日常1
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「ふぁーあ。」
「おはようお兄ちゃん。」
差し入れ用におにぎりを握っているとお兄ちゃんが降りてきた。
引っ張り出した重箱には一段ずつ具の違うおにぎりを詰めていた。
最後の段の白身魚のほぐし身と高菜の混ぜご飯のおにぎりをせっせと詰めているとボサボサの髪のお兄ちゃんがまだ寝ぼけている顔で覗き込んできた。
今回は4種類作ったおにぎりを1つずつお兄ちゃんの朝ごはんにと別のお皿に載せてあるからそれを差し出せばキッチンから出てダイニングに移動した。
ちなみに梅刻みシソと昆布とシャケと混ぜご飯の4種類である。
「はよ葉。部活か?」
「うん。」
「早いな」
「差し入れにおにぎり作ってたから。」
大きなクーラーバックに保冷剤を詰めて重箱を入れる。
一緒に昨日の夜作っておいたレモンの蜂蜜漬けを詰めたタッパーを入れて更に隙間に保冷剤を詰め込めば少し重たいけどキャリー付きのクーラーバックなので問題なし。
準備完了である。
「昨日レモンの蜂蜜漬け作ってなかったか?」
「うん。でも部活終わりってお腹空くでしょ?」
「そうだな。」
お兄ちゃんは寂しそうに笑っていて私は思わず聞いてしまった。
「お兄ちゃんは行かないの?」
「…ごめん。葉」
「ううん。良いの。待ってる。お兄ちゃんが戻ってこなくても私は先輩や部員達と待ってる。」
「…ありがとう。」
行ってきます。
そう言えばお兄ちゃんも行ってらっしゃいと送り出してくれた。
ゴロゴロとクーラーバックを引きずって学校に向かう。
学校は家からそんなに遠くなく体育館に直行すればやる気満々の昨日の二人組と蛍くん、忠くんと2年生がちらほらいた。
潔子先輩も居たのですぐに駆け寄れば気がついて下さった。
「おはようございます。」
「おはよう。どうしたの?その荷物。」
「部活終わりに差し入れをと思いまして。どこかおいておけませんか?おにぎりとレモンの蜂蜜漬けです。」
「それならこっち。」
案内されたのは体育館の教官室。
ソファー1つとデスクが2つに冷蔵庫と製氷用の冷蔵庫があった。
昨日説明されたけど入ったのはこれが初めてだ。
ここは製氷用の冷蔵庫以外は基本使って居ないけどここは冷暖房完備で熱中症の人を休ませたりするのに使ったりすると聞いた。
ちょうど空な冷蔵庫におにぎりとレモンの蜂蜜漬けを移動させて貰った。
「今日はミニゲームをするみたいだからスコアの付け方とスコアブックを説明するね。」
「はい。宜しくお願いします。」
クーラーバックも此処に置かせてもらいに行ったん部室に荷物を置きに戻ってから潔子先輩と2人でボトルの準備とタオルとビブスの洗濯と今日のミニゲーム用に別のビブスを用意した。
体育館に戻ればもうすでに練習は始まって居た。
たまに流れ球が飛んでくるけどくれぐれもレシーブしない様に避けたり手で弾いたりしながら次のミニゲームで使う得点板を倉庫から引っ張ってくる。
お、重い。
ゴロゴロ付いてるけど得点板は重たい。
「あれ?それストッパーきいてない?」
「へ?」
「あぁほらやっぱり」
「葉ちゃんだよね。俺は2年の縁下力。よろしくね。まだ個別に自己紹介してなかったよね。」
「す、すみません。ありがとうございます。縁下先輩。」
縁下先輩の指摘どうりゴロゴロに付いているストッパーが外れていなかった。
うわ。
私気付かないで引っ張ってた。
どうりで重たいわけだよ…恥ずかしい。
縁下先輩はスッととしゃがみこむとストッパーを外してくれた。
「ちょっとストッパー硬いな…もしかして硬いから外せなかった?」
「い、いえあの…実はストッパーきいているのに気付かなくって…」
「あはは。正直だなー葉ちゃん」
一緒に押すよと言ってくれてちょうどネットのところまで2人で運んだ。
軽い。
なんで私気付かなかったんだろう?
あーもう。
恥ずかしいなぁ…。
「び美女と昨日の可愛い子だっ。なぁなぁあの人もマネージャーかな!?」
チラチラと落ち着きのない昨日の男の子と静かな黒髪の子。
その向こうに蛍くんと忠くんを見つけた。
「よーしじゃあ始めるぞ!」
アップも終わりいよいよミニゲームが始まるみたいだ。
2年生の先輩達が審判ついて主審は清子先輩が…。
ど、どうしようスコアの付け方教えてもらうはずなのに…。
「月島達の方には俺が入るからー」
「ええっキャプテンが!?」
「ははは!大丈夫だよ!攻撃力は田中の方が上だから!でも手は抜かないからなー!」
「……!」
「あーオホンッ」
オロオロとして入ればスガ先輩が手招きで呼んでくれた。
トトトトッと近づけばスコアノートを手渡してくれた。
「清水は主審に行っちゃったからスコアの付け方俺が教えるね。ルールはどのぐらいわかる?」
「あっと…あの一応小学生の時クラブチームにいたので大体大丈夫です。」
「そっか。じゃースコアの付け方は?」
「すみません。」
「いいよいいよ。遠慮なくきいて。」
ありがとうございますと初歩の初歩を説明してもらっているとどうやらコートでは一悶着あったらしい。
「小さいのと田中さんどっちを先に潰…抑えましょうかあ。あっそうそう王様が負けるとこも見たいですよねぇ。」
「ちょっ…ツッキー聞こえてるんじゃ…?やばいよっ」
「聞こえるように言ってんだろうが冷静さを描いてくれるとありがたいなぁ」
「月島良い性格の悪さしてるね~」
「ーとくに家来達に見放された一人ぼっちの王様が見ものですよね。」
?
王様?
昨日も蛍くんそんな事言っていたけど何なんだろ?
あの子のあだ名とかそんなのかな?
「ねぇねぇっ。」
あれ?
明らかに煽られてるのに田中さんニコニコしてる。
煽り耐性結構あるのかな?
「今の聞いたあ??あ~んな事言っちゃって月島クンてばもうホント、擂り潰す!!!」
「ひっ!!!」
そ、そんな事なかった。
怖い!!怖い!!怖い!!
めちゃくちゃ怒ってる!!
思わず怖くてすがるようにスガ先輩の腕を掴んでしまった。
「あーあ。ごめんね。あいつ顔怖いよね…大丈夫俺たちがいるからね。」
「田中ー葉ちゃん泣きそうだから!!その顔やめろ!!」
「え!?」
先輩達の底声にグルンとこちらを振り返った田中さん。
ひっと肩が跳ねればポンポンと縁下先輩が頭を撫でてくれる。
「やめろ田中ー」
「泣きそうだぞ田中ー」
「がーんっ!!?」
「田中。葉ちゃん泣かせたら私も許さない。」
「き、潔子さん!?」
な、何だかいつも優しい潔子先輩の周りは吹雪いているような何とも言えない雰囲気で、私がビビったせいだという事はもちろん分かっているのでワタワタと慌ててしまう。
「き、潔子先輩私泣いてませんっ田中さんすみませんっ大丈夫ですから!!潔子先輩は笑ってください!わ、私は潔子先輩の優しい笑顔が大好きですっ!!」
どうにかしなきゃと混乱しすぎていて半分何言っているのか自分でもよく分からないがふと潔子先輩が笑ってくれたのでコレで良かったのだとホッとした。
でもよく思い返してみれば私ってばかなり恥ずかしいことを口走ったのではないだろうか…。
そのことに気づくと沸騰しそうなほど顔が熱くなる。
きっと今顔が真っ赤だろう。
恥ずかしい!!っ
慌てて手元に持っていたスコアブックを抱えて顔を隠しちらりと周りを見れば部員の皆さんはバッチリこちらを見ていた。
な、何でそんなにこちらを見ているのですか!!?
居た堪れない思いでスガ先輩の影に隠れるように少し後ろに下がれば気持ちは落ち着いた。
そうこうしているうちに試合が始まってしまった。
わ、私もしっかり見て記録しなきゃ!!と1人心の中で気合を入れ隣に立つスガ先輩に教えてもらいながら記入して行く。
「そォォオらァァア!!!」
影山くんからのトスをレフトから田中さんがドガガッと強烈な音を立てスパイクで叩いた。
それに蛍くんがバッチリマークしていたのか1人ブロックに入るが余りにも田中さんのスパイクが強烈だったせいかドシャットのつもりが逆に蛍くんが弾かれてた。
田中さん凄い!!
気迫もそうだけどあのパワー。
お兄ちゃんのスパイクもすごかったけれど…田中さんも凄い!!
でもブロックに入った蛍くんの手も痛そうだ。
「おぉっあのデカイ一年フっ飛ばした!」
「(いつもよりすげーパワー!!)」
「シャアァァアシャーッシャラァァア!!!」
「うひゃ!?!?」
「田中うるさい!」
「喜びすぎ!」
「まだ1点だろ!!」
「おい脱ぐな!!葉ちゃん居るんだから!!」
上着とTシャツを脱いでブンブンと振り回し盛大に喜ぶ田中さん。
お、男の人の上半身に慣れていないので驚き顔を手で覆い背けた。
お兄ちゃん居るけどうちのお兄ちゃんいきなりそういう事しないからいきなり脱がれると流石に驚いた。
「田中を煽ったのは失敗だったかもね~…」
「ッチ」
「オラァァァア!!」
「うるさい!」
もう恥ずかしくてポッポっと多分赤くなって居る頬を押さえながらキチンとTシャツと上着を田中さんが着直したところで試合再開。
前々という声とキュキュッと体育館の床に靴が擦れる音が響く。
忠くんのレシーブミスのチャンスボールは田中さんが処理をしてセッター影山くんからレフト日向くんへ。
私よりは大きいけれどバレーボール選手としてはそれほど大きくない日向くん。
その身長からリベロと言われても違和感のない彼はふわりと飛び上がりスパイクを打ったが…今度は蛍くんがバチっと音を立てキッチリとドシャットした。
凄い…飛んだ!!
あの身長であの高さ。
彼はどれだけ飛んだのだろうか!?
思わずびっくりしてしまった。
「昨日もビックリしたけど君よく跳ぶねぇ!それであとほォ~んの30センチほど身長があったらスーパースターだったかもね。」
「(デカくたって相手は一人…次は決める!)も、もう1本!!」
ドバチッと何度も何度も日向くんは跳ぶけど蛍くんにブロックされてしまう。
「!あー…」
「アラ~」
「…。」
記入を時折スガ先輩に確認してもらうがスガ先輩はジッと日向くんと影山くんを見ていた。
何だろう…?
何度もドシャットされても諦めない日向くん。
ネットを挟んで向かい合う日向くんと蛍くんの身長差は目測でおよそ30センチ近く。
日向くんにはすごく大きな壁に見えるはずなのに立ち向かって行く。
何だか日向くんは凄いな…。
「またブロック。」
「これで何本目だぁ?」
「田中の方はけっこう決まってるけどなぁ。」
「くそっ…」
「(月島…思った以上にやるな…)」
「ほらほらブロックにかかりっぱなしだよ?王様のトスやればいいじゃん敵を置き去りにするトス!ついでに仲間も置き去りにしちゃうヤツね」
ぴーっとサーブのコールがなる。
忠くんのサーブだ!!
頑張れ忠くん!!
「山口ナイッサぁー」
「おはようお兄ちゃん。」
差し入れ用におにぎりを握っているとお兄ちゃんが降りてきた。
引っ張り出した重箱には一段ずつ具の違うおにぎりを詰めていた。
最後の段の白身魚のほぐし身と高菜の混ぜご飯のおにぎりをせっせと詰めているとボサボサの髪のお兄ちゃんがまだ寝ぼけている顔で覗き込んできた。
今回は4種類作ったおにぎりを1つずつお兄ちゃんの朝ごはんにと別のお皿に載せてあるからそれを差し出せばキッチンから出てダイニングに移動した。
ちなみに梅刻みシソと昆布とシャケと混ぜご飯の4種類である。
「はよ葉。部活か?」
「うん。」
「早いな」
「差し入れにおにぎり作ってたから。」
大きなクーラーバックに保冷剤を詰めて重箱を入れる。
一緒に昨日の夜作っておいたレモンの蜂蜜漬けを詰めたタッパーを入れて更に隙間に保冷剤を詰め込めば少し重たいけどキャリー付きのクーラーバックなので問題なし。
準備完了である。
「昨日レモンの蜂蜜漬け作ってなかったか?」
「うん。でも部活終わりってお腹空くでしょ?」
「そうだな。」
お兄ちゃんは寂しそうに笑っていて私は思わず聞いてしまった。
「お兄ちゃんは行かないの?」
「…ごめん。葉」
「ううん。良いの。待ってる。お兄ちゃんが戻ってこなくても私は先輩や部員達と待ってる。」
「…ありがとう。」
行ってきます。
そう言えばお兄ちゃんも行ってらっしゃいと送り出してくれた。
ゴロゴロとクーラーバックを引きずって学校に向かう。
学校は家からそんなに遠くなく体育館に直行すればやる気満々の昨日の二人組と蛍くん、忠くんと2年生がちらほらいた。
潔子先輩も居たのですぐに駆け寄れば気がついて下さった。
「おはようございます。」
「おはよう。どうしたの?その荷物。」
「部活終わりに差し入れをと思いまして。どこかおいておけませんか?おにぎりとレモンの蜂蜜漬けです。」
「それならこっち。」
案内されたのは体育館の教官室。
ソファー1つとデスクが2つに冷蔵庫と製氷用の冷蔵庫があった。
昨日説明されたけど入ったのはこれが初めてだ。
ここは製氷用の冷蔵庫以外は基本使って居ないけどここは冷暖房完備で熱中症の人を休ませたりするのに使ったりすると聞いた。
ちょうど空な冷蔵庫におにぎりとレモンの蜂蜜漬けを移動させて貰った。
「今日はミニゲームをするみたいだからスコアの付け方とスコアブックを説明するね。」
「はい。宜しくお願いします。」
クーラーバックも此処に置かせてもらいに行ったん部室に荷物を置きに戻ってから潔子先輩と2人でボトルの準備とタオルとビブスの洗濯と今日のミニゲーム用に別のビブスを用意した。
体育館に戻ればもうすでに練習は始まって居た。
たまに流れ球が飛んでくるけどくれぐれもレシーブしない様に避けたり手で弾いたりしながら次のミニゲームで使う得点板を倉庫から引っ張ってくる。
お、重い。
ゴロゴロ付いてるけど得点板は重たい。
「あれ?それストッパーきいてない?」
「へ?」
「あぁほらやっぱり」
「葉ちゃんだよね。俺は2年の縁下力。よろしくね。まだ個別に自己紹介してなかったよね。」
「す、すみません。ありがとうございます。縁下先輩。」
縁下先輩の指摘どうりゴロゴロに付いているストッパーが外れていなかった。
うわ。
私気付かないで引っ張ってた。
どうりで重たいわけだよ…恥ずかしい。
縁下先輩はスッととしゃがみこむとストッパーを外してくれた。
「ちょっとストッパー硬いな…もしかして硬いから外せなかった?」
「い、いえあの…実はストッパーきいているのに気付かなくって…」
「あはは。正直だなー葉ちゃん」
一緒に押すよと言ってくれてちょうどネットのところまで2人で運んだ。
軽い。
なんで私気付かなかったんだろう?
あーもう。
恥ずかしいなぁ…。
「び美女と昨日の可愛い子だっ。なぁなぁあの人もマネージャーかな!?」
チラチラと落ち着きのない昨日の男の子と静かな黒髪の子。
その向こうに蛍くんと忠くんを見つけた。
「よーしじゃあ始めるぞ!」
アップも終わりいよいよミニゲームが始まるみたいだ。
2年生の先輩達が審判ついて主審は清子先輩が…。
ど、どうしようスコアの付け方教えてもらうはずなのに…。
「月島達の方には俺が入るからー」
「ええっキャプテンが!?」
「ははは!大丈夫だよ!攻撃力は田中の方が上だから!でも手は抜かないからなー!」
「……!」
「あーオホンッ」
オロオロとして入ればスガ先輩が手招きで呼んでくれた。
トトトトッと近づけばスコアノートを手渡してくれた。
「清水は主審に行っちゃったからスコアの付け方俺が教えるね。ルールはどのぐらいわかる?」
「あっと…あの一応小学生の時クラブチームにいたので大体大丈夫です。」
「そっか。じゃースコアの付け方は?」
「すみません。」
「いいよいいよ。遠慮なくきいて。」
ありがとうございますと初歩の初歩を説明してもらっているとどうやらコートでは一悶着あったらしい。
「小さいのと田中さんどっちを先に潰…抑えましょうかあ。あっそうそう王様が負けるとこも見たいですよねぇ。」
「ちょっ…ツッキー聞こえてるんじゃ…?やばいよっ」
「聞こえるように言ってんだろうが冷静さを描いてくれるとありがたいなぁ」
「月島良い性格の悪さしてるね~」
「ーとくに家来達に見放された一人ぼっちの王様が見ものですよね。」
?
王様?
昨日も蛍くんそんな事言っていたけど何なんだろ?
あの子のあだ名とかそんなのかな?
「ねぇねぇっ。」
あれ?
明らかに煽られてるのに田中さんニコニコしてる。
煽り耐性結構あるのかな?
「今の聞いたあ??あ~んな事言っちゃって月島クンてばもうホント、擂り潰す!!!」
「ひっ!!!」
そ、そんな事なかった。
怖い!!怖い!!怖い!!
めちゃくちゃ怒ってる!!
思わず怖くてすがるようにスガ先輩の腕を掴んでしまった。
「あーあ。ごめんね。あいつ顔怖いよね…大丈夫俺たちがいるからね。」
「田中ー葉ちゃん泣きそうだから!!その顔やめろ!!」
「え!?」
先輩達の底声にグルンとこちらを振り返った田中さん。
ひっと肩が跳ねればポンポンと縁下先輩が頭を撫でてくれる。
「やめろ田中ー」
「泣きそうだぞ田中ー」
「がーんっ!!?」
「田中。葉ちゃん泣かせたら私も許さない。」
「き、潔子さん!?」
な、何だかいつも優しい潔子先輩の周りは吹雪いているような何とも言えない雰囲気で、私がビビったせいだという事はもちろん分かっているのでワタワタと慌ててしまう。
「き、潔子先輩私泣いてませんっ田中さんすみませんっ大丈夫ですから!!潔子先輩は笑ってください!わ、私は潔子先輩の優しい笑顔が大好きですっ!!」
どうにかしなきゃと混乱しすぎていて半分何言っているのか自分でもよく分からないがふと潔子先輩が笑ってくれたのでコレで良かったのだとホッとした。
でもよく思い返してみれば私ってばかなり恥ずかしいことを口走ったのではないだろうか…。
そのことに気づくと沸騰しそうなほど顔が熱くなる。
きっと今顔が真っ赤だろう。
恥ずかしい!!っ
慌てて手元に持っていたスコアブックを抱えて顔を隠しちらりと周りを見れば部員の皆さんはバッチリこちらを見ていた。
な、何でそんなにこちらを見ているのですか!!?
居た堪れない思いでスガ先輩の影に隠れるように少し後ろに下がれば気持ちは落ち着いた。
そうこうしているうちに試合が始まってしまった。
わ、私もしっかり見て記録しなきゃ!!と1人心の中で気合を入れ隣に立つスガ先輩に教えてもらいながら記入して行く。
「そォォオらァァア!!!」
影山くんからのトスをレフトから田中さんがドガガッと強烈な音を立てスパイクで叩いた。
それに蛍くんがバッチリマークしていたのか1人ブロックに入るが余りにも田中さんのスパイクが強烈だったせいかドシャットのつもりが逆に蛍くんが弾かれてた。
田中さん凄い!!
気迫もそうだけどあのパワー。
お兄ちゃんのスパイクもすごかったけれど…田中さんも凄い!!
でもブロックに入った蛍くんの手も痛そうだ。
「おぉっあのデカイ一年フっ飛ばした!」
「(いつもよりすげーパワー!!)」
「シャアァァアシャーッシャラァァア!!!」
「うひゃ!?!?」
「田中うるさい!」
「喜びすぎ!」
「まだ1点だろ!!」
「おい脱ぐな!!葉ちゃん居るんだから!!」
上着とTシャツを脱いでブンブンと振り回し盛大に喜ぶ田中さん。
お、男の人の上半身に慣れていないので驚き顔を手で覆い背けた。
お兄ちゃん居るけどうちのお兄ちゃんいきなりそういう事しないからいきなり脱がれると流石に驚いた。
「田中を煽ったのは失敗だったかもね~…」
「ッチ」
「オラァァァア!!」
「うるさい!」
もう恥ずかしくてポッポっと多分赤くなって居る頬を押さえながらキチンとTシャツと上着を田中さんが着直したところで試合再開。
前々という声とキュキュッと体育館の床に靴が擦れる音が響く。
忠くんのレシーブミスのチャンスボールは田中さんが処理をしてセッター影山くんからレフト日向くんへ。
私よりは大きいけれどバレーボール選手としてはそれほど大きくない日向くん。
その身長からリベロと言われても違和感のない彼はふわりと飛び上がりスパイクを打ったが…今度は蛍くんがバチっと音を立てキッチリとドシャットした。
凄い…飛んだ!!
あの身長であの高さ。
彼はどれだけ飛んだのだろうか!?
思わずびっくりしてしまった。
「昨日もビックリしたけど君よく跳ぶねぇ!それであとほォ~んの30センチほど身長があったらスーパースターだったかもね。」
「(デカくたって相手は一人…次は決める!)も、もう1本!!」
ドバチッと何度も何度も日向くんは跳ぶけど蛍くんにブロックされてしまう。
「!あー…」
「アラ~」
「…。」
記入を時折スガ先輩に確認してもらうがスガ先輩はジッと日向くんと影山くんを見ていた。
何だろう…?
何度もドシャットされても諦めない日向くん。
ネットを挟んで向かい合う日向くんと蛍くんの身長差は目測でおよそ30センチ近く。
日向くんにはすごく大きな壁に見えるはずなのに立ち向かって行く。
何だか日向くんは凄いな…。
「またブロック。」
「これで何本目だぁ?」
「田中の方はけっこう決まってるけどなぁ。」
「くそっ…」
「(月島…思った以上にやるな…)」
「ほらほらブロックにかかりっぱなしだよ?王様のトスやればいいじゃん敵を置き去りにするトス!ついでに仲間も置き去りにしちゃうヤツね」
ぴーっとサーブのコールがなる。
忠くんのサーブだ!!
頑張れ忠くん!!
「山口ナイッサぁー」