企画跡地
からりと晴れた空に南風が吹き抜ける。
よく晴れた青空の下、とは言ってもまだまだ冬の今日、若松は叫ばずにはいられなかった。
「な・ん・で!テメーがいるんだよッッ!?」
「………んあ?」
「『んあ?』じゃねェよ青峰ェェ!!!」
昼休み、屋上にて。
若松がハッと気づくと、共に昼食をとっていたクラスメイトはおらず視界には空の色のみ。
寝てしまったのかと思って体を動かそうとすれば左肩に重みを感じてぼやける頭を回して見る。
視界に入ったのは濃紺の、髪。
そこで完全に目が覚めた。
「あー…若松サンうっさい」
「知るか!!つーかテメー授業サボってんじゃ…」
授業。
自分で口に出して気づく。
携帯を見れば午後一の授業はとうに半分を過ぎていた。
「人のこと言えねーな」
「う……ってか離れろ!いつまでそうやってんだよ!?」
「えー」
若松の肩にもたれかかったまま青峰が面倒くさそうな顔をする。
「だってさみー…つーかさ、アンタあったけーんだもん」
「もん言うなキモい」
「寒いと人肌が恋しくなるって言うじゃねぇか」
「だったらなんでオレなんだよ!誰でもいいだろうがっ!!」
「……誰でも良くないって言ったら?」
「……………は?」
先程までの声と違って驚いて、青峰の方を見れば、その目に射抜かれそうになる。
しばらく沈黙が続くと青峰がハァ、とひとつため息を吐いて立ち上がる。若松の目の前に。
「…アンタのそーゆーとこ、嫌いじゃねぇぜ?」
ニィと楽しそうに笑った青峰にどういうことだと言おうとして、若松は静止する。
青峰によって、その動かそうとした唇が、塞がれた。
「……!!!っ、ん…!!」
何がどうなっているのか一瞬理解できなかった。
名前を呼ぼうとして、口を開いたら開いたで舌を絡め取られて、苦しくて苦しくて。
ゆっくりと離れていった青峰を見上げれば。
「……顔、真っ赤」
「~~ッ!!!」
ぱくぱくと口を動かす若松を見て青峰は機嫌が良くなったのか。
「若松サンて、口ン中までアッツイ」
「~~~ふざけんな青峰ェェェ!!!!」
「へいへい」
じゃあオレは行くから、と青峰が屋上をあとにする。扉が閉まると同時に授業終了のチャイムが鳴った。
「…………わけわかんねぇ」
いまだ熱い顔を隠すように覆いながら若松はうなだれた。
戯れてみましょうか
(青い野獣が一匹。)
END
100215
サイト一周年&六万打記念企画
初めての青若
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