05.生意気な後輩
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「先輩!」
突然、教室の入り口から大きな声が聞こえた。
何事かと顔を上げれば、そこには昨日見たばかりのくるくる頭がある。
「切原くん?」
名前を呼ぶと、切原くんは私を見つけ、真っすぐこちらへ歩いてきた。
昨日、物陰で膝を抱えていた人と同一人物とは思えないほど堂々とした足取りだ。
「あれ?仁王とブン太くんなら、今いないよ」
「別に、二人に用があって来たんじゃないッス」
「じゃあ、何しに来たの?」
「先輩に会いに来たんスよ」
先輩って、私のこと?
昨日初めて会ったばかりなのに?
それに、私のことはアンタって呼んでた気だするんだけど…。
思いがけない返答に首を傾げていると、切原くんはどこか得意げに胸を張った。
「俺、昨日ちゃんと戻って、みんなに謝りましたから」
「おお!」
「それで、練習にも戻ったッス」
「えらいぞ、少年!」
「だから子供扱いしないでくださいよ!」
切原くんはムッとしたように眉を寄せる。
しかし、怒っているというよりは、どことなく褒められるのを待っているように見えた。
「それを報告するために来てくれたの?わざわざ?」
「そうッス!」
即答だった。
…………。
何この子。
可愛いな。
昨日はあれほど生意気なことばかり言っていたくせに、ちゃんと謝れたことを報告するためだけに、わざわざ私の教室まで来たらしい。
いかん。
こりゃいかんぞ。
うっかり頭を撫でたくなる。
しかし、昨日「可愛い」と言っただけであれほど怒られたのだ。
手を伸ばしたら噛みつかれる可能性がある。
ここは慎重にいこう。
「ところで」
切原くんが、急にじっとこちらを見つめる。
「なに?」
「なんで丸井先輩のことは、ブン太くんって呼んでるんスか?」
「なんでって……ブン太くんだから?」
「俺のことは切原くんなのに?」
「うん」
「なんでですか!」
理不尽だとでも言いたげに、切原くんが机へ身を乗り出した。
なんでと言われても、昨日会ったばかりだからなぁ…。
そう言っても、きっと納得してくれないだろう。
「じゃあ、なんて呼べばいいの?」
「俺も名前で呼んでくださいよ!」
「え…赤也くん?」
試しに呼んでみる。
すると、切原くん――改め、赤也くんは満足そうに口元を緩めた。
「はい!」
やけに元気な返事が返ってくる。
昨日までは私を警戒していたはずなのに、一晩でいったい何があったのだろう。
こうして私は、出けに元気な返事会った翌日から、男子テニス部の問題児にやけに懐かれることとなった。
突然、教室の入り口から大きな声が聞こえた。
何事かと顔を上げれば、そこには昨日見たばかりのくるくる頭がある。
「切原くん?」
名前を呼ぶと、切原くんは私を見つけ、真っすぐこちらへ歩いてきた。
昨日、物陰で膝を抱えていた人と同一人物とは思えないほど堂々とした足取りだ。
「あれ?仁王とブン太くんなら、今いないよ」
「別に、二人に用があって来たんじゃないッス」
「じゃあ、何しに来たの?」
「先輩に会いに来たんスよ」
先輩って、私のこと?
昨日初めて会ったばかりなのに?
それに、私のことはアンタって呼んでた気だするんだけど…。
思いがけない返答に首を傾げていると、切原くんはどこか得意げに胸を張った。
「俺、昨日ちゃんと戻って、みんなに謝りましたから」
「おお!」
「それで、練習にも戻ったッス」
「えらいぞ、少年!」
「だから子供扱いしないでくださいよ!」
切原くんはムッとしたように眉を寄せる。
しかし、怒っているというよりは、どことなく褒められるのを待っているように見えた。
「それを報告するために来てくれたの?わざわざ?」
「そうッス!」
即答だった。
…………。
何この子。
可愛いな。
昨日はあれほど生意気なことばかり言っていたくせに、ちゃんと謝れたことを報告するためだけに、わざわざ私の教室まで来たらしい。
いかん。
こりゃいかんぞ。
うっかり頭を撫でたくなる。
しかし、昨日「可愛い」と言っただけであれほど怒られたのだ。
手を伸ばしたら噛みつかれる可能性がある。
ここは慎重にいこう。
「ところで」
切原くんが、急にじっとこちらを見つめる。
「なに?」
「なんで丸井先輩のことは、ブン太くんって呼んでるんスか?」
「なんでって……ブン太くんだから?」
「俺のことは切原くんなのに?」
「うん」
「なんでですか!」
理不尽だとでも言いたげに、切原くんが机へ身を乗り出した。
なんでと言われても、昨日会ったばかりだからなぁ…。
そう言っても、きっと納得してくれないだろう。
「じゃあ、なんて呼べばいいの?」
「俺も名前で呼んでくださいよ!」
「え…赤也くん?」
試しに呼んでみる。
すると、切原くん――改め、赤也くんは満足そうに口元を緩めた。
「はい!」
やけに元気な返事が返ってくる。
昨日までは私を警戒していたはずなのに、一晩でいったい何があったのだろう。
こうして私は、出けに元気な返事会った翌日から、男子テニス部の問題児にやけに懐かれることとなった。
