アズカバンの囚人
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脱獄囚のシリウス・ブラック、闇の帝王の最も忠実なしもべ。──その男が、「生き残った男の子」に恨みを持っていたとして、何の不思議があるだろうか?大臣は、ハリーがシリウス・ブラックに狙われていると考えているのか?
ナマエが考えていると、ふと背後で鳥が羽ばたくような音がした。振り返ると、真っ白なふくろうが窓に佇んでいた。
「ヘドウィグ!」
ナマエが叫ぶと、ヘドウィグはナマエの腕にパタパタと舞い降りた。
「ご主人に会いにきたのか?本当に賢いなあ、おまえ」
ナマエが撫でると、ヘドウィグは満足げに目を閉じた。そのとき、ファッジが再び奥のドアから姿を現した。
慌ただしげに出口に向かい、扉の前で立ち止まった。ナマエの存在を思い出したように振り返った。
「──ああ、ナマエ。私は失礼するよ。トムが部屋に案内してくれるだろう。ハリーと仲良くしたまえ。では、また」
早口でそれだけ言うと、ナマエが口を挟む隙を与えず、ファッジはそのままパブを出て行った。
今度はトムがにこにこしながら近寄ってきた。
「どうぞこちらへ。ポッター様は先にお部屋にいらっしゃいますよ」
そう言ってトムはナマエの荷物を浮かせて運んだ。ナマエはトムのあとについてしゃれた木の階段を上り、「11」と書いた真鍮の表示のある部屋の前に来た。トムが扉をノックすると、部屋からハリーが出てきた。
「ナマエ、──ヘドウィグ!」
ハリーは驚いた。
雪のようなふくろうが嘴をカチカチ鳴らし、ナマエからハリーの腕にハタハタと飛び移った。
「ヘドウィグはさっき着いたんだ。──トム、自分でやるよ、ありがとう」
ナマエはトムから自分のトランクを受け取ると、トムは一礼して階段を降りて行った。
部屋には寝心地のよさそうなベッドが二台と、磨き上げた樫材の家具が置かれていた。
ナマエはトランクをベッドの脇に置いて、片方のベッドに沈み込んだ。どっと疲労が押し寄せ、目を閉じて大きく息をついた。
「……ハリー、大臣と何の話をしてたんだ?」
ナマエは目を閉じたまま問いかけたが、返事はなかった。重い瞼を上げ、ハリーのいる方を見ると、メガネもはずさずに枕にコトンと倒れて眠りこんでいた。
ヘドウィグはベッドの柱にとまって「ホー」と鳴いた。
ナマエは立ち上がってハリーのベッドに近寄った。すうすうと寝息を立てるハリーから、メガネをそっと外してサイドテーブルに置き、まじまじとその顔を観察した。──額に稲妻型の傷がある。ハリーが有名な理由、例のあの人から受けた傷だ。ナマエはなんとなく、その傷を人差し指でそっとなぞった。
「──いっ!?」
ナマエは思わず手を引っ込めて飛びのいた。まじまじと自分の指先を見た。明らかに、ハリーの傷に触れた瞬間に、刺すような痛みが走った。
ハリーがもぞもぞと動いたので、ナマエは思わずハリーに触れた方の手を後ろに隠した。
「……うぅ……」
ハリーがぎゅっと険しい顔で呻いた。しかし、目を覚ますことはなく、再び規則正しい寝息を立て始めた。
ナマエはわけがわからず、かといってこれ以上考える気力も残っていなかった。
ナマエは自分のベッドに突っ伏して、ハリーと同じく眠気に身を任せた。
翌朝、二人は「漏れ鍋」のカウンターに並んで、トムが用意してくれた朝食を食べていた。ハリーは興味深そうに他の宿泊客を眺めていた。
ナマエはそんなハリーの横顔を見ていた。相変わらず、額に稲妻型の傷があった。
──この傷には、やはりなにか特別な魔法がかかっているんだろうか。ナマエがハリーの額を見つめていると、ハリーが振り返った。ナマエはふいっと目を逸らしてごまかすように話し出した。
「──『マグルの街へ出るな』、だなんて……せっかく、ハリーにいろいろ教えてもらおうと思ったのに」
ナマエはそう言ってトーストをかじった。
「マグルの街よりこっちの方がずっとおもしろいよ。ナマエはここに泊まったことがあるの?」
ハリーが問いかけると、ナマエの代わりにカウンターからトムが出てきて答えた。
「ええ、それはもう、こんなに小さい時から」
トムが自分の太ももあたりを手のひらで示した。
「初めていらしたときは、慌ててお父上にふくろうを飛ばしたものです」
トムがにっこり微笑み、ハリーがクスッと笑った。ナマエはハリーの皿から残っていたベーコンを取り上げて口に放った。
「もう、やめてくれよ──ごちそうさま。ハリー、部屋に戻ろう」
ナマエが席を立つとハリーもそれに倣った。
◆◆◆◆
ハリーはナマエについて階段を登って自室に戻った。ハリーが扉を閉めると、ナマエがハリーを振り返った。口元は笑みを堪えているようだった。
「なあ、ハリー。聞いて欲しいことがあるんだ。あんたにだけ話すんだぜ。あんたは命の恩人だから……」
「それ、やめてってば」
ナマエはこの言い回しが気に入っているらしかった。ハリーはふと思いついたことを口に出した。
「──ねえ、命の恩人の頼みで、宿題を代わりにやってくれる?」
「それは、あんたのためにならないからだめだ」
ナマエはぴしゃりと、ハーマイオニーが言いそうなことを言った。
「それより俺、見せたいものがあるんだ──誰にも内緒だぞ」
「何?」
ナマエはハリーに顔を近づけて、耳元で囁いた。
「──俺、動物もどき になったんだ」
「え?」
ハリーがナマエの顔を見ながらぽかんと聞き返すと、ナマエは笑って離れた。
「いつ見せてやろうかとうずうずしてたんだよ!」
突然、ハリーの頭にある考えが浮かんだ。
「ねえ、それって、君……もしかして、犬だったりする?黒くて、大きい犬」
「いいや、違う。……俺、犬っぽいのか?」
ナマエはそう言って窓を開け放った。
ナマエは自分を落ち着かせるように深呼吸してから、窓に向かって走り出した。
ナマエがたんっと窓枠に足をかけて、外に飛び出した。ハリーは「あっ」と小さく悲鳴を上げて窓に駆け寄った。ナマエは真っ逆さまに地面に落ちたかと思うと、瞬きするうちに体が小さくなり、まっすぐな球になって飛び上がった。
「鳥だ……」
黒地に白い羽を持つ小さな鳥は、そのまま大きく旋回して再びハリーのいる部屋へと舞い戻って、突然鳥になったのと同じように、また突然人間の姿に戻った。
「な!カササギだ!すごいだろ!誰かに見せたかったんだ、なあ、でも、誰にも言うなよ!」
ナマエは興奮してハリーに捲し立てた。
「すごいよ、どうやって?君、黒いスニッチみたいだった」
「はあ?このクィディッチ馬鹿」
ハリーとナマエは目を合わせて吹き出した。
「君って……鳥だから、ヘドウィグに好かれるのかな」
「いいや、違うね。ハーマイオニーが言ってたけど、俺は女の子に人気があるんだよ」
ナマエは冗談ぽく笑って、「なっ、ヘドウィグ」とヘドウィグに向かって言ったが、ヘドウィグは身じろぎもせずに無視した。
ナマエは肩をすくめて自分のベッドの上であぐらをかいた。ハリーもベッドに腰掛けた。
「な、ハリー。さっき俺に『犬じゃないのか』って聞いただろ。あれはどういう意味で?」
「いや……この間、大きな黒い犬がいて──なんだか見られてるような気がしたんだ」
「大きな黒い犬……」
ハリーの言葉を聞いて、ナマエは口元に手を当てた。
「黒い犬……それを見たのは、墓場か?」
「いいや、マグルの街で──垣根とガレージの間にいたんだ。僕を見ていたような気がする………どうして墓場かなんて聞くの?」
ナマエは杖を振って一冊の本を呼び寄せた。
「──こんな生き物か?」
ナマエは呼び寄せた本の表紙をハリーに見せた。目をぎらつかせた、クマほどもある大きな黒い犬の絵だ。気味が悪いほど見覚えがある。本のタイトルは、「死の前兆──最悪の事態が来ると知ったとき、あなたはどうするか」とあった。
「そう、そうだ!この生き物だ!これ、なに?」
「こいつは、グリムだ」
「グリムって?」
ナマエはじっとハリーを見た。ナマエがハリーを見るとき、いつもは真っ直ぐに目を見るのに、一瞬額の傷に目線が動いたような気がした。
「──グリムは……死神犬だ。墓場の亡霊犬。最も不吉なことの前兆」
「最も不吉なこと……」
「まあ、でも、ただの野犬かも」
ナマエは取り繕うように笑っていたが、ハリーはナマエの持っている本の表紙に目が釘付けになっていた。
「ナマエは見たことある?」
「ない。というか、ほとんどおとぎ話だと思うぜ」
ナマエはポイとトランクに本を投げ入れた。
「じゃあなんで、そんな本を持ってるんだい?」
「占い学を選択するか迷ってたんだ。それでいくつか予習してみた。教科書の本と、そのおっそろしい本……あと、『予知不能を予知する』とか──」
ナマエが指折り数えながら言った。
「──でも、やっぱりやめた。なんていうか、合わない。だって、バカバカしいと思わないか?紅茶のカップの底を見ると未来がわかるなんて」
「知らないよ、予習なんてするのは君とハーマイオニーくらいだ」
ハリーはとくに褒めたつもりはなかったが、ナマエはなぜか嬉しそうにふふっと笑った。
ハリーがベッドから降りて、ナマエがトランクに放った本に手を伸ばすと、ナマエが忠告した。
「──読まないほうがいいぞ。死ぬほど怖いし、俺は夜中にトイレの付き添いなんかしないからな」
ナマエが考えていると、ふと背後で鳥が羽ばたくような音がした。振り返ると、真っ白なふくろうが窓に佇んでいた。
「ヘドウィグ!」
ナマエが叫ぶと、ヘドウィグはナマエの腕にパタパタと舞い降りた。
「ご主人に会いにきたのか?本当に賢いなあ、おまえ」
ナマエが撫でると、ヘドウィグは満足げに目を閉じた。そのとき、ファッジが再び奥のドアから姿を現した。
慌ただしげに出口に向かい、扉の前で立ち止まった。ナマエの存在を思い出したように振り返った。
「──ああ、ナマエ。私は失礼するよ。トムが部屋に案内してくれるだろう。ハリーと仲良くしたまえ。では、また」
早口でそれだけ言うと、ナマエが口を挟む隙を与えず、ファッジはそのままパブを出て行った。
今度はトムがにこにこしながら近寄ってきた。
「どうぞこちらへ。ポッター様は先にお部屋にいらっしゃいますよ」
そう言ってトムはナマエの荷物を浮かせて運んだ。ナマエはトムのあとについてしゃれた木の階段を上り、「11」と書いた真鍮の表示のある部屋の前に来た。トムが扉をノックすると、部屋からハリーが出てきた。
「ナマエ、──ヘドウィグ!」
ハリーは驚いた。
雪のようなふくろうが嘴をカチカチ鳴らし、ナマエからハリーの腕にハタハタと飛び移った。
「ヘドウィグはさっき着いたんだ。──トム、自分でやるよ、ありがとう」
ナマエはトムから自分のトランクを受け取ると、トムは一礼して階段を降りて行った。
部屋には寝心地のよさそうなベッドが二台と、磨き上げた樫材の家具が置かれていた。
ナマエはトランクをベッドの脇に置いて、片方のベッドに沈み込んだ。どっと疲労が押し寄せ、目を閉じて大きく息をついた。
「……ハリー、大臣と何の話をしてたんだ?」
ナマエは目を閉じたまま問いかけたが、返事はなかった。重い瞼を上げ、ハリーのいる方を見ると、メガネもはずさずに枕にコトンと倒れて眠りこんでいた。
ヘドウィグはベッドの柱にとまって「ホー」と鳴いた。
ナマエは立ち上がってハリーのベッドに近寄った。すうすうと寝息を立てるハリーから、メガネをそっと外してサイドテーブルに置き、まじまじとその顔を観察した。──額に稲妻型の傷がある。ハリーが有名な理由、例のあの人から受けた傷だ。ナマエはなんとなく、その傷を人差し指でそっとなぞった。
「──いっ!?」
ナマエは思わず手を引っ込めて飛びのいた。まじまじと自分の指先を見た。明らかに、ハリーの傷に触れた瞬間に、刺すような痛みが走った。
ハリーがもぞもぞと動いたので、ナマエは思わずハリーに触れた方の手を後ろに隠した。
「……うぅ……」
ハリーがぎゅっと険しい顔で呻いた。しかし、目を覚ますことはなく、再び規則正しい寝息を立て始めた。
ナマエはわけがわからず、かといってこれ以上考える気力も残っていなかった。
ナマエは自分のベッドに突っ伏して、ハリーと同じく眠気に身を任せた。
翌朝、二人は「漏れ鍋」のカウンターに並んで、トムが用意してくれた朝食を食べていた。ハリーは興味深そうに他の宿泊客を眺めていた。
ナマエはそんなハリーの横顔を見ていた。相変わらず、額に稲妻型の傷があった。
──この傷には、やはりなにか特別な魔法がかかっているんだろうか。ナマエがハリーの額を見つめていると、ハリーが振り返った。ナマエはふいっと目を逸らしてごまかすように話し出した。
「──『マグルの街へ出るな』、だなんて……せっかく、ハリーにいろいろ教えてもらおうと思ったのに」
ナマエはそう言ってトーストをかじった。
「マグルの街よりこっちの方がずっとおもしろいよ。ナマエはここに泊まったことがあるの?」
ハリーが問いかけると、ナマエの代わりにカウンターからトムが出てきて答えた。
「ええ、それはもう、こんなに小さい時から」
トムが自分の太ももあたりを手のひらで示した。
「初めていらしたときは、慌ててお父上にふくろうを飛ばしたものです」
トムがにっこり微笑み、ハリーがクスッと笑った。ナマエはハリーの皿から残っていたベーコンを取り上げて口に放った。
「もう、やめてくれよ──ごちそうさま。ハリー、部屋に戻ろう」
ナマエが席を立つとハリーもそれに倣った。
◆◆◆◆
ハリーはナマエについて階段を登って自室に戻った。ハリーが扉を閉めると、ナマエがハリーを振り返った。口元は笑みを堪えているようだった。
「なあ、ハリー。聞いて欲しいことがあるんだ。あんたにだけ話すんだぜ。あんたは命の恩人だから……」
「それ、やめてってば」
ナマエはこの言い回しが気に入っているらしかった。ハリーはふと思いついたことを口に出した。
「──ねえ、命の恩人の頼みで、宿題を代わりにやってくれる?」
「それは、あんたのためにならないからだめだ」
ナマエはぴしゃりと、ハーマイオニーが言いそうなことを言った。
「それより俺、見せたいものがあるんだ──誰にも内緒だぞ」
「何?」
ナマエはハリーに顔を近づけて、耳元で囁いた。
「──俺、
「え?」
ハリーがナマエの顔を見ながらぽかんと聞き返すと、ナマエは笑って離れた。
「いつ見せてやろうかとうずうずしてたんだよ!」
突然、ハリーの頭にある考えが浮かんだ。
「ねえ、それって、君……もしかして、犬だったりする?黒くて、大きい犬」
「いいや、違う。……俺、犬っぽいのか?」
ナマエはそう言って窓を開け放った。
ナマエは自分を落ち着かせるように深呼吸してから、窓に向かって走り出した。
ナマエがたんっと窓枠に足をかけて、外に飛び出した。ハリーは「あっ」と小さく悲鳴を上げて窓に駆け寄った。ナマエは真っ逆さまに地面に落ちたかと思うと、瞬きするうちに体が小さくなり、まっすぐな球になって飛び上がった。
「鳥だ……」
黒地に白い羽を持つ小さな鳥は、そのまま大きく旋回して再びハリーのいる部屋へと舞い戻って、突然鳥になったのと同じように、また突然人間の姿に戻った。
「な!カササギだ!すごいだろ!誰かに見せたかったんだ、なあ、でも、誰にも言うなよ!」
ナマエは興奮してハリーに捲し立てた。
「すごいよ、どうやって?君、黒いスニッチみたいだった」
「はあ?このクィディッチ馬鹿」
ハリーとナマエは目を合わせて吹き出した。
「君って……鳥だから、ヘドウィグに好かれるのかな」
「いいや、違うね。ハーマイオニーが言ってたけど、俺は女の子に人気があるんだよ」
ナマエは冗談ぽく笑って、「なっ、ヘドウィグ」とヘドウィグに向かって言ったが、ヘドウィグは身じろぎもせずに無視した。
ナマエは肩をすくめて自分のベッドの上であぐらをかいた。ハリーもベッドに腰掛けた。
「な、ハリー。さっき俺に『犬じゃないのか』って聞いただろ。あれはどういう意味で?」
「いや……この間、大きな黒い犬がいて──なんだか見られてるような気がしたんだ」
「大きな黒い犬……」
ハリーの言葉を聞いて、ナマエは口元に手を当てた。
「黒い犬……それを見たのは、墓場か?」
「いいや、マグルの街で──垣根とガレージの間にいたんだ。僕を見ていたような気がする………どうして墓場かなんて聞くの?」
ナマエは杖を振って一冊の本を呼び寄せた。
「──こんな生き物か?」
ナマエは呼び寄せた本の表紙をハリーに見せた。目をぎらつかせた、クマほどもある大きな黒い犬の絵だ。気味が悪いほど見覚えがある。本のタイトルは、「死の前兆──最悪の事態が来ると知ったとき、あなたはどうするか」とあった。
「そう、そうだ!この生き物だ!これ、なに?」
「こいつは、グリムだ」
「グリムって?」
ナマエはじっとハリーを見た。ナマエがハリーを見るとき、いつもは真っ直ぐに目を見るのに、一瞬額の傷に目線が動いたような気がした。
「──グリムは……死神犬だ。墓場の亡霊犬。最も不吉なことの前兆」
「最も不吉なこと……」
「まあ、でも、ただの野犬かも」
ナマエは取り繕うように笑っていたが、ハリーはナマエの持っている本の表紙に目が釘付けになっていた。
「ナマエは見たことある?」
「ない。というか、ほとんどおとぎ話だと思うぜ」
ナマエはポイとトランクに本を投げ入れた。
「じゃあなんで、そんな本を持ってるんだい?」
「占い学を選択するか迷ってたんだ。それでいくつか予習してみた。教科書の本と、そのおっそろしい本……あと、『予知不能を予知する』とか──」
ナマエが指折り数えながら言った。
「──でも、やっぱりやめた。なんていうか、合わない。だって、バカバカしいと思わないか?紅茶のカップの底を見ると未来がわかるなんて」
「知らないよ、予習なんてするのは君とハーマイオニーくらいだ」
ハリーはとくに褒めたつもりはなかったが、ナマエはなぜか嬉しそうにふふっと笑った。
ハリーがベッドから降りて、ナマエがトランクに放った本に手を伸ばすと、ナマエが忠告した。
「──読まないほうがいいぞ。死ぬほど怖いし、俺は夜中にトイレの付き添いなんかしないからな」