君に微笑む
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爆発してしまうのではないかというくらいに
真っ赤な顔をして、
真っ直ぐに此方を見詰めてくる名無しの瞳には涙が溜まっていた
思いがけない発言に呆けていれば
ついに涙が零れ、頬を伝う
途端に我に帰った
「な、何を言い出すんだネ!?」
『明日はマユリさんのお誕生日だと、阿近三席から伺いました!
しかし、贈り物が思い付かず…
いっそ、私のことを思いのままにしていただこうかと思い立った限りです!』
「ア、アァ……」
この娘は実に優秀で勤勉だが、
突拍子もない事を思い立つことが多いため度肝を抜かれることが屡々ある
そうか、明日は私の…
なるほど
言われてみると今の名無しは普段と違い小綺麗な格好をしており、
湯浴みも済ませている様子だった
自らの生誕日など興味が無く、
すっかり忘れ去っていたのだが
このような形で思い出されるとは…
状況の整理が出来ず暫し無言になっていると
名無しは再び俯き、膝の上でぐっと拳を握った
『やはり…ご迷惑ですよね…
私のような未熟者がマユリさんと添い寝だなんて…
出直して参ります、失礼致しました…』
「待ち給えヨ」
自分を卑下するのも悪い癖だネ
頭を低く下げ部屋から出ていこうとする名無しの腕を掴み、抱き寄せた
思わぬ引力によりバランスを失ったのだろう
私の胸の中へ倒れ込むように収まる
驚いた顔で
じたばたと無駄な抵抗をする名無しが可愛らしい
『マユリさん!?な、何を…離してください!』
「オヤ?君を私の思いのままにして良いのだろう?
まずは申し出通り、添い寝をしようじゃあないか
…それに」
柔らかい頬を優しく撫でれば
その熱がじわりと伝わってくる
名無しの顎を少し持ち上げ、目線を合わせると
慈しむように唇を重ねた
小さく震える細い肩を抱いて、
落とさぬようそっと敷布の上に横たわる
「こんなにも綺麗にされた君を目の前に
祝いの言葉も貰わず帰すとでも思うのかネ…?」
『あっ…』
額に、頬に、瞼に、鼻に、容赦なく落とされる口付けに戸惑い恥ずかしがりながらも
名無しは潤んだ瞳に私を映す
『お、お誕生日おめでとうございます…』
「アァ、有り難う」
君に何を贈られようと、関係無い
純粋に私を慕う君が至極可愛らしくて
この手のひらで包んだ、華奢で小さな手を
大切だと思わせてくれた君が
本当に愛しいのだ
end
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