08.独唱戦隊・ウタウンジャー!
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「もう声出ないっス……」
カラオケ店を出る頃には、赤也くんの声はすっかりかすれていた。
一曲目から全力で叫び続けていたのだから、当然だろう。
「鍛え方が足りねーんだよ」
そう言いながら、ブン太くんは満足そうに風船ガムを膨らませている
柳生くんは最後まで姿勢を崩さなかったものの、眼鏡の奥の目には隠しきれない疲労がにじんでいた。
椿はというと、耳栓のケースを大切そうに鞄へしまっている。
次に来るときも持ってくるつもりなのだろうか。
解せぬ。
でも、まあ、何はともあれ。
「楽しかったね!」
店の自動ドアを抜けながら振り返ると、全員の顔が一斉にこちらへ向いた。
「お前が一番楽しんどったのう」
仁王が呆れたように笑う。
「歌ってないくせにな」
「司令官は重要な役なんですー!」
胸を張って言い返した瞬間、冷たい風が濡れた制服の隙間へ入り込む。
雨は小雨に変わっていたが、日が落ちたことで気温はぐっと下がったようだ。
「うっ、さむ……」
店へ来る途中で濡れた制服は、冷房にさらされてすっかり冷えきっていたらしい。
両腕をさすっていると、ふと鼻の奥がむずむずした。
「へくしっ!」
くしゃみをすると、椿がちらりとこちらを見る。
「大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫。ちょっと寒かっただけ」
そう答えながら、なんとなく喉の奥に軽い違和感が残る。
歌っていないのに喉がいがらっぽいのは、叫びすぎたせいだろう。
「ほんとうか?」
仁王が少しだけ顔を覗き込んでくる。
「平気だって。仁王と違って、私はか弱くないからね!」
「そりゃ頼もしいのう。音痴じゃが」
「音痴は今関係ないでしょうが!!!」
コンチキショー!と言いながら傘を開く。
今度こそ独唱戦隊・ウタウンジャーの司令官として悪の首領である仁王をコテンパンにしてやるんだ。
そう、心に誓った。
みんなで歩き始めると、いつの間にか私の横には仁王がいた。
仁王は先ほどとは反対に風が吹いてくる側へ立った。
偶然だろうか。
私が不思議に思って見上げると、仁王は何事もなかったように前を向いている。
…いや、きっと偶然だ。
先ほどより風当たりが弱くなり寒さもいくらかマシだ。
それにしても、本当に今日は楽しかった。
相変わらず、どんよりした空模様だったが、これなら雨も悪くないかな。
「へっくし!」
そんなことを考えながら、私はまた一つ、くしゃみをした。
カラオケ店を出る頃には、赤也くんの声はすっかりかすれていた。
一曲目から全力で叫び続けていたのだから、当然だろう。
「鍛え方が足りねーんだよ」
そう言いながら、ブン太くんは満足そうに風船ガムを膨らませている
柳生くんは最後まで姿勢を崩さなかったものの、眼鏡の奥の目には隠しきれない疲労がにじんでいた。
椿はというと、耳栓のケースを大切そうに鞄へしまっている。
次に来るときも持ってくるつもりなのだろうか。
解せぬ。
でも、まあ、何はともあれ。
「楽しかったね!」
店の自動ドアを抜けながら振り返ると、全員の顔が一斉にこちらへ向いた。
「お前が一番楽しんどったのう」
仁王が呆れたように笑う。
「歌ってないくせにな」
「司令官は重要な役なんですー!」
胸を張って言い返した瞬間、冷たい風が濡れた制服の隙間へ入り込む。
雨は小雨に変わっていたが、日が落ちたことで気温はぐっと下がったようだ。
「うっ、さむ……」
店へ来る途中で濡れた制服は、冷房にさらされてすっかり冷えきっていたらしい。
両腕をさすっていると、ふと鼻の奥がむずむずした。
「へくしっ!」
くしゃみをすると、椿がちらりとこちらを見る。
「大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫。ちょっと寒かっただけ」
そう答えながら、なんとなく喉の奥に軽い違和感が残る。
歌っていないのに喉がいがらっぽいのは、叫びすぎたせいだろう。
「ほんとうか?」
仁王が少しだけ顔を覗き込んでくる。
「平気だって。仁王と違って、私はか弱くないからね!」
「そりゃ頼もしいのう。音痴じゃが」
「音痴は今関係ないでしょうが!!!」
コンチキショー!と言いながら傘を開く。
今度こそ独唱戦隊・ウタウンジャーの司令官として悪の首領である仁王をコテンパンにしてやるんだ。
そう、心に誓った。
みんなで歩き始めると、いつの間にか私の横には仁王がいた。
仁王は先ほどとは反対に風が吹いてくる側へ立った。
偶然だろうか。
私が不思議に思って見上げると、仁王は何事もなかったように前を向いている。
…いや、きっと偶然だ。
先ほどより風当たりが弱くなり寒さもいくらかマシだ。
それにしても、本当に今日は楽しかった。
相変わらず、どんよりした空模様だったが、これなら雨も悪くないかな。
「へっくし!」
そんなことを考えながら、私はまた一つ、くしゃみをした。
