2017.10.22 広島での出来事
「はぁ、はぁ…」
互いに肩で息をする。
久しぶりの快感を受けた俺はうつ伏せになってベッドへ身体を預けた。その上からタクロウがそっと覆いかぶさる。
「やっぱテッコは最高だな…気持ち良かった」
「俺も…」
耳元で囁かれると、幸せな気持ちで満たされるようだった。
「今夜、俺の部屋に泊まってく?」
タクロウからの思いがけない誘い。
了承したいけど、タクロウは俺が誘ったから抱いてくれただけで、俺を愛してくれているのか分からないし、自分の気持ちも良く分からなかったから、一人になって頭を整理したかった。
「ううん、明日の朝早いし、俺が部屋に居なかったらスタッフが慌てると思うから、帰るね!」
「そっか」
「んんっ…」
タクロウは後ろから俺をギュッと抱き締めて、もう一度キスをしてくれた。
「あぁんっ」
口唇を離し、タクロウは俺から自身を引き抜いた。
側にあったティッシュで拭いている間に、俺は乱れた服を整えてズボンと下着を履く。
「じゃ…おやすみ、タクロウ…」
「おやすみ」
俺はタクロウの部屋を出て、自分の部屋に向かった。
タクロウの部屋に泊まれば良かったと後悔する事になるのも知らずに…。
足腰の軽い痛みを感じながら、俺は自分の部屋のロックを解除してドアを開けた。
「あ、れ…?」
すると、すでに部屋にはうっすらと灯りが点いているようだった。
不審に思い、そーっと部屋の奥に進もうとすると、いきなり細い指に手首を引っ張られた。
「やっ!?」
そして強引に壁に背中を押し付けられた。
「や、やめろっ!」
突然の出来事に、手をジタバタさせてみるが、強い力で両手を壁に固定されていて身動きが取れない。
「遅かったじゃん」
「っ!?」
「タクロウとナニしてたの?」
聞き慣れた声の方を見上げると、不敵な笑みを浮かべる彼と視線が合った。
「ヒサシ…」