君に微笑む
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「…こんな夜更けに何用かネ?」
『えっと…あの…』
寒の戻りにより、
厚着をしていてもすっと足下が冷える
春らしい時季
私の優秀な部下の一人であり、
そして密かな恋愛関係を築いている相手である名無しが亥の刻遅く
珍しく自室の床で休養を得ようとしていた私の元を突然訪ねてきた
が、敷布の上で足組む私の前で正座をしたまま
名無しはそわそわと落ち着きのない様子で
怪訝に思い顔を覗き込めば、頬を赤らめ視線を逸らす
…一体何がしたいのだ…
付き合いを始めてそう幾らも経っていない為か
未だに名無しとの意思疎通が困難な事が多い
元々は上司と部下の関係、その概念を捨てきれずにいるのだろうが…
それによって生じる私に対する遠慮は不要だとこの間よく言い聞かせたはず…
どうやら再度説得する必要があるらしい
名無しの手に触れれば、びくりと怯えたように震える
「名無し…先日も言ったが、私に遠慮は不要だヨ
君は私の優秀で忠実な部下だが、この屋内に於いてそれは無関係になる…わかるかネ?
言いたいことがあるなら言い給え…ホラ」
『っ…』
隊舎や局内では決して発しない声色に我ながらむず痒さを感じたが、
その甲斐あってか名無しが不安げな瞳を此方に向ける
本当に愛い奴だ
一目見て、今まで私の心中に無い感情を抱かせた対象として傍にいることを命じたが
これほどに魅了されるとは思いもしなかった…
『あの、たいちょ…じゃなくて…ま、マユリさん…私』
普段隊長の方が呼び慣れている為か
私の名を呼ぶ度に一々赤面する
抱き寄せたくなるが、ぐっと堪える
「何だネ?」
『あの、あと少しで日付が変わります』
「アァ、そのようだネ」
『あの…その…マユリさん…ご迷惑でなければ…
わ、私と…私と…』
「ウン?」
『そ、そそそそそ添い寝していただけないでしょうか!?』
…この空間が再び沈黙に包まれる
.
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