「……私は……」
その時、背後から冷たい声が響いた。
「感傷か」
ウェスカーが静かに微笑んでいた。
「バリー、お前はルシアに”普通の人間としての枠”に収まれと言うのか?」
バリーは険しい表情でウェスカーを睨みつけた。
「違う! 俺はただ、こいつが”こいつ自身でいられる道”を選んでほしいだけだ!」
「フフ……」
ウェスカーの目が、鋭く細められる。
「ルシア、選べ」
彼は再び、手を差し出す。
その手を取るか、それとも──
バリーの元へ戻るか。
選択の時が、迫っていた。