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短編
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※暴力表現あり
「ハァ…ハァ…」
夜の路地裏を駆ける人影があった。
公安に所属する丸山は、とある潜入捜査で自身の体格を隠すため、下半身の丸みを見せないジーパンに丈の合わないパーカーを身に纏っていた。
フードを深く被りマスクもしていたので、彼女の知り合いでも彼女だと気づかない程度の変装だった。
だとしても、
「どうする?もう逃げられないぞ」
恋人には気づいて欲しかった、のかもしれない。
袋小路に追いやられた丸山は、これからの行動を思案していた。
目の前の恋人も自分も、お互い今は潜入捜査中の身。もしここで本当の身分を明かせば近くにいるかもしれない彼の仲間や自身の仲間にお互いの素性がばれてしまうかもしれない。
なんとかして穏便にこの場を乗り切れる方法を見つけたい。
自分の脚力に自信があるかと言われればないと答えるが、ここは運に賭けるしかなかった。
丸山は目の前の男に向かって力強く地面を蹴った。
対するスコッチはその行動の色んな選択肢を頭に浮かべながら、どの選択肢を取られてもいいように姿勢を低くした。
「っ!」
その行動を読んだのか、彼女は彼の肩に手をつき大きく足を振り上げた。
そしてスコッチの後ろへ軽やかに着地した後、自分の来た道を戻るように駆けた。
「っガッ」
しかし丸山の首の後ろに重い一撃が入った。
スコッチは彼女が着地するのと同時に身体を後ろへ大きく捻り、後ろ回し蹴りを繰り出したのだ。
死角からの攻撃に倒れ込んだ丸山は、呼吸器官をやられたのか苦しく咳き込む。
その苦しさからか薄らと涙が滲んでいた。
「さて、鬼ごっこもおしまいだ。大人しく着いてきてもらおう…か……」
そんな丸山の前にどっかりとしゃがんだスコッチは、彼女のマスクとフードを剥ぎ取ると、その大きな猫目をさらに大きくして固まった。
「そんな…どうして君が…ここに……」
「ヒューッ…たまたま通りがかった…だけ…ゲホ」
できるだけいつもの調子を出さないように気をつけるのが難しかった。
スコッチは自分のやった行いを振り返って、顔を青ざめながら彼女を抱き抱えた。
「ごめん、本当にごめん。最低だオレ、君に向かってあんなこと」
「落ち着いて…今はお互いこうするしかなかったから」
「だとしても、……後でしっかり謝らせて」
丸山の言葉にハッと我に返った景光は、彼女の呼吸が戻るのを感じるとそっと自分と距離を置いた。
「この会話がこっちの誰かに聞かれてるってことはないから、安心して…」
「うん、早く戻りな」
「……大丈夫?」
「私は大丈夫、そんな柔じゃないし」
「…わかった」
まだ何か言いたげな景光を仲間の元へ返した丸山は、その後ゆっくりと立ち上がった後、自身の仲間の元へ帰るのだった。
「ハァ…ハァ…」
夜の路地裏を駆ける人影があった。
公安に所属する丸山は、とある潜入捜査で自身の体格を隠すため、下半身の丸みを見せないジーパンに丈の合わないパーカーを身に纏っていた。
フードを深く被りマスクもしていたので、彼女の知り合いでも彼女だと気づかない程度の変装だった。
だとしても、
「どうする?もう逃げられないぞ」
恋人には気づいて欲しかった、のかもしれない。
袋小路に追いやられた丸山は、これからの行動を思案していた。
目の前の恋人も自分も、お互い今は潜入捜査中の身。もしここで本当の身分を明かせば近くにいるかもしれない彼の仲間や自身の仲間にお互いの素性がばれてしまうかもしれない。
なんとかして穏便にこの場を乗り切れる方法を見つけたい。
自分の脚力に自信があるかと言われればないと答えるが、ここは運に賭けるしかなかった。
丸山は目の前の男に向かって力強く地面を蹴った。
対するスコッチはその行動の色んな選択肢を頭に浮かべながら、どの選択肢を取られてもいいように姿勢を低くした。
「っ!」
その行動を読んだのか、彼女は彼の肩に手をつき大きく足を振り上げた。
そしてスコッチの後ろへ軽やかに着地した後、自分の来た道を戻るように駆けた。
「っガッ」
しかし丸山の首の後ろに重い一撃が入った。
スコッチは彼女が着地するのと同時に身体を後ろへ大きく捻り、後ろ回し蹴りを繰り出したのだ。
死角からの攻撃に倒れ込んだ丸山は、呼吸器官をやられたのか苦しく咳き込む。
その苦しさからか薄らと涙が滲んでいた。
「さて、鬼ごっこもおしまいだ。大人しく着いてきてもらおう…か……」
そんな丸山の前にどっかりとしゃがんだスコッチは、彼女のマスクとフードを剥ぎ取ると、その大きな猫目をさらに大きくして固まった。
「そんな…どうして君が…ここに……」
「ヒューッ…たまたま通りがかった…だけ…ゲホ」
できるだけいつもの調子を出さないように気をつけるのが難しかった。
スコッチは自分のやった行いを振り返って、顔を青ざめながら彼女を抱き抱えた。
「ごめん、本当にごめん。最低だオレ、君に向かってあんなこと」
「落ち着いて…今はお互いこうするしかなかったから」
「だとしても、……後でしっかり謝らせて」
丸山の言葉にハッと我に返った景光は、彼女の呼吸が戻るのを感じるとそっと自分と距離を置いた。
「この会話がこっちの誰かに聞かれてるってことはないから、安心して…」
「うん、早く戻りな」
「……大丈夫?」
「私は大丈夫、そんな柔じゃないし」
「…わかった」
まだ何か言いたげな景光を仲間の元へ返した丸山は、その後ゆっくりと立ち上がった後、自身の仲間の元へ帰るのだった。
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