企画跡地




「……おなかすいたー…」


ぐるると腹の虫が鳴く。
くっつけた机の向かいで水戸部が心配した目で小金井を見ていた。
穏やかな晴れ、まさに練習日和。


「…早弁しなきゃよかった…」


うっうっと泣きながら机に突っ伏す小金井。
早弁はいつものことだ。朝練もあるし当然腹は減る。
しかし、今日はあろうことか財布ごと忘れて来てしまって、食料調達ができない。
さてはて、食べ盛りの男子高生がこれから部活終了まで何も口にせず無事に家まで辿り着けるか…?

答えは言わずもがな、ノー。

それを見越した水戸部は、自分の弁当にあった卵焼きをひとつつまんで小金井の口元に運んだ。


「…っみとべ…!いいの?」


小金井はガバッと跳ね起きてキラキラと目を輝かせる。
水戸部はふわりと微笑んで頷いた。そしてつまんだ卵焼きを差し出す。


「あ~…、みとべん家の卵焼きすっげー美味いよな…」


ニカッと小金井が笑うと水戸部が照れたように笑った。


「水戸部作ってんだ!?そういえば前言ってたもんな~」

「……」

「なあなあ、また水戸部ん家行っていいか?」


無邪気に笑う小金井の頭を撫でながら、いいよと目で言った水戸部はまたおかずをつまんで小金井にやる。


「サンキュー水戸部っ!」


これで周りには『仲が良い』で通ってしまっている事実は…はたしてそれでいいのか否か。
一部始終を見てしまった日向は餌付けか!!と突っ込まずにはいられなかったとかなんとか。





今日も2-Dは平和です。





flighty time






END

100215
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