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ひとりぼっちで始めた【世界創造】という遊戯

繁華街を避けるように歩きながら、辺りに他人が居ないことを確認し、
蒼井鶴きょうだいは会話を再開する。

「ねぇ、お姉ちゃん。
今日ね、凄く良い夢見たんだ!聞きたい?」

良い夢を見た後には必ず悪いことが起こる。

この理(ことわり)だけは、世界創造主の蒼井鶴きょうだいでも帰ることが出来ない、非常に厄介な理だ。

そのことを思い出した明は、釘を刺すように言う。

「地道、夢を見たら気をつけなさい。
たとえ、どんなに幸せな夢であっても、夢から覚めて現実を行くとき、何が待ち受けているかなんて、わからないのだから」

地道はシュンッと肩を落として小さく頷いた。

「わかったよ、姉ちゃん」


「ねぇ、地道(みちのく)。
今あたしたちが通ってる学校は、
あたしがつくった学校だから、
校則から制服に、校舎まで、全部
あたし好みにしてあるけど、
地道はこの学校でやっていけそう?
お姉ちゃん、今はまだそれが心配で」

廃ビル通りを歩きながら、明は地道(みちのく)に聞く。

地道は頭を掻いて、ハァ……とため息をつく。
「そんなん、全然OKに決まってるしょ、姉ちゃん!」

振り向かれた表情は、とても嬉しそうだ。

弟は言う。

「蒼井鶴 地道は、姉・明のつくった学校にめちゃくちゃ興味ある!
てか、もう地道の中でのお気に入りナンバーワン!
つーか、殿堂入りしてるぐれぇなんだぜ!」

「ハハハッ!でっ、殿堂入りって……。
まだ入って日も浅いのに……、ふふっ。
何か、地道って、
テンション高い時のノリが侑梨に似てる~!」

「侑梨? ――あぁ、姉ちゃんと仲良くしてくださってる侑梨さんね」

「そうそう、侑梨も、さっきまで学校で話してたんだけど、あたしのこと好き過ぎるらしくて、長電話するね~!とか言ってくんのよ。マジウケるんだけど。急にどうした?みたいな!」

「姉ちゃん、いくら俺らが高校生のフリしてるからって、キャラ変わり過ぎなんじゃない?」

冷めた声にハッと我に返り、弟を振り向くと、彼は毛虫を見るような目で明を見ていた。

「ちょっと、顔! その顔やめろって」
「…………気をつけろよ、姉ちゃんこそ」

蒼井鶴きょうだいはようやく自宅がある
廃タワーマンションのエレベーターホールに着いた。
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