10.あまのじゃくナイチンゲール
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
次に目を覚ましたとき、部屋は茜色に染まっていた。
カーテンの隙間から差し込む夕日が、床の上へ長い影を作っている。
「ん……」
ゆっくりと体を起こす。
朝からまとわりついていた重だるさは、だいぶ引いていた。
頭痛も、喉の痛みも、先ほどまでよりずっと軽い。
薬が効いたらしい。
枕元の時計を見ると、眠ってから数時間は経っていた。
「仁王……?」
小さく呼んでみるが、返事はない。
すでに帰ったのだろう。
静まり返った部屋には、私の声だけが虚しく響いた。
少しだけ残念に思ってしまった自分に気づき、慌てて首を振る。
いやいや。
いつまでも男子を部屋に置いておくわけにもいかないでしょ。
それに、仁王がいたらゆっくり眠れなかっただろうし。
絶対そう。うん。
机へ目を向ける。
そこには相変わらず、色とりどりのプリンやゼリーが、タワーのようにそびえ立っていた。
……本当に買いすぎである。
「ん?」
そのゼリータワーの手前に、一枚の紙が置かれていることに気づいた。
こんなの、さっきまであったっけ?
手を伸ばして、紙を拾い上げる。
「ふっ……!」
書かれていたものを見た瞬間、思わず笑いがこぼれた。
紙の上には、ぶっきらぼうな文字で一言。
『早く治せ』
その下には、決して上手とは言えない三人分の似顔絵が描かれていた。
片方の口元には、小さなほくろ。
たぶん、これは仁王。
その隣に描かれているのは、眉間にしわを寄せ、明らかにむすっとした顔の女の子。
……これはどう見ても、椿だ。
「来てたんだ…」
眠っていて、まったく気づかなかった。
そして二人の中央には、満面の笑みを浮かべる女の子が描かれていた。
髪型も、顔も、正直あまり似ていない。
それでも、誰なのかはすぐに分かった。
私だ。
三人並んだ、歪で不格好な似顔絵。
なのに見ていると、不思議と胸の奥が温かくなる。
「……絵、下手すぎ」
そう呟きながらも、口元の笑みは消えなかった。
私はその紙を丁寧に机の引き出しへしまう。
眠りに落ちる前、仁王は何と言っていたのだろう。
ぼんやりと考えてみたけれど、やっぱり思い出せない。
ただ、頭を撫でてくれた手の温かさだけは、まだ髪に残っているような気がした。
カーテンの隙間から差し込む夕日が、床の上へ長い影を作っている。
「ん……」
ゆっくりと体を起こす。
朝からまとわりついていた重だるさは、だいぶ引いていた。
頭痛も、喉の痛みも、先ほどまでよりずっと軽い。
薬が効いたらしい。
枕元の時計を見ると、眠ってから数時間は経っていた。
「仁王……?」
小さく呼んでみるが、返事はない。
すでに帰ったのだろう。
静まり返った部屋には、私の声だけが虚しく響いた。
少しだけ残念に思ってしまった自分に気づき、慌てて首を振る。
いやいや。
いつまでも男子を部屋に置いておくわけにもいかないでしょ。
それに、仁王がいたらゆっくり眠れなかっただろうし。
絶対そう。うん。
机へ目を向ける。
そこには相変わらず、色とりどりのプリンやゼリーが、タワーのようにそびえ立っていた。
……本当に買いすぎである。
「ん?」
そのゼリータワーの手前に、一枚の紙が置かれていることに気づいた。
こんなの、さっきまであったっけ?
手を伸ばして、紙を拾い上げる。
「ふっ……!」
書かれていたものを見た瞬間、思わず笑いがこぼれた。
紙の上には、ぶっきらぼうな文字で一言。
『早く治せ』
その下には、決して上手とは言えない三人分の似顔絵が描かれていた。
片方の口元には、小さなほくろ。
たぶん、これは仁王。
その隣に描かれているのは、眉間にしわを寄せ、明らかにむすっとした顔の女の子。
……これはどう見ても、椿だ。
「来てたんだ…」
眠っていて、まったく気づかなかった。
そして二人の中央には、満面の笑みを浮かべる女の子が描かれていた。
髪型も、顔も、正直あまり似ていない。
それでも、誰なのかはすぐに分かった。
私だ。
三人並んだ、歪で不格好な似顔絵。
なのに見ていると、不思議と胸の奥が温かくなる。
「……絵、下手すぎ」
そう呟きながらも、口元の笑みは消えなかった。
私はその紙を丁寧に机の引き出しへしまう。
眠りに落ちる前、仁王は何と言っていたのだろう。
ぼんやりと考えてみたけれど、やっぱり思い出せない。
ただ、頭を撫でてくれた手の温かさだけは、まだ髪に残っているような気がした。
3/3ページ
