第一章 腐れ縁
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「ステラてめぇ!なんて服着てやがるこのハレンチ女!!腹を隠せ腹を!!」
今朝はスッキリと起きることができたし、トーストもキレイに焼けた。
外に出れば天気は清々しいほどの晴れで気温もちょうど良い。
お気に入りの服を着てメイクもバッチリ決まってる。気分は上々だった。
しかしそれは出社と同時にガクッと落ちてしまった。
「ステラお前なぁ!ここは男所帯だって何度言ったらわかるんだよ!?」
「おはようパウリー。アンタ毎朝毎朝うるさいわよ」
「そりゃお前がそんなハレンチな格好してっからだろうが!」
真っ赤な顔をして叫び声を上げるこの男は、女性の服装にやたら厳しい。
胸や脚、お腹や肩など露出部を見つけると頬だけでなく顔全体を真っ赤に染めて「ハレンチだ!」と指摘してくるのだ。
パウリーのハレンチセンサーにはもう慣れたことではあるのだが、好きな服を毎日毎日頭ごなしに否定されると多少気分が下がる。
私が露出のない服を選べば良いと言われればそうなのだが、可愛くて大好きな服をタンスの肥やしにするのは嫌だし、たかだかパウリーのために露出を抑えるというのも癪に触る。
…というかただの意地でもある。
まだガミガミ言っているパウリーを無視して自分の仕事場へ急いだ。
ここガレーラカンパニーは、大規模な造船所で新世界でも有数の大企業だろう。
そんな素晴らしい会社での私の仕事は総合事務だ。
ガレーラの事務仕事はドッグごとに分けられていて、期末に全てをまとめる形となっている。
私はガレーラの事務の花形と言われる、1番ドッグの担当だ。
1番ドッグの職人達はこの島、ウォーターセブンで凄まじい人気を誇っている。
この島の顔である造船技術はもちろん海賊相手の戦闘技術も兼ね備えているからだ。
中でもルルやタイルストン、少し前までいたルッチやカクという職長達は街中に知らない人がおらず、ファンがいるほどだ。
そしてそれは彼も例外ではなく、あの小うるさいパウリーにも大量のファンがいる。
声はデカいし服装にはうるさいし失礼だし、へビースモーカーだしギャンブラーで借金はいつまで経っても減らないし…。
あんな男のどこが良いんだか私にはさっぱりわからない。
しかしそんなパウリーも含めた人気者の多い1番ドッグの担当になるのは事務員女性の憧れなのだ。
…まぁ、花形とはいえ仕事内容は本当に一般的な事務。
強いて言えば1番ドッグの職人達に、人事関係のことや、帳簿の細かな確認をしに出向くことがあるということだろうか。
確かに彼らはカッコいいとは思うけど、私はどちらかというとインテリ系の男がタイプだし、彼等は友人ではあるがファンではないので、作業場に出向くのは割と面倒な仕事だと思っている。
私からすればデスクでの作業の方が楽で好きだ…が。
最近は仕事量が多すぎる…。
少し前に、アイスバーグさんが夜間に海賊に襲われ、その後も一悶着あったらしい。
私はその時、プッチに住む友人の元へ行っていたので全く知らないのだが、とにかくその騒動でショックを受けた事務員の何人かが辞めてしまい、1つのドッグにつき2人しか担当がいないという大変な人手不足に陥っているのだ。
そのため、最近は仕事量と残業がとてつもない。
「ステラさん、アイスバーグさんがお呼びです」
ノックと共に入ってきた小さな天才秘書ちゃん_アリーチェはメガネをクイッとあげて私をみた。
「あー、何の御用かは聞いてる?」
「いえ、詳しくは…仕事の相談としか。あ、事務員の募集の件、届いた履歴書置いておきますので目を通しておいてくださいね」
ありがとうと伝えると履歴書を置いてさっさと出ていってしまった。
アリーチェは齢8歳にして、完璧な秘書だったカリファさんの後釜に任命された天才少女。
住み込みで仕事も勉強も両立していると聞く。
すごいと尊敬する反面、子供には子供らしく外を駆け回ったりして遊んでほしいという気持ちもある。
「ステラです。失礼します」
どうぞという声と共に中に入ると、アイスバーグさんが何やら神妙な顔つきで座っている。
私が何か大きなミスをしてしまったのだろうか?
それかクビを言い渡されるのか?
もしくはアイスバーグさんにとって嫌なことを個人的にしてしまったとか?あまり覚えはないが、このような場ではどうしても悪い方へ想像してしまう。
何故あんなに神妙な面持ちで…。
考えれば考えるほどわからず、緊張して心臓がバクバクと鳴るのと同時に変な汗が出てきた。
「ンマー、座ってくれ」
促されるままに座ると、目の前にはなんらかの書類が置いてあった。
「前に落ち着いたらパウリーを副社長に昇進させるって話したと思うんだが…ンマー、なんだ。お前にパウリーの秘書になって欲しいんだ」
これは私にとって思いもよらないような話で、しばらく思考が停止していた。
パウリーの、副社長の秘書…。私が?
一般的に考えればまぁ、できなくもない仕事かもしれない。しかし、私の知っている秘書は前の社長秘書のカリファさんであり、彼女は恐ろしいほどに仕事ができる。
そして現秘書のアリーチェちゃんも彼女と同じ天才秘書だ。
社長秘書になるわけではないし、みんながみんな彼女達のようにできるわけではないことくらいわかっているが、どうにも私にはできる気がしない。
それに、私が事務を抜けたら会社が回らない!とまでは言わないが、正直新しく人手が入ったところでしばらくは抜けるわけにはいかないだろう。
「すみませんアイスバーグさん。私には秘書なんてできませんよ」
「ンマーまてステラ。何もアリーチェみたいな本格的な秘書になって欲しいってわけじゃない」
「…ザッとそんな感じなんだが、ンマー、そうだな。時間はまだあるから、考えといてくれ」
「…わかりました。失礼します」
アイスバーグさんの話はこうだ。
パウリーは秘書なんて要らないと言ったが、いた方が良い、なんならいないと困ることもあるだろう。
しかし困ったことに彼には露出度の高い女性に免疫がなく、女性に対して失礼な態度をとってしまう。
ごく稀に新人の事務員がパウリーのハレンチセンサーにショックを受けて退職してしまうことがある。
それもそうだ。ほとんど知らない男性に「なんだその服装は!足をしまえ!」と叫ばれたら怖いし気持ち悪い。なんならセクハラもいいとこだ。
そこで腐れ縁で、彼のハレンチセンサーに慣れている私だ。
ガレーラに勤め始めてそこそこ長いので大体の仕事はこなせるだろうし、秘書も務められるだろう…ということだ。
アイスバーグさんの話を聞いた後、妙に納得してしまった。
“あぁ確かに、彼の秘書になれるのは私しかいない”と。
自惚れにも程があると思うが、そう思ってしまった。
ただの腐れ縁の友人ではあるが、誰かに彼について聞かれたら大体のことは答えられるくらいにはパウリーを知っているし、同じ空間にいて苦に思ったことは無い。
人間関係なんて気にしていなさそうな彼だけど、全く知らない女性が秘書になるよりかは私の方が気が楽だろう。
…どうしようか。
この日は自分のデスクに戻ってもずっと仕事に身が入らなかった。
今朝はスッキリと起きることができたし、トーストもキレイに焼けた。
外に出れば天気は清々しいほどの晴れで気温もちょうど良い。
お気に入りの服を着てメイクもバッチリ決まってる。気分は上々だった。
しかしそれは出社と同時にガクッと落ちてしまった。
「ステラお前なぁ!ここは男所帯だって何度言ったらわかるんだよ!?」
「おはようパウリー。アンタ毎朝毎朝うるさいわよ」
「そりゃお前がそんなハレンチな格好してっからだろうが!」
真っ赤な顔をして叫び声を上げるこの男は、女性の服装にやたら厳しい。
胸や脚、お腹や肩など露出部を見つけると頬だけでなく顔全体を真っ赤に染めて「ハレンチだ!」と指摘してくるのだ。
パウリーのハレンチセンサーにはもう慣れたことではあるのだが、好きな服を毎日毎日頭ごなしに否定されると多少気分が下がる。
私が露出のない服を選べば良いと言われればそうなのだが、可愛くて大好きな服をタンスの肥やしにするのは嫌だし、たかだかパウリーのために露出を抑えるというのも癪に触る。
…というかただの意地でもある。
まだガミガミ言っているパウリーを無視して自分の仕事場へ急いだ。
ここガレーラカンパニーは、大規模な造船所で新世界でも有数の大企業だろう。
そんな素晴らしい会社での私の仕事は総合事務だ。
ガレーラの事務仕事はドッグごとに分けられていて、期末に全てをまとめる形となっている。
私はガレーラの事務の花形と言われる、1番ドッグの担当だ。
1番ドッグの職人達はこの島、ウォーターセブンで凄まじい人気を誇っている。
この島の顔である造船技術はもちろん海賊相手の戦闘技術も兼ね備えているからだ。
中でもルルやタイルストン、少し前までいたルッチやカクという職長達は街中に知らない人がおらず、ファンがいるほどだ。
そしてそれは彼も例外ではなく、あの小うるさいパウリーにも大量のファンがいる。
声はデカいし服装にはうるさいし失礼だし、へビースモーカーだしギャンブラーで借金はいつまで経っても減らないし…。
あんな男のどこが良いんだか私にはさっぱりわからない。
しかしそんなパウリーも含めた人気者の多い1番ドッグの担当になるのは事務員女性の憧れなのだ。
…まぁ、花形とはいえ仕事内容は本当に一般的な事務。
強いて言えば1番ドッグの職人達に、人事関係のことや、帳簿の細かな確認をしに出向くことがあるということだろうか。
確かに彼らはカッコいいとは思うけど、私はどちらかというとインテリ系の男がタイプだし、彼等は友人ではあるがファンではないので、作業場に出向くのは割と面倒な仕事だと思っている。
私からすればデスクでの作業の方が楽で好きだ…が。
最近は仕事量が多すぎる…。
少し前に、アイスバーグさんが夜間に海賊に襲われ、その後も一悶着あったらしい。
私はその時、プッチに住む友人の元へ行っていたので全く知らないのだが、とにかくその騒動でショックを受けた事務員の何人かが辞めてしまい、1つのドッグにつき2人しか担当がいないという大変な人手不足に陥っているのだ。
そのため、最近は仕事量と残業がとてつもない。
「ステラさん、アイスバーグさんがお呼びです」
ノックと共に入ってきた小さな天才秘書ちゃん_アリーチェはメガネをクイッとあげて私をみた。
「あー、何の御用かは聞いてる?」
「いえ、詳しくは…仕事の相談としか。あ、事務員の募集の件、届いた履歴書置いておきますので目を通しておいてくださいね」
ありがとうと伝えると履歴書を置いてさっさと出ていってしまった。
アリーチェは齢8歳にして、完璧な秘書だったカリファさんの後釜に任命された天才少女。
住み込みで仕事も勉強も両立していると聞く。
すごいと尊敬する反面、子供には子供らしく外を駆け回ったりして遊んでほしいという気持ちもある。
「ステラです。失礼します」
どうぞという声と共に中に入ると、アイスバーグさんが何やら神妙な顔つきで座っている。
私が何か大きなミスをしてしまったのだろうか?
それかクビを言い渡されるのか?
もしくはアイスバーグさんにとって嫌なことを個人的にしてしまったとか?あまり覚えはないが、このような場ではどうしても悪い方へ想像してしまう。
何故あんなに神妙な面持ちで…。
考えれば考えるほどわからず、緊張して心臓がバクバクと鳴るのと同時に変な汗が出てきた。
「ンマー、座ってくれ」
促されるままに座ると、目の前にはなんらかの書類が置いてあった。
「前に落ち着いたらパウリーを副社長に昇進させるって話したと思うんだが…ンマー、なんだ。お前にパウリーの秘書になって欲しいんだ」
これは私にとって思いもよらないような話で、しばらく思考が停止していた。
パウリーの、副社長の秘書…。私が?
一般的に考えればまぁ、できなくもない仕事かもしれない。しかし、私の知っている秘書は前の社長秘書のカリファさんであり、彼女は恐ろしいほどに仕事ができる。
そして現秘書のアリーチェちゃんも彼女と同じ天才秘書だ。
社長秘書になるわけではないし、みんながみんな彼女達のようにできるわけではないことくらいわかっているが、どうにも私にはできる気がしない。
それに、私が事務を抜けたら会社が回らない!とまでは言わないが、正直新しく人手が入ったところでしばらくは抜けるわけにはいかないだろう。
「すみませんアイスバーグさん。私には秘書なんてできませんよ」
「ンマーまてステラ。何もアリーチェみたいな本格的な秘書になって欲しいってわけじゃない」
「…ザッとそんな感じなんだが、ンマー、そうだな。時間はまだあるから、考えといてくれ」
「…わかりました。失礼します」
アイスバーグさんの話はこうだ。
パウリーは秘書なんて要らないと言ったが、いた方が良い、なんならいないと困ることもあるだろう。
しかし困ったことに彼には露出度の高い女性に免疫がなく、女性に対して失礼な態度をとってしまう。
ごく稀に新人の事務員がパウリーのハレンチセンサーにショックを受けて退職してしまうことがある。
それもそうだ。ほとんど知らない男性に「なんだその服装は!足をしまえ!」と叫ばれたら怖いし気持ち悪い。なんならセクハラもいいとこだ。
そこで腐れ縁で、彼のハレンチセンサーに慣れている私だ。
ガレーラに勤め始めてそこそこ長いので大体の仕事はこなせるだろうし、秘書も務められるだろう…ということだ。
アイスバーグさんの話を聞いた後、妙に納得してしまった。
“あぁ確かに、彼の秘書になれるのは私しかいない”と。
自惚れにも程があると思うが、そう思ってしまった。
ただの腐れ縁の友人ではあるが、誰かに彼について聞かれたら大体のことは答えられるくらいにはパウリーを知っているし、同じ空間にいて苦に思ったことは無い。
人間関係なんて気にしていなさそうな彼だけど、全く知らない女性が秘書になるよりかは私の方が気が楽だろう。
…どうしようか。
この日は自分のデスクに戻ってもずっと仕事に身が入らなかった。
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