ポートマフィアの重力使いに十の贈り物
空の上とは、恐ろしいものだ。周りには何もなく、一歩間違えれば落ちて死ぬ。しかしそれは、ひとりの男にしてみれば何でもないことであった。
今日は仕事だ。山奥にある、小生意気な組織の殲滅。小規模だが酷く目障りで、中也に皆殺しの任務が下った。
ヘリコプターから、山を見下ろす。見つけにくく攻めにくい山中にある拠点に向かうには、こうして空から行くのが最善策だ。緑に隠れた建物を見つけ、にやりと笑う。とん、と靴を鳴らして、直後。中也はふわりと躍り出た。
羽織った外套と帽子を手で抑え、果てしない蒼に浮かぶ。外套がばさばさと風を孕む。ちっぽけな人間を呑み込もうと口を開いた空を嘲笑い、呟く。
「──重力操作」
途端、空気が変わった。世界の摂理に従って無残にも地に叩きつけられるはずだった彼は、いまや鴉のように飛んでいる。蒼氓と双眸がかち合って、かみさまは満足気に笑んだ。
「いい天気だなァ」
今日の敵は、運がいい。こんな綺麗な空に死ねるのだから。
今日は仕事だ。山奥にある、小生意気な組織の殲滅。小規模だが酷く目障りで、中也に皆殺しの任務が下った。
ヘリコプターから、山を見下ろす。見つけにくく攻めにくい山中にある拠点に向かうには、こうして空から行くのが最善策だ。緑に隠れた建物を見つけ、にやりと笑う。とん、と靴を鳴らして、直後。中也はふわりと躍り出た。
羽織った外套と帽子を手で抑え、果てしない蒼に浮かぶ。外套がばさばさと風を孕む。ちっぽけな人間を呑み込もうと口を開いた空を嘲笑い、呟く。
「──重力操作」
途端、空気が変わった。世界の摂理に従って無残にも地に叩きつけられるはずだった彼は、いまや鴉のように飛んでいる。蒼氓と双眸がかち合って、かみさまは満足気に笑んだ。
「いい天気だなァ」
今日の敵は、運がいい。こんな綺麗な空に死ねるのだから。
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