男の子っぽい女の子のお名前でどーぞ!!
インターハイ予選途中から合宿遠征埼玉編の途中まで
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「すみませんっ俺引っかかってばっかで…」
「あの伊達工を翻弄した烏野だからねー。まぁあの速攻捕まえる糸口はちょっとだけ待ってよ。多分もうすぐだから。」
なーんか嫌な予感するんだよね。
及川さんが靴紐を結び終わり試合再開。
龍先輩のサーブ。
リベロの渡先輩が回り込んで拾う。
「田中ナイッサー」
「ッサー」
「渡!」
「はい!」
「ナイスレシーブ!」
攻撃には金田一くんが飛んだ。
Aクイックだ。
翔陽がブロックに飛ぶが金田一くんは翔陽のブロックの更にその上から打ってきた。
「なぁ和樹。今の前よりも高くなかった?」
「うん。約ボール1つ分高いね。昨日の試合の映像でもそうだったから多分あの高さが金田一くんの最高打点だと思う。それにクイックだけど少しゆっくり…かも。タイミング的に見て確認してから打ってる感じがする。」
「やっぱり?」
「ん。ジャンプ力が上がったってよりは元々の潜在能力と体の使い方が変わったんだと思う。」
「そっか。短期間ですぐ伸びるわけないから気のせいかと思ったけど和樹がそう言うなら間違いないな…。」
2-4
岩ちゃん先輩のサーブは大地先輩が拾ったけど明らかに後衛セッターが動く、人が交差する地点に確実に打ってきてる。
威力重視のジャンプサーバー以外はコントロール重視で嫌なところを確実に狙ってきてやがる。
「すまんカバー!」
「はい!」
「くれっ!!」
翔陽に金田一くんがブロックに飛び旭先輩に国見くんが付いたが一枚ブロックじゃうちのエースは止められない。
腕に当たったけど直角に国見くんの足元に落ちた。
「しゃあ!!!」
「旭ー」
「旭さーん」
「旭先輩ー」
「「「ナイスキー!!!」」」
あ、及川さんが笑った。
ぞわりと悪寒が走ったと思えば向こうがタイムアウト取った。
あぁこのタイミングでのタイムアウトなら…たぶん
「バレたっぽい。」
「…もしかして…」
「はえーな。くそっ…」
「もう気づかれた?」
「気付かれてもこのタイミングで分かりやすくタイムアウト取るなら…揺さぶられてんのは飛雄お前だよ。だから焦るな。焦ったら及川さんの思う壺。」
「うす。」
「おおーい!深刻なツラしてらしくねーな!」
「いやノヤッさんこいつは大体いつもこんな顔だ。牛乳か飲むヨーグルトで迷ってる時も同じ顔だぞ!」
「そっちっそんなことないですよ!!」
「例え合図がバレたって日向の1番の武器は囮なんだしお前のセットアップなら青城のブロックだってチョイチョーイだぜ!!なぁ日向よ!」
「あっス!!」
「あ、あざす!」
「龍先輩…次及川さんにサーブで狙われるのたぶん龍先輩だと思う。気を付けて。たぶん龍先輩のメンタル折りにくるよあの人相当だから。」
「まぢかよ…」
タイムアウト終了。
「にしても、ノヤッさんよく初っ端とったな。」
「俺中坊ん時あのサーブとったことあるし、高尾ちゃんからあらかじめ来るぞって教えてもらってたからな。」
「アレか北側第一に居たつーすげーサーブのやつか」
「おう。…確かにはいればすごいサーブだったけど結構ミスも多いしあんなコントロールもなかったからな。相当練習したんだと思う。」
「…。」
「1人サーブがすごい奴がいるとかセッターが万能とかそれだけでずっと4強に居られるとはおもわねぇ気張るぜ」
「おう。」
翔陽のサーブは拾われてアタッカーはマッキー先輩。
うちのブロッカーは他の囮に振られ大地先輩が飛びついたが間に合わず、翔陽は正面だったのにレシーブミスでボールは後方に飛んでった。
「ミスっても下向かない!!」
「ハ!フィ!」
金田一くんがサーブで渡先輩がアウト。
まっつん先輩が前衛に戻って来る。
金田一くんがサーブで狙ってきたのはやっぱり後方セッターと後衛レシーバーがクロスするところ。
また飛雄をスクリーンがわりに使いやがる。
レシーバーの旭先輩が取りこぼした。
二度目も同じ。
あれは取りづらいけど飛雄に取らせるわけにはいかない。
「威力はさほどすごくなさそうなのになぜ取れないのでしょうか?」
「それは飛雄をスクリーンがわりにしてるからですよ。簡単に説明するとセッターが後衛にいるときはサーブが打たれる瞬間までは前衛の選手よりも前に出ちゃいけないと言うルールがあります。だから相手が打つと同時にネット側まで素早く移動しなきゃいけないんです。そう言う人の交差する場所はレシーブに入るのが難しいので一瞬遅れたりミスしやすいです。」
「なるほど。」
「スクリーンっておま、これバスケじゃねーぞ?」
「つい。すんません。」
「いえいえ。分かりやすかったのでつまり影山くんが遮蔽物になって見づらいって事ですよね?」
「そう言う事です。」
「でも来る場所さえわかれば取れないサーブじゃない。」
3回目にして旭先輩がようやく上げた。
コートでは蛍が囮で大地先輩がサイトラインギリのストレートを決めた。
「さっき澤村くんのレシーブが乱れたのも?」
「そうだな。」
4-8
「あっここで及川くん前衛ですか。またツーアタックにも気を付けないと」
向こうは三年生が前衛に揃うターン。
飛雄へのプレッシャーは相当だろう…。
もう4点差。
こっちは翔陽なしで前衛は2枚。
早くローテ回さないとちょっとばかりキツイ。
「オーライ!」
「ナイスレシーブ」
大地先輩が拾い飛雄のセットアップから蛍が助走に入るが、飛雄が選択したのはモーションモロバレのツーアタック。
さすがに相手も分かっているので及川さんがブロックで叩き落とした。
「スミマセン!!!」
「ドンマイ!ゆっくり行こうゆっくり!」
「焦ってる時のツー程止めやすいものはないよねぇ」
んー。
及川さんの言う通りだ。
普段は落ち着いて出来てることがプレッシャーと焦りとサインがバレたこともあるだろう…それが思いっきり出てる。
5-9
その後も蛍がフェイントで決めるが元々蛍と飛雄の仲は良くないせいか会話もない。
少しはコミュニケーション取らないと連携もクソもあったものじゃない。
マッキー先輩がスパイクを決めて5-10
5点差だ。
なんとか食らいついていかないと離される。
「ソアァァ!!!ハイヤーッ」
相変わらず龍先輩はブロックにぶつかりながらもパワーで押し込みスパイクを決め元気だけど…。
ここでようやくローテションが回って翔陽が前衛に戻ってきた。
戻ってきて早々飛び出していく翔陽。
「トスくれー」
青城のブロッカーはすぐに飛びつかずにトスを見てから飛んできた。
ありゃ、早速だけどこれは完全にバレてんね。
分かった上での対応してきてる。
「ふんぬ」
ぺちんと情けない音になったが空中で金田一くんの手を避けることでなんとか捕まらずに済んだ。
次のサーブは飛雄。
今度こそ入れてよ?
「影山くんリラックスですよーっ」
サーフトスちょっと前に出すぎだ。
飛雄はなんとか軟打に切り替えることでうまいこと向こうに…向こうはジャンプサーブに備えて深めに構えて居たせいで前の守備がガラ空きだ。
それでもフライングで飛び込んでマッキー先輩が拾い岩ちゃん先輩がフォローした。
「乱した!!」
「怪我の功名!!」
「チャンスボール!!」
「及川ラスト!!」
「そう簡単にはっ」
及川さんは明らかに飛雄を狙いやがった。
オーバーハンドで飛雄がファーストタッチ。
これではこっちはトスを上げられないっ。
くっそやられた。
「影山くんがファーストタッチ…!」
「レフトー」
「田中頼む!」
「レフト来るぞ三枚付け!!」
「トスを上げられないっ」
一見地味なことも得点に繋ぎとっさにピンチをチャンスに変える。
それが本番でできると言う強さ。
試合の慣れ方が違う…!!!
それがうちと向こうとの差。
三枚ブロックに阻まれ龍先輩のスパイクは決まらなかった。
「クッソォォ!!」
「ドンマイ!ドンマイ!」
「も一本!!」
「あっ!」
ここでまた…及川さんのサーブが回ってきた。
多分及川さんならいつも威勢のいいムードメーカーを潰しにくる。
うちの勢いを抑えるなら1番調子に乗らせちゃいけない人…。
私の予測通り及川さんの強烈なジャンプサーブはドライブのせいでカーブしながら龍先輩に向かっていく。
正面で捉えられなかったボールは腕にあたり後方に弾き飛んだ。
「ドンマイ次一本!!」
サーブレシーブの連続ミスは相当な精神的圧迫になる。
多分先ずは一番元気で騒がしい龍先輩を静かにさせてから順に及川さんはうちのアタッカーを潰す気だ。
レフト2人が潰されたらいくら優秀な囮がいても意味がなくなる、そうしてうちの攻撃力を削ぐつもりなのだろう…。
速攻でコーチの判断のもとタイムアウトを取った。
点差のこともあるし早く流れを断ち切らないといけないから正しい判断だ。
「上で良い!セッターに帰らなくとも上げさえすればどうとでもカバーできる!」
「うっす!!」
「龍先輩…ここが踏ん張りどころです。」
「おう。任せとけ高尾ちゃん。」
グーを差し出せばコツンと同じようにグーで返してくれた。
いい笑顔。
流石龍先輩。
「ところで影山くんよ…さっきのツーはアレは何だね?」
「すんませんした!あせりました!!」
「…自覚があんならいいや」
「コーチ…まぁツー自体がダメなんじゃなくて攻撃のバリエーションの多さを向こうに意識させるのも有効だけどツーは読まれたらほぼ止められるからリスクがでかいの。これはわかるよね?」
「うす。」
「使い所は慎重に。相手を引っ掛け嘲笑ういいね?」
「うす。」
「た、高尾ちゃんから嘲笑う…」
「…美少女から見下される…」
「「ちょっといい…」」
「はいはい。そこのお二人さんは変なこと考えない。あと飛雄。何と戦ってんのか忘れないで。敵は及川さん個人ではなく青葉城西よ。そんで戦ってるのは飛雄だけじゃなくて烏野みんなよ。」
「うす。」
「ったく本当に分かってんの?このーっ」
「ぷっ王様もトレーナーには素直なんだね。」
「うるへーっ」
やけに素直に頷く飛雄をからかうように手を伸ばしほっぺたをつまんで引っ張ってやる。
身長差のせいでちょっと屈まれてムカつくけど…。
ありゃ意外と柔らかい。
フニフニと遊んでいても大人しくしてるので最後は頭を少し撫で送り出してやった。
つまんでた頬が少し赤いけどま、いっか。
「あの伊達工を翻弄した烏野だからねー。まぁあの速攻捕まえる糸口はちょっとだけ待ってよ。多分もうすぐだから。」
なーんか嫌な予感するんだよね。
及川さんが靴紐を結び終わり試合再開。
龍先輩のサーブ。
リベロの渡先輩が回り込んで拾う。
「田中ナイッサー」
「ッサー」
「渡!」
「はい!」
「ナイスレシーブ!」
攻撃には金田一くんが飛んだ。
Aクイックだ。
翔陽がブロックに飛ぶが金田一くんは翔陽のブロックの更にその上から打ってきた。
「なぁ和樹。今の前よりも高くなかった?」
「うん。約ボール1つ分高いね。昨日の試合の映像でもそうだったから多分あの高さが金田一くんの最高打点だと思う。それにクイックだけど少しゆっくり…かも。タイミング的に見て確認してから打ってる感じがする。」
「やっぱり?」
「ん。ジャンプ力が上がったってよりは元々の潜在能力と体の使い方が変わったんだと思う。」
「そっか。短期間ですぐ伸びるわけないから気のせいかと思ったけど和樹がそう言うなら間違いないな…。」
2-4
岩ちゃん先輩のサーブは大地先輩が拾ったけど明らかに後衛セッターが動く、人が交差する地点に確実に打ってきてる。
威力重視のジャンプサーバー以外はコントロール重視で嫌なところを確実に狙ってきてやがる。
「すまんカバー!」
「はい!」
「くれっ!!」
翔陽に金田一くんがブロックに飛び旭先輩に国見くんが付いたが一枚ブロックじゃうちのエースは止められない。
腕に当たったけど直角に国見くんの足元に落ちた。
「しゃあ!!!」
「旭ー」
「旭さーん」
「旭先輩ー」
「「「ナイスキー!!!」」」
あ、及川さんが笑った。
ぞわりと悪寒が走ったと思えば向こうがタイムアウト取った。
あぁこのタイミングでのタイムアウトなら…たぶん
「バレたっぽい。」
「…もしかして…」
「はえーな。くそっ…」
「もう気づかれた?」
「気付かれてもこのタイミングで分かりやすくタイムアウト取るなら…揺さぶられてんのは飛雄お前だよ。だから焦るな。焦ったら及川さんの思う壺。」
「うす。」
「おおーい!深刻なツラしてらしくねーな!」
「いやノヤッさんこいつは大体いつもこんな顔だ。牛乳か飲むヨーグルトで迷ってる時も同じ顔だぞ!」
「そっちっそんなことないですよ!!」
「例え合図がバレたって日向の1番の武器は囮なんだしお前のセットアップなら青城のブロックだってチョイチョーイだぜ!!なぁ日向よ!」
「あっス!!」
「あ、あざす!」
「龍先輩…次及川さんにサーブで狙われるのたぶん龍先輩だと思う。気を付けて。たぶん龍先輩のメンタル折りにくるよあの人相当だから。」
「まぢかよ…」
タイムアウト終了。
「にしても、ノヤッさんよく初っ端とったな。」
「俺中坊ん時あのサーブとったことあるし、高尾ちゃんからあらかじめ来るぞって教えてもらってたからな。」
「アレか北側第一に居たつーすげーサーブのやつか」
「おう。…確かにはいればすごいサーブだったけど結構ミスも多いしあんなコントロールもなかったからな。相当練習したんだと思う。」
「…。」
「1人サーブがすごい奴がいるとかセッターが万能とかそれだけでずっと4強に居られるとはおもわねぇ気張るぜ」
「おう。」
翔陽のサーブは拾われてアタッカーはマッキー先輩。
うちのブロッカーは他の囮に振られ大地先輩が飛びついたが間に合わず、翔陽は正面だったのにレシーブミスでボールは後方に飛んでった。
「ミスっても下向かない!!」
「ハ!フィ!」
金田一くんがサーブで渡先輩がアウト。
まっつん先輩が前衛に戻って来る。
金田一くんがサーブで狙ってきたのはやっぱり後方セッターと後衛レシーバーがクロスするところ。
また飛雄をスクリーンがわりに使いやがる。
レシーバーの旭先輩が取りこぼした。
二度目も同じ。
あれは取りづらいけど飛雄に取らせるわけにはいかない。
「威力はさほどすごくなさそうなのになぜ取れないのでしょうか?」
「それは飛雄をスクリーンがわりにしてるからですよ。簡単に説明するとセッターが後衛にいるときはサーブが打たれる瞬間までは前衛の選手よりも前に出ちゃいけないと言うルールがあります。だから相手が打つと同時にネット側まで素早く移動しなきゃいけないんです。そう言う人の交差する場所はレシーブに入るのが難しいので一瞬遅れたりミスしやすいです。」
「なるほど。」
「スクリーンっておま、これバスケじゃねーぞ?」
「つい。すんません。」
「いえいえ。分かりやすかったのでつまり影山くんが遮蔽物になって見づらいって事ですよね?」
「そう言う事です。」
「でも来る場所さえわかれば取れないサーブじゃない。」
3回目にして旭先輩がようやく上げた。
コートでは蛍が囮で大地先輩がサイトラインギリのストレートを決めた。
「さっき澤村くんのレシーブが乱れたのも?」
「そうだな。」
4-8
「あっここで及川くん前衛ですか。またツーアタックにも気を付けないと」
向こうは三年生が前衛に揃うターン。
飛雄へのプレッシャーは相当だろう…。
もう4点差。
こっちは翔陽なしで前衛は2枚。
早くローテ回さないとちょっとばかりキツイ。
「オーライ!」
「ナイスレシーブ」
大地先輩が拾い飛雄のセットアップから蛍が助走に入るが、飛雄が選択したのはモーションモロバレのツーアタック。
さすがに相手も分かっているので及川さんがブロックで叩き落とした。
「スミマセン!!!」
「ドンマイ!ゆっくり行こうゆっくり!」
「焦ってる時のツー程止めやすいものはないよねぇ」
んー。
及川さんの言う通りだ。
普段は落ち着いて出来てることがプレッシャーと焦りとサインがバレたこともあるだろう…それが思いっきり出てる。
5-9
その後も蛍がフェイントで決めるが元々蛍と飛雄の仲は良くないせいか会話もない。
少しはコミュニケーション取らないと連携もクソもあったものじゃない。
マッキー先輩がスパイクを決めて5-10
5点差だ。
なんとか食らいついていかないと離される。
「ソアァァ!!!ハイヤーッ」
相変わらず龍先輩はブロックにぶつかりながらもパワーで押し込みスパイクを決め元気だけど…。
ここでようやくローテションが回って翔陽が前衛に戻ってきた。
戻ってきて早々飛び出していく翔陽。
「トスくれー」
青城のブロッカーはすぐに飛びつかずにトスを見てから飛んできた。
ありゃ、早速だけどこれは完全にバレてんね。
分かった上での対応してきてる。
「ふんぬ」
ぺちんと情けない音になったが空中で金田一くんの手を避けることでなんとか捕まらずに済んだ。
次のサーブは飛雄。
今度こそ入れてよ?
「影山くんリラックスですよーっ」
サーフトスちょっと前に出すぎだ。
飛雄はなんとか軟打に切り替えることでうまいこと向こうに…向こうはジャンプサーブに備えて深めに構えて居たせいで前の守備がガラ空きだ。
それでもフライングで飛び込んでマッキー先輩が拾い岩ちゃん先輩がフォローした。
「乱した!!」
「怪我の功名!!」
「チャンスボール!!」
「及川ラスト!!」
「そう簡単にはっ」
及川さんは明らかに飛雄を狙いやがった。
オーバーハンドで飛雄がファーストタッチ。
これではこっちはトスを上げられないっ。
くっそやられた。
「影山くんがファーストタッチ…!」
「レフトー」
「田中頼む!」
「レフト来るぞ三枚付け!!」
「トスを上げられないっ」
一見地味なことも得点に繋ぎとっさにピンチをチャンスに変える。
それが本番でできると言う強さ。
試合の慣れ方が違う…!!!
それがうちと向こうとの差。
三枚ブロックに阻まれ龍先輩のスパイクは決まらなかった。
「クッソォォ!!」
「ドンマイ!ドンマイ!」
「も一本!!」
「あっ!」
ここでまた…及川さんのサーブが回ってきた。
多分及川さんならいつも威勢のいいムードメーカーを潰しにくる。
うちの勢いを抑えるなら1番調子に乗らせちゃいけない人…。
私の予測通り及川さんの強烈なジャンプサーブはドライブのせいでカーブしながら龍先輩に向かっていく。
正面で捉えられなかったボールは腕にあたり後方に弾き飛んだ。
「ドンマイ次一本!!」
サーブレシーブの連続ミスは相当な精神的圧迫になる。
多分先ずは一番元気で騒がしい龍先輩を静かにさせてから順に及川さんはうちのアタッカーを潰す気だ。
レフト2人が潰されたらいくら優秀な囮がいても意味がなくなる、そうしてうちの攻撃力を削ぐつもりなのだろう…。
速攻でコーチの判断のもとタイムアウトを取った。
点差のこともあるし早く流れを断ち切らないといけないから正しい判断だ。
「上で良い!セッターに帰らなくとも上げさえすればどうとでもカバーできる!」
「うっす!!」
「龍先輩…ここが踏ん張りどころです。」
「おう。任せとけ高尾ちゃん。」
グーを差し出せばコツンと同じようにグーで返してくれた。
いい笑顔。
流石龍先輩。
「ところで影山くんよ…さっきのツーはアレは何だね?」
「すんませんした!あせりました!!」
「…自覚があんならいいや」
「コーチ…まぁツー自体がダメなんじゃなくて攻撃のバリエーションの多さを向こうに意識させるのも有効だけどツーは読まれたらほぼ止められるからリスクがでかいの。これはわかるよね?」
「うす。」
「使い所は慎重に。相手を引っ掛け嘲笑ういいね?」
「うす。」
「た、高尾ちゃんから嘲笑う…」
「…美少女から見下される…」
「「ちょっといい…」」
「はいはい。そこのお二人さんは変なこと考えない。あと飛雄。何と戦ってんのか忘れないで。敵は及川さん個人ではなく青葉城西よ。そんで戦ってるのは飛雄だけじゃなくて烏野みんなよ。」
「うす。」
「ったく本当に分かってんの?このーっ」
「ぷっ王様もトレーナーには素直なんだね。」
「うるへーっ」
やけに素直に頷く飛雄をからかうように手を伸ばしほっぺたをつまんで引っ張ってやる。
身長差のせいでちょっと屈まれてムカつくけど…。
ありゃ意外と柔らかい。
フニフニと遊んでいても大人しくしてるので最後は頭を少し撫で送り出してやった。
つまんでた頬が少し赤いけどま、いっか。