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ひとりぼっちで始めた【世界創造】という遊戯

雀の囀りが、予習ノートを友達と喋りながら書いているとある私立高校3年生の彼女の耳に届く。

「もうこんな時間かぁ……」

手首に付けてる腕時計の時刻は、午後4時を回っていた。

「侑梨、そろそろうちら受験生は帰んないと」

テキストとノートを閉じながら、女子生徒は言う。
閉じられたノートの表紙には、"3年SSクラス 蒼井鶴 明"と書かれている。

「マジかぁ、1日って早いよねぇ。……ねぇ、明?」

明と呼ばれた女子生徒は、カバンに勉強道具を仕舞う手を止めて、鳩豆鉄砲な顔で振り向く。

侑梨は続けて聞く。

「今日も地道(みちのく)くんと帰るの?」

明は嬉しそうに頷いた。

「もちろん。何、侑梨も一緒に帰りたい的な?」

「ふうん。仲良いね、あんたら姉弟は」

侑梨はやっぱりかとでも言いたげに、口をへの字に歪ませた。

それを見た明は少し悪びれた様子で返した。

「メールとか長電、超するから!ねっ!お願い!」

即座に立ち上がり、合掌して、頭を下げる明。

ふわりと、明のツインテールが揺れた。

侑梨はふんぞり返りつつ、腕組みしながら何やら思案している様。

「わかった。今日のところはそれで手を打とう」

侑梨が片手でガシッと明の両手を掴んだ。

「でも、でも、次は明と二人っきりで帰りたいな♪」

爛々と輝く瞳で、明は見つめられてしまった。

「考えとくね……」

こわばる笑みで、明はその場しのぎの台詞で、そのままそそくさと教室を出た。

正門前まで行くと、まぶたの下まで伸びたややウェーブがかった黒い前髪と
刈り上げたバックヘアスタイルが印象な、ブレザー姿の男子生徒が居た。

彼は明の存在に気付いて振り向き、同時に柔和な笑みでこちらに向かって手を振ってくる。

「地道! お待たせ♪」

優しげに爽やかに手を振ってきた男子生徒は、明の弟・地道(みちのく)。

その笑みが耐えることはないと、校内ではもっぱらの噂だ。

そんな為と、地道の持つ天性のルックは、校内男子人気ランクの中で常に1位をとれる要素に他ならない。

「僕も今来たとこだよ、姉ちゃん」

姉思いな地道は、すぐに姉と手を繋いで歩き出す。

「ち、ちょっと、地道! 」

危うくつまづきそうになった明。

しかし、地道がすぐに気付く。そして今度はゆっくり、明のテンポに合わせて歩き出す。
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