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瀞霊廷へ旅禍が侵入したあの日
私は率先して涅隊長の作戦への参加を名乗り出た
隊舎まで誘導するという
比較的容易な役割だとしても、私は涅隊長のお役に立ちたくて
懸命に申し出たのだが、
涅隊長は私を使って下さらず
後に選抜された隊士達が肉爆弾となり、
命尽きたと知らされた時
私は酷く落胆した
それは涅隊長の行いが余りにも非道だったからではない
涅隊長が私を使って旅禍を殺して下さらなかった
即ち、
私にそれ相応の力が無いということに
深く絶望した
第十席という地位にも関わらず
戦闘能力の低い私が前線へ立てないのは当然のことなのだが
その無力さ故に、
涅隊長は深傷を負ってしまったのだ
私が 無力だから…
『私に、力さえあれば…』
ステンレスの容器に並べたメスやピンセットが灯りを反射し、眩しく輝く
壁に沿って立ち並ぶ薬品の中には
一滴で死に至る劇薬から、一生立ち上がることが出来なくなる麻痺薬まであり
全て、阿近三席に無理を言って揃えた代物だった
弱い私が得意とする科学実験、特に人体改造は
入隊当時涅隊長が唯一褒めて下さった
私の誇る技術
今まで何人もの隊士達の要望に応えたり(時には涅隊長の指示で秘密に改造したり)と
この能力を発揮してきたのだが
涅隊長のように
自身の肉体を改造したことは一度も無かった
… 力さえあれば
私は喜んで涅隊長の棄て駒として務め
涅隊長に満足して頂ける
力が 無いのなら
作ってしまえばいい
『っ…』
私は部分麻酔を施した後
容器からメスを取り出すと、その刃先を自らの左腕に突き立てた
まだ麻酔がしっかり効いていなかったのか、鈍痛に思わず顔を顰める
涅副隊長のように腕がドリルになる仕組みも考えたが
仕込み刀というのも捨て難い
いっそ両方両腕に取り付けてしまおうかと
そう考えながら
私は滴る血液を見つめる
.