火黒(2009/02/19~2010/11/21分)
火神君は、キスが好きだと思います。
隙あらばどこでも、と言う訳ではありませんけど。
……
…結構そうかもしれません。
「黒子、」
「は、い…」
二人きりなら当然のごとく。
火神君のくちびるは、あついんです。でも、優しくて。
「…んっ」
最近は、よく深いのもします。
火神君の舌は、くちびるよりずっとあついです。でも、ボクはうれしくて。
時々、ボクからも差し出せば火神君は一瞬驚いたような反応をしますが、でもすぐ受け入れてくれます。
「ぁ……、」
ようやく最近、火神君のキスに慣れてきたと思っていたのに、ボクの息はもちません。
はあ、と一回離れて酸素を求めますがすぐに火神君にまたくっつけられてしまいます。
あけた口から零れるのはもうどちらのものなのか。
ところで何故ボクばっかり零してるんでしょう。疑問です。
「くろこ、」
「んん…っ、は、」
名前を呼ばれて少しだけ瞼を持ち上げれば、あかい瞳にボクが映っていて恥ずかしくなりました。
でも逸らすことができません。真っ直ぐな目がボクを呼んでいる、そんな錯覚に陥ります。
すきです、すきです
だいすきです、
火神君がすきです、
幸せで泣きそうです。
どれだけのことを自分が伝えられたのかわからないけれど、一瞬離れたくちびるが、『オレも、』って動いた気がすると、自惚れてもいいですか?
「かが、み、くん」
「ん…」
整わない息でうまく喋れなかったので、火神君の首に腕を回してボクから重なります。
…重ねるだけしかできませんけれど。
そしてもう一度目で訴えましょう。
火神君がすきです、と。
「あー……そういうのってさ…反則だよな……」
くしゃりと笑った火神君はそう言って、ボクを今一度抱きしめてくれました。
火神君は、キスが好きだと思います。
でもそれは、ボクも同じみたいですね。
そうして今日も君に恋をする
(精一杯の想いをこめて。)
END
090705/香夜