夜伽

その日の帰りの車の中で、ヒサシはいつになく無口だった

疑問に思ったテルが口を開こうとした時、

「今日、休憩室でタクロウと二人きりだっただろ」

赤信号で車は止まり、突然ヒサシが冷たい声で言った


「二人だったけど、ちょっと話してただけだよ!」

「あいつがお前の顔に触れてた」

「あれは… んんっ!!」

弁解しようとしたテルの口を強引に自分の口唇で塞ぐヒサシ
自分が付けたテルの顔の傷に片手で爪を立てる

車外の視線も気にせず、口内を犯したヒサシは口唇を離してテルの目を見た


「あいつはお前の事を欲しそうな目で見てる」

「そんな… ぅっ!」

ギリギリと傷に立てる爪に尚も力を込める
細い血液がテルの頬を伝う


「あいつとは二人きりになるな、誰にもお前の体には触れさせない」

「分かった、からぁっ…痛いよっ!」


ようやくテルの顔からヒサシは爪を離す
そして頬を伝う血液をねっとりと舐め取った

「お前が隙を見せるのが悪いんだよ」


信号が青に変わり、再び車は走り出した



「帰ったらお仕置きだな」

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