男の子っぽい女の子のお名前でどーぞ!!
始まりからインターハイ予選途中まで
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白鳥沢学園の門の前で斎藤コーチを見つけた。
どうやらお出迎えに出て来てくれてたみたいだ。
「あ、君が高尾さん?鷲匠先生から話は聞いてます。バレー部コーチの斎藤だ。」
「あ、どうも。烏野バレー部一年トレーナーの高尾です。今日はお世話になります。」
斎藤コーチに案内された白鳥沢はやっぱり学園法人で県内でも上位の学力と部活動も強豪ということもあり、施設はどれも大きいし学校自体の敷地も広い。
まずは事務所で見学の手続きをしてバレー部が使う体育館に案内された。
体育館も大きい。
体育館内にいたのは白鳥沢の選手ではなく大学生達で多分ここのOBだろう。
コート内でアップを取っていた。
「鷲匠先生。今日は呼んでいただいてありがとうございます。」
「来たな。小娘。」
「はい。あ、あの白鳥沢の選手達は…?」
「今はロードワークに行ってる。戻って来たら紹介する。」
「了解です。じゃさきに二階席にカメラ設置して来ていいですか?」
「好きにしな。」
「あざーす!!」
「小娘、整体師試験受かったんだってな。」
「?あれ?情報早くないですか?」
「黒澤の小僧から聞いた。」
「そすか…。」
師匠めぇなんて思いながら二階に鉄梯子で上がらせてもらいコートの中央から見渡す所とコートの後ろから全体を見渡せるところに三脚でカメラを設置する。
見学は上でさせてもらおうと荷物は中央のカメラのところの足元に置いておく。
設置し終わった所で選手が戻って来たらしく呼ばれた。
「集合!!」
「高尾さんも降りて来なさい。」
「はい。今行きます。」
「誰だありゃ?」
「さー?」
「すげー美人ちゃん。」
降りていけば選手が並ぶ前に立つ鷲匠先生の隣に立たされた。
「今日は見学に黒澤の坊主のところの弟子が来ている。」
「烏野高校1年男子バレー部トレーナーの高尾です。お願いしぁっす!!」
「見学の代わりに今日一日トレーナーとして選手のケアをする事になっているからな。もちろんプロの整体師の資格も持ってる。」
挨拶だけ済ませれば鷲匠先生からの指示で第1試合に出るスターター選手が準備に入る。
残りの人達はベンチやら多分一年の人達は雑用に回る。
そのうちの数人が手が空いたのか斎藤コーチからの指示でコート後ろのカメラをやってくれるらしいのでお願いして置いた。
「さてさてどんなプレーが見れるのやら…」
試合開始だ。
スターター選手はデータ通りの主力選手。
レギュラーでない人も混じってるってことは数回の練習試合でローテで色々回して試すつもりなんだろう。
そのぶん多く情報が取れるから私としてはありがたいんだけど…。
試合はちょうど2年生セッターの白布さんのトスからエース牛若さんからの強烈なスパイク。
大学生チームのブロックは二枚いたのにそんなの関係なく吹き飛ばしていく。
凄まじい威力にボールが二階席まで飛んて来た。
うへぇ。
あの火力に加えてサウスポー。
相手はやりづらいだろう。
バレーは右利き選手が多いし最近でも左利きを右利きに矯正する人が多い。
スパイクも右利きには基本的に気持ち右側にブロックに入るのが普通。
それが左右逆転すんだからやりづらいのは当たり前だ。
それに右利きと左利きでボールの回転も少し変わる。
あの火力だがサウスポーだけあって軟打でも脅威だ。
流石だ。
それに…。
大学生チームのセットアップからのスパイクを止めたのは天童さん。
五色さんと二枚でストレート閉めていたかと思えばスパイカーが打つ瞬間ボールに合わせて腕を振り止めやがった。
サトリという名前だけあって妖怪くさい。
ありえない反応速度と嗅覚。
あれはリードブロックとは真逆。
ほぼ感といっていいほどの動きだろう。
うわぁなんて思いながら見下ろしていればこちらを見上げニンマリと嫌な笑みを浮かべられてしまった。
マジでサトリだあの人…。
顔を引きつらせてる自覚はあるがとりあえず笑い手を振り返す。
「イェーイ。美人ちゃんから手を振ってもらっちゃったー」
思った事と動きとフォーメーション、癖なんかも細かくノートに書き連ねながら見ていればあっという間に1試合目が終わる。
失点やミスを鷲匠がガーガーと怒りながら選手に注意して行き次のゲームまでの休憩に入る。
相変わらず雑務は一年生がやってるから今のところ私のやることはない。
っと言うなれば…。
「牛島若利さん。簡単な質問いいですか?」
「構わない。何が聞きたい?」
「あざーす!!」
「何々?美人トレーナーチャンは若利くんがやっぱ気になるぅ?」
「当たり前じゃないですかー?牛若さんと言えばユース常連者。今年あたりには全日本選手になるんじゃないですか?」
ニンマリと笑い返しながらからんできた天童さんに返せばよく調べてんねーと言われる。
「それで牛島さん。まだ身長伸びてますよね?下調べした去年の数値より高い気がします。目測で…そうですね。ズバリ188.9ってとこですか?」
「目測の割に細かい数値言うんだな。」
「確認で聞いてますからね。大平さん」
「んで?どうなの若利くん。」
「ピッタリあっている。」
「うわー凄いな…」
「本当に目測?」
「えぇ。目測です。ネットの高さと比べての測量なんで割と自信はあるんですけど本人の許可があるなら直接聞く方が確実なんで。牛島さんありがとうございました。」
雑談を終えたところで第2試合の準備が始まりスタートした。
第2試合はセッターが白布さんから3年生の瀬見さんに変わった。
いきなり瀬見さんからのサーブ。
強烈なジャンプサーブはノータッチエースをもぎ取る。
威力で言えばうちの飛雄くんのそれより少し上。
牛島さんのサーブに次ぐくらいやばい。
目測で測った時速を記録に残しコントロールもどれほどか確率を取っておく。
にしても、OBだと思われる大学生チームを牛島さんがたった1人で圧倒していく様はマジで怪童。
しばらく見ていればちょっと気になることが出てくる。
第1試合に比べて五色さんの動きがほんの少し一瞬なんだけど反応が鈍くなってる?
セッターが変わったせいかとも初めは思っていたがどうにも違う。
じっと足を見ればかすかにピクリピクリと痙攣してる?
ってかありえないほど筋肉が張り詰めてる!!
「鷲匠先生!!タイム!!今すぐ五色さんを引っ込めて!!!」
気が付きすぐに柵から身を乗り出すように顔を出して叫べばすぐにタイムを取ってくれた。
手すりで半ば飛び降りるように二階から降りてコートに走っていく。
「えっ!?ちょっ俺は何ともないです!!」
「何ともなくない!!今すぐベンチに下がれ。誰か肩貸してあげてください。」
「だから!!なんともないって!!「筋肉疲労からの疲労痙攣。これが何ともないわけねぇだろうが!!選手なら自己管理もしっかり見極めろ!!」
「!!!工こっちへ来い!!誰か連れて来い!!」
「すみませんが誰かアイシングの用意お願いします。タオルと氷嚢。テーピングとスプレーとあと湿布も持ってきてください!!」
「お、おぉ。」
悔しそうに顔を歪める五色さんを大平さんが支えてベンチに連れてきてベンチに座らせる。
ズボンを太ももまであげさせれば…
「筋損傷の一歩手前。筋肉疲労で収縮が戻ってないっ!!」
「高尾処置できるのか。」
「当たり前ですっ。」
「高尾さん救急箱です。」
「ありがとうございます。」
「筋損傷…?」
「筋損傷、細かくは筋膜損傷といって一般的には肉離れと呼ばれてます。正確にはなりかけですが。」
全くわかってない周りにスプレーをしながら軽く捕捉する。
「肉離れは筋肉疲労により筋組織が収縮しなくなり伸びた状態のままジャンプや短距離ダッシュなんかの激しい運動が原因で起こるものです。筋肉は力を使う時に膨張し張り詰めますが普通なら力を抜けば収縮し元に戻ります。今の五色さんの足の筋肉は疲労によって蓄積されたものでその収縮ができていない状態です。そんな伸びきったものをさらに伸ばせば千切れてしまうでしょ?今その一歩手前です。あと一回でも飛んでたら間違いなくちぎれてます。」
氷嚢を当ててアイシングを施す。
「五色さん。肉離れは一度なれば癖になります。この意味分かりますよね?」
「っつ!!!」
「高尾…原因分かるか…」
「多分ですけどオーバーワークじゃないかと。」
「工っ!!!」
「俺は牛島さんを超えるエースになるんですっ!!!休憩なんかしてる場合じゃないんですっ!!!」
「だからと言って無茶するのは違いませんか?私は部外者で知りませんけど、きっと斎藤コーチも鷲匠監督も選手に見合った練習メニュー組んでると思いますけど…高校一年生の五色さんはいま成長期だから無茶は禁物。無茶は故障に繋がるんですよ。」
「高尾の言う通りだこのボケナス!!お前はこれからなのにつまらねぇ怪我してる場合じゃねぇだろうが!!!」
あぁ、鷲匠先生のお説教が始まった。
まさにマシンガンの如く怒鳴り続ける。
筋肉から熱が引いたのを見計らって湿布と弾性の強いテーピングで圧迫しながら固定する。
本来なら包帯の方がいいけど応急処置にはこれで良い。
時折ポタポタと俯いた五色さんが泣いてるのか水溜りができる。
反対側の方の足もこっちよりはマシだがだいぶ疲労が溜まってる。
勝手に靴を脱がして自分の膝に乗せ回復マッサージに入る。
「分かったか工っ!!」
「あ゛いっ!!!」
「高尾さんも気付いてくれてありがとう…」
「いえ。今日は仮トレーナーですから。五色さんは移動の時にこっちの足に体重かけないように肉離れまでいってないにしろダメージがあるのでこのまま保存治療の方がいいと思いますが念のため病院に行ってください。私は医者ではありませんから本当に肉離れはしてないとは限りませんからね。」
「オメェがいて助かった高尾。本当に白鳥沢こねぇのか?」
「行きませんっ。」
「つれないっ!!高尾チャンはつれないねぇ。」
五色さんは斎藤コーチに連れられ体育館を出て行った。
それを見届ければ白布さんが近付きてテーピングを頼まれた。
「高尾さん。テーピングもできるの?」
「はい。…突き指ですね。テープ借ります。」
「ん…お願い。」
処置を終えれば第2試合の再開。
五色さんの代わりに川西さんが入った。
データではミドルブロッカーのはずなんだけど…ウイングスパイカーに…。
そして私は何故かベンチに座らせられビデオは結局白鳥沢の1年生が回してくれることになった。
鷲匠先生の指示で…。
上から見てる方が良かったんだけどなーなんて思いつつノートと荷物だけは降ろさせてもらったので引き続き第2試合の記録をとった。
試合中もしつこい鷲匠監督からのぼやきにも似た勧誘にちょっとうんざりする。
白鳥沢は強力な大砲牛若さんを引き立てるチーム。
自己主張のしないセッターにサーブレシーブのフォローに入る周り選手。
まぁ牛若さんにそれほどの力があるからなんとも言えない。
県内で青葉城西が一番完成されたチームだとするなら白鳥沢は真逆。
一番未完成なチームと言える。
ここの技能があるからこそのチームとも言える。
ま、推薦引き抜き選手ばっかりだからってのもあるけど…。
大学生相手に大差をつけでストレート勝ち。
本当に高校生かよちょっとうんざりする。
第三試合が始まってちょっとしたら斎藤コーチと五色さんが戻ってきた。
戻ってくるなり五色さんは私の目の前に立った。
「高尾さんっ!!!」
「っ?ハイ?」
「~ありがとうございましたっ!!!」
ばっと腰を折って90度の綺麗なお辞儀。
うわ、対応の困るやつ。
泣いてたせいかちょっと赤くなった目の端にアイシングで余ってた氷を入れた氷嚢をペトリと当ててやった。
「どういたしまして。大したことはしてませんが…」
ばっとまた顔を上げた五色さんに氷嚢を手渡してコートに目を向ける。
五色さんはどうやら隣に座ったらしくチラチラそわそわとせわしなくこっちを見る…なんとなくこの落ち着きのなさは翔陽に通ずるものがあるなーと思う。
「どうだった…」
「高尾さんの言うとおり、肉離れ一歩手前でした。高尾さんの適切な処置のおかげで回復も早く2日ほど安静にしてれば問題ないそうです。」
「高尾おめぇ「くどいっ!!私は烏野です!!カラスです!!」
「「「(監督を跳ね除けた…どちらかと言えば高尾は鷹だろ。)」」」
「勿体ねぇな…」
「こうして呼んでくださるのはありがたいですが何度言われようと烏野です。」
。
どうやらお出迎えに出て来てくれてたみたいだ。
「あ、君が高尾さん?鷲匠先生から話は聞いてます。バレー部コーチの斎藤だ。」
「あ、どうも。烏野バレー部一年トレーナーの高尾です。今日はお世話になります。」
斎藤コーチに案内された白鳥沢はやっぱり学園法人で県内でも上位の学力と部活動も強豪ということもあり、施設はどれも大きいし学校自体の敷地も広い。
まずは事務所で見学の手続きをしてバレー部が使う体育館に案内された。
体育館も大きい。
体育館内にいたのは白鳥沢の選手ではなく大学生達で多分ここのOBだろう。
コート内でアップを取っていた。
「鷲匠先生。今日は呼んでいただいてありがとうございます。」
「来たな。小娘。」
「はい。あ、あの白鳥沢の選手達は…?」
「今はロードワークに行ってる。戻って来たら紹介する。」
「了解です。じゃさきに二階席にカメラ設置して来ていいですか?」
「好きにしな。」
「あざーす!!」
「小娘、整体師試験受かったんだってな。」
「?あれ?情報早くないですか?」
「黒澤の小僧から聞いた。」
「そすか…。」
師匠めぇなんて思いながら二階に鉄梯子で上がらせてもらいコートの中央から見渡す所とコートの後ろから全体を見渡せるところに三脚でカメラを設置する。
見学は上でさせてもらおうと荷物は中央のカメラのところの足元に置いておく。
設置し終わった所で選手が戻って来たらしく呼ばれた。
「集合!!」
「高尾さんも降りて来なさい。」
「はい。今行きます。」
「誰だありゃ?」
「さー?」
「すげー美人ちゃん。」
降りていけば選手が並ぶ前に立つ鷲匠先生の隣に立たされた。
「今日は見学に黒澤の坊主のところの弟子が来ている。」
「烏野高校1年男子バレー部トレーナーの高尾です。お願いしぁっす!!」
「見学の代わりに今日一日トレーナーとして選手のケアをする事になっているからな。もちろんプロの整体師の資格も持ってる。」
挨拶だけ済ませれば鷲匠先生からの指示で第1試合に出るスターター選手が準備に入る。
残りの人達はベンチやら多分一年の人達は雑用に回る。
そのうちの数人が手が空いたのか斎藤コーチからの指示でコート後ろのカメラをやってくれるらしいのでお願いして置いた。
「さてさてどんなプレーが見れるのやら…」
試合開始だ。
スターター選手はデータ通りの主力選手。
レギュラーでない人も混じってるってことは数回の練習試合でローテで色々回して試すつもりなんだろう。
そのぶん多く情報が取れるから私としてはありがたいんだけど…。
試合はちょうど2年生セッターの白布さんのトスからエース牛若さんからの強烈なスパイク。
大学生チームのブロックは二枚いたのにそんなの関係なく吹き飛ばしていく。
凄まじい威力にボールが二階席まで飛んて来た。
うへぇ。
あの火力に加えてサウスポー。
相手はやりづらいだろう。
バレーは右利き選手が多いし最近でも左利きを右利きに矯正する人が多い。
スパイクも右利きには基本的に気持ち右側にブロックに入るのが普通。
それが左右逆転すんだからやりづらいのは当たり前だ。
それに右利きと左利きでボールの回転も少し変わる。
あの火力だがサウスポーだけあって軟打でも脅威だ。
流石だ。
それに…。
大学生チームのセットアップからのスパイクを止めたのは天童さん。
五色さんと二枚でストレート閉めていたかと思えばスパイカーが打つ瞬間ボールに合わせて腕を振り止めやがった。
サトリという名前だけあって妖怪くさい。
ありえない反応速度と嗅覚。
あれはリードブロックとは真逆。
ほぼ感といっていいほどの動きだろう。
うわぁなんて思いながら見下ろしていればこちらを見上げニンマリと嫌な笑みを浮かべられてしまった。
マジでサトリだあの人…。
顔を引きつらせてる自覚はあるがとりあえず笑い手を振り返す。
「イェーイ。美人ちゃんから手を振ってもらっちゃったー」
思った事と動きとフォーメーション、癖なんかも細かくノートに書き連ねながら見ていればあっという間に1試合目が終わる。
失点やミスを鷲匠がガーガーと怒りながら選手に注意して行き次のゲームまでの休憩に入る。
相変わらず雑務は一年生がやってるから今のところ私のやることはない。
っと言うなれば…。
「牛島若利さん。簡単な質問いいですか?」
「構わない。何が聞きたい?」
「あざーす!!」
「何々?美人トレーナーチャンは若利くんがやっぱ気になるぅ?」
「当たり前じゃないですかー?牛若さんと言えばユース常連者。今年あたりには全日本選手になるんじゃないですか?」
ニンマリと笑い返しながらからんできた天童さんに返せばよく調べてんねーと言われる。
「それで牛島さん。まだ身長伸びてますよね?下調べした去年の数値より高い気がします。目測で…そうですね。ズバリ188.9ってとこですか?」
「目測の割に細かい数値言うんだな。」
「確認で聞いてますからね。大平さん」
「んで?どうなの若利くん。」
「ピッタリあっている。」
「うわー凄いな…」
「本当に目測?」
「えぇ。目測です。ネットの高さと比べての測量なんで割と自信はあるんですけど本人の許可があるなら直接聞く方が確実なんで。牛島さんありがとうございました。」
雑談を終えたところで第2試合の準備が始まりスタートした。
第2試合はセッターが白布さんから3年生の瀬見さんに変わった。
いきなり瀬見さんからのサーブ。
強烈なジャンプサーブはノータッチエースをもぎ取る。
威力で言えばうちの飛雄くんのそれより少し上。
牛島さんのサーブに次ぐくらいやばい。
目測で測った時速を記録に残しコントロールもどれほどか確率を取っておく。
にしても、OBだと思われる大学生チームを牛島さんがたった1人で圧倒していく様はマジで怪童。
しばらく見ていればちょっと気になることが出てくる。
第1試合に比べて五色さんの動きがほんの少し一瞬なんだけど反応が鈍くなってる?
セッターが変わったせいかとも初めは思っていたがどうにも違う。
じっと足を見ればかすかにピクリピクリと痙攣してる?
ってかありえないほど筋肉が張り詰めてる!!
「鷲匠先生!!タイム!!今すぐ五色さんを引っ込めて!!!」
気が付きすぐに柵から身を乗り出すように顔を出して叫べばすぐにタイムを取ってくれた。
手すりで半ば飛び降りるように二階から降りてコートに走っていく。
「えっ!?ちょっ俺は何ともないです!!」
「何ともなくない!!今すぐベンチに下がれ。誰か肩貸してあげてください。」
「だから!!なんともないって!!「筋肉疲労からの疲労痙攣。これが何ともないわけねぇだろうが!!選手なら自己管理もしっかり見極めろ!!」
「!!!工こっちへ来い!!誰か連れて来い!!」
「すみませんが誰かアイシングの用意お願いします。タオルと氷嚢。テーピングとスプレーとあと湿布も持ってきてください!!」
「お、おぉ。」
悔しそうに顔を歪める五色さんを大平さんが支えてベンチに連れてきてベンチに座らせる。
ズボンを太ももまであげさせれば…
「筋損傷の一歩手前。筋肉疲労で収縮が戻ってないっ!!」
「高尾処置できるのか。」
「当たり前ですっ。」
「高尾さん救急箱です。」
「ありがとうございます。」
「筋損傷…?」
「筋損傷、細かくは筋膜損傷といって一般的には肉離れと呼ばれてます。正確にはなりかけですが。」
全くわかってない周りにスプレーをしながら軽く捕捉する。
「肉離れは筋肉疲労により筋組織が収縮しなくなり伸びた状態のままジャンプや短距離ダッシュなんかの激しい運動が原因で起こるものです。筋肉は力を使う時に膨張し張り詰めますが普通なら力を抜けば収縮し元に戻ります。今の五色さんの足の筋肉は疲労によって蓄積されたものでその収縮ができていない状態です。そんな伸びきったものをさらに伸ばせば千切れてしまうでしょ?今その一歩手前です。あと一回でも飛んでたら間違いなくちぎれてます。」
氷嚢を当ててアイシングを施す。
「五色さん。肉離れは一度なれば癖になります。この意味分かりますよね?」
「っつ!!!」
「高尾…原因分かるか…」
「多分ですけどオーバーワークじゃないかと。」
「工っ!!!」
「俺は牛島さんを超えるエースになるんですっ!!!休憩なんかしてる場合じゃないんですっ!!!」
「だからと言って無茶するのは違いませんか?私は部外者で知りませんけど、きっと斎藤コーチも鷲匠監督も選手に見合った練習メニュー組んでると思いますけど…高校一年生の五色さんはいま成長期だから無茶は禁物。無茶は故障に繋がるんですよ。」
「高尾の言う通りだこのボケナス!!お前はこれからなのにつまらねぇ怪我してる場合じゃねぇだろうが!!!」
あぁ、鷲匠先生のお説教が始まった。
まさにマシンガンの如く怒鳴り続ける。
筋肉から熱が引いたのを見計らって湿布と弾性の強いテーピングで圧迫しながら固定する。
本来なら包帯の方がいいけど応急処置にはこれで良い。
時折ポタポタと俯いた五色さんが泣いてるのか水溜りができる。
反対側の方の足もこっちよりはマシだがだいぶ疲労が溜まってる。
勝手に靴を脱がして自分の膝に乗せ回復マッサージに入る。
「分かったか工っ!!」
「あ゛いっ!!!」
「高尾さんも気付いてくれてありがとう…」
「いえ。今日は仮トレーナーですから。五色さんは移動の時にこっちの足に体重かけないように肉離れまでいってないにしろダメージがあるのでこのまま保存治療の方がいいと思いますが念のため病院に行ってください。私は医者ではありませんから本当に肉離れはしてないとは限りませんからね。」
「オメェがいて助かった高尾。本当に白鳥沢こねぇのか?」
「行きませんっ。」
「つれないっ!!高尾チャンはつれないねぇ。」
五色さんは斎藤コーチに連れられ体育館を出て行った。
それを見届ければ白布さんが近付きてテーピングを頼まれた。
「高尾さん。テーピングもできるの?」
「はい。…突き指ですね。テープ借ります。」
「ん…お願い。」
処置を終えれば第2試合の再開。
五色さんの代わりに川西さんが入った。
データではミドルブロッカーのはずなんだけど…ウイングスパイカーに…。
そして私は何故かベンチに座らせられビデオは結局白鳥沢の1年生が回してくれることになった。
鷲匠先生の指示で…。
上から見てる方が良かったんだけどなーなんて思いつつノートと荷物だけは降ろさせてもらったので引き続き第2試合の記録をとった。
試合中もしつこい鷲匠監督からのぼやきにも似た勧誘にちょっとうんざりする。
白鳥沢は強力な大砲牛若さんを引き立てるチーム。
自己主張のしないセッターにサーブレシーブのフォローに入る周り選手。
まぁ牛若さんにそれほどの力があるからなんとも言えない。
県内で青葉城西が一番完成されたチームだとするなら白鳥沢は真逆。
一番未完成なチームと言える。
ここの技能があるからこそのチームとも言える。
ま、推薦引き抜き選手ばっかりだからってのもあるけど…。
大学生相手に大差をつけでストレート勝ち。
本当に高校生かよちょっとうんざりする。
第三試合が始まってちょっとしたら斎藤コーチと五色さんが戻ってきた。
戻ってくるなり五色さんは私の目の前に立った。
「高尾さんっ!!!」
「っ?ハイ?」
「~ありがとうございましたっ!!!」
ばっと腰を折って90度の綺麗なお辞儀。
うわ、対応の困るやつ。
泣いてたせいかちょっと赤くなった目の端にアイシングで余ってた氷を入れた氷嚢をペトリと当ててやった。
「どういたしまして。大したことはしてませんが…」
ばっとまた顔を上げた五色さんに氷嚢を手渡してコートに目を向ける。
五色さんはどうやら隣に座ったらしくチラチラそわそわとせわしなくこっちを見る…なんとなくこの落ち着きのなさは翔陽に通ずるものがあるなーと思う。
「どうだった…」
「高尾さんの言うとおり、肉離れ一歩手前でした。高尾さんの適切な処置のおかげで回復も早く2日ほど安静にしてれば問題ないそうです。」
「高尾おめぇ「くどいっ!!私は烏野です!!カラスです!!」
「「「(監督を跳ね除けた…どちらかと言えば高尾は鷹だろ。)」」」
「勿体ねぇな…」
「こうして呼んでくださるのはありがたいですが何度言われようと烏野です。」
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