他校詰め込み




「笠松せんぱーいっ」

「んだよ暑苦しいな!抱き着くなっ!」

「ちょっ…いつにもまして先輩ひどいっス!!」


いつものテンションで黄瀬に抱き着かれそうになるのを押し返す。
学校なんだからやめろって言ったって聞きやしない。
そして、最後の最後に結局負けてしまう自分に嫌になる。

いや、ちゃんと黄瀬のことはすき…だ、うん。
でもモデルなんかやっている黄瀬は当然女子にもきゃーきゃー騒がれる訳であって、バスケだってキセキの世代とか言われてた一人だからどっちにしろ目立つ存在なんだけど。
てか、学校では部活以外、極力一緒にいたくない。
自然と目で追うのは当たり前、あれ、……うん。仕方ないだろ!嫌でも目に入ってくんだよ!!
…で、まぁそこはいいんだけど、なんつーか女子に囲まれてる奴なんか見ると妙に不安になる。
わかってる、黄瀬はファンも大事にしてるってことくらい。基本優しい奴だけど。
……けど。要するにアレだろ、オレはそんなファンにまで嫉妬、してんだろう。うわ、冷静に考えたらオレすげぇ恥ずかしくないか。

でもさ、黄瀬は全部、わかってんの。オレがこんなこと考えてんの全部、お見通しなんだぜ?何なんだ黄瀬のくせに!
そういうときは何があっても一緒に帰るって言ってくるし、決まって「大丈夫、オレは今笠松先輩以外見えてないっスよ」なんてどこで覚えてきたんだかそんな台詞まで囁いて。
狡い、非常に狡いと思う。でもそんな台詞にほだされるオレも相当ダメだと思う。耐えられず真っ赤になって「先輩本当可愛い、愛してるっス」なんて言われて泣きそうになって。
馬鹿じゃないのオレ。
黄瀬も黄瀬だ、どうせ黒子、とかにもそんなこと言ったことあるだろ、絶対そうだ、あんなにベタボレだったんだから。
だからかとは断言できないけど、……不安なんだよなぁ。


なぁ黄瀬、愛してるってなに?オレはよくわかんねーよ。
すきとは違う。そう思うけど、説明はできない。


そう言ったら黄瀬に笑われた。
なんでだ。




「オレ、笠松先輩の"愛"の対象になれるよう頑張るっスよ!!」

「…?おう」




よくわからなかった。




END




090510/香夜
091217/黄笠のみで表記
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