影に咲く者
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洋館の薄暗い廊下を歩きながら、ルシアは銃を握る手に力を込めた。
──私は、他の隊員と違うのでは?
さっきの戦闘。
敵の動きを”見切った”感覚。
それは、訓練で培った技術ではなく、もっと根本的な、“本能的なもの”だったように思えた。
普通の人間が持ち得るものなのだろうか?
そう考えた瞬間、再び隣を歩くウェスカーの言葉が脳裏に浮かぶ。
「それが、君の本来の力だ」
彼は、まるで以前からそれを知っていたかのように言った。
まるで──”この瞬間を待っていた”かのように。
「……なぜ黙っている?」
ウェスカーの声が静かに響く。
ルシアはハッとし、すぐに表情を整える。
「……何でもありません」
「そうか?」
彼はわずかに口元を歪め、鋭い青い瞳でルシアを見下ろした。
「君は、何かを考えているな」
ルシアは視線を前に戻しながら、慎重に言葉を選ぶ。
「……隊長の言葉が、少し気になっただけです」
「ほう?」
ウェスカーは興味深げに眉を上げた。
「つまり、“自分は普通ではないかもしれない”と、少しは思い始めたということか?」
彼の言葉に、ルシアの心臓が跳ねた。
「そ、そんなことは……」
「ルシア」
ウェスカーの声が低くなる。
「なぜ、君は”普通”であることにこだわる?」
その問いに、ルシアは言葉を失った。
なぜ?
なぜ私は、普通であろうとするのか?
それは、幼い頃からずっと当たり前だった。
自分は普通の子供でなければならない。
普通でいなければ、“この世界に居場所がなくなる”と、無意識に思っていた。
“普通”でなければ、家族に愛されない。
“普通”でなければ、人と一緒にいられない。
ずっと、そう信じていた。
でも──本当に?
本当に、それが唯一の”正しい在り方”なのか?
「君は、なぜ自分の力を否定する?」
ウェスカーの声が、ルシアの胸を深くえぐる。
「君がここまで生き延び、S.T.A.R.S.に入り、そしてこうして異常な状況の中でも戦えているのは……すべて”その力”があるからではないのか?」
「……っ」
彼の言葉は、揺るぎなかった。
ルシアは何かを否定したかった。
でも、何を否定すればいいのか、分からなかった。
ウェスカーは、あまりにも当然のようにそれを語る。
まるで、“受け入れることが正しい”とでも言うように。
「私は……」
言葉を紡ぐたびに、心の奥で何かが崩れそうになる。
私は──普通ではないのか?
「まだ、理解できないか?」
ウェスカーは微かに微笑む。
それは、“確信した者”の笑みだった。
「いいだろう。いずれ、君も”それ”を受け入れることになる」
ルシアは、思わず拳を握りしめた。
“それ”を、受け入れる?
何を?
──”私が普通ではない”という事実を?
それとも……
彼の言葉に、私は導かれている?