夜伽


―たくろ…?

「…はい」

『ヒサシ、今テルと一緒に居るのか?テルは大丈夫なのか?』


タクロウが、俺のこと心配してくれてる…?


「…タクロウには関係ないだろ」

『関係ないことないだろ!仲間なんだから!』


タクロウが声を荒げているのが分かる

そんなに俺を心配してくれるの…?


「大丈夫だよ、仕事には支障がないようにするから」

『そういう問題じゃない!』

「・・・テルは俺のものだ、お前のものじゃねぇんだよ」

『なっ!ヒサシお前…』

タクロウが言い終わらないうちに通話は途切れた

恋人は苛立った表情でスマホを離すと、冷たい視線を俺に寄越す
タクロウの声を聞いて、どこか安心してしまった俺の心がまた冷たくなっていく気がした



「お前は愛されてるんだねぇ、タクロウから心配されて嬉しかった?」

「えっ…?

あぁぁぁぁっ!!」


11/12ページ
スキ