「澤村！！」



荷物を持って廊下を出たところで常波の池尻さんが大地先輩に声をかけて来た。

この2人は同じ中学の出身だからね。




「池尻？」

「勝てよ！たくさん勝てよ！！俺たちの分も」

「あぁ！！受け取った。」



固く握手する大地先輩と池尻さん。





こんなふうにあっけなく部活を終わる人達がいる。

全国に何万人と居るんだろう。

何試合もある予選を全部勝ち抜いて全国へ行って。

これが物語だとしたら全国へ行くやつらが主役で俺たちは脇役みたいな感じだろうか…それでも俺たちもやったよ。

バレーボールやってたよ。




去って行く池尻さんの背中をじっと焼き付けるように見つめる翔陽。

ポンポンと背中を軽く押せば歩き始める。

出入り口の掲示板に貼られたトーナメント表には1回戦目のスコアが書き込まれ二回戦進出公には線が引かれていた。

手早く縮小コピーし手元に持って居るトーナメント表に全部書き込む。



「この中の約半分…55チーム中の22チームは1回戦で終わる。次も勝つ！」

「「「あス！！！」」」




第2回戦烏野高校VS伊達工業。