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『涅隊長…隊長は誤解をなさっています
私は自らの腕を隊長や涅副隊長のように改造をしようと試みただけで
決して自殺などではありません…どうか御心配無く』
「自らの腕を、だと…!?
ふざけるんじゃあないヨ!無名!!」
『…申し訳御座いません…』
涅隊長の勘違いを訂正しようと経緯を簡潔に説明するが
涅隊長の怒りは収まる処か増しているようにも思える
何故、
涅隊長はこんなにも怒ってらっしゃるのか
私は涅隊長の喜ぶお顔が見たくて
涅隊長に褒めてもらいたくて
この身を捧げているというのに…
… 解らない
『何故、なのですか…?』
自分の誠意を否定され
心臓が何かに締め付けられるかのような感覚に堪えながら
私は涅隊長を見つめる
真っ直ぐに向けた視線の先には
涅隊長の金色の瞳が私を映し出していて
しかしそれは途端に
呆れたように伏せられ、涅隊長は落ち着かぬ様子で自分の片頬を掻いていた
「お前は…今のままでいいのだヨ」
『それは、私が嫌なのです
私は涅隊長のお役に立ちたい、涅隊長の為にこの身を捧げたいのです!
だから…』
「…無名」
偽り無き心中の思い
今まで阿近三席を含め何人かの人には打ち明けたことがあるが
涅隊長にお伝えするのは初めてだった
それならばこの胸の内を
真実だと受け入れて頂きたくて
だから、私を使って下さい と
続けようとした
その言葉は
涅隊長の抱擁によって遮られた
「私が、今のままのお前が好きだと
そう言ってもかネ…?」
『え…』
「力も、武器も必要無い
私が欲しているのは無名
お前という存在なのだヨ…」
私は今
凄く間抜けな顔をしているだろう
しかし呆然とする私に構わず
涅隊長は私の頬を
その真っ白な両手で包み込むと
鼻が触れ合う程に 顔を近付けてきた
… 私は純粋過ぎたのだろうか
忠誠まで行き着かず
涅隊長を初めて瞳に映した時の
ただひたすらに慕う
あの気持ちのままだったら
私はもっと早くに
涅隊長の想う存在になれていたのだろうか…
重なり合った温もりを静かに受け止め、
私もそれに応えれば
白黒の世界に 一滴
色鮮やかなインクが 溢れ落ちた
end
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