アズカバンの囚人
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ルーピンとナマエの目があった瞬間、二本の杖が動いた。
「エクスペリアームス!武器よ去れ!」
「プロテゴ、護れ!」
ルーピンの呪文はハリーの持っていた杖とハーマイオニーが持っていた杖を飛ばし、ルーピンの手の中に収まった。ナマエは間一髪、ルーピンの呪文を防いだ。
ルーピンは驚いたような感心したようなため息をついてから、シリウスに目を向けた。
ナマエは杖を構えたまま、ちらりとロンを見た。まだスキャバーズはロンの手の中にあった
ナマエはルーピンの挙動に注意を払いながらじり、とロンに一歩近づくと、ルーピンはシリウスをじっと見つめたまま言った。
「──シリウス、あいつがいるんだな?お前とあいつは、入れ替わったんだな?」
ナマエははっとした。ルーピン先生も、ペテグリューを知っているそぶりだった。
「ルーピン先生!一体なにが──」
ハリーが大声で割って入ったが、問いが途切れた。目の前で起こったことが、ハリーの声を喉元で押し殺してしまったからだ。ルーピンがかまえた杖を下ろした。次の瞬間、ルーピンはブラックのほうに歩いていき、手を取って助け起こした。そして、兄弟のようにブラックを抱きしめたのだ。
「何てことなの!」
ハーマイオニーが叫んだ。ルーピンはブラックを離し、ハーマイオニーを見た。ハーマイオニーは床から腰を上げ、目をランランと光らせ、ルーピンを指差した。
「信じていたのに!信じていたから誰にも言わなかったわ──貴方がブラックを手引きしていたのね!」
「違う、聞いてくれ」
「先生は狼人間なのよ!!」
ハーマイオニーの言葉にナマエは驚いたが、なるほどと合点がいった。──スネイプの薬は、脱狼薬だったのか。
しかし、ハーマイオニーの告発は場にさらなる混乱を招いた。
ナマエは意を決し、杖を上げてロンに向けた。できる限り杖先に集中して、口を開いた。それを見たロンは目を丸くして叫んだ。
「ナマエ!何を──」
「アクシオ!──ピーター・ペテグリュー!」
ナマエが叫ぶと、ロンのスキャバーズが真っ直ぐにナマエの手に飛び込んできた。
「やった……こいつがピーターか、シリウス!」
「そうだ!!ピーター・ペテグリュー!」
全員がネズミを見つめて静まり返った。シリウスだけが吠えるように笑った。
ネズミは狂ったように暴れ、ナマエの手に噛みつき、引っ掻き回した。ナマエはぎゅっと指に力を込めて耐えた。
「ピーターなんかじゃない。そいつはスキャバーズだ!」
ロンが叫んだ。ハリーも言った。
「ペティグリューが死んだのを見届けた証人がいるんだ!通りにいた人たちが大勢……」
「見てはいない。見たと思っただけだ」
ナマエの手の中でジタバタしているスキャバーズから目を離さずに、シリウスが荒々しく言った。ルーピンが頷いた。
「私自身もそう信じていた──今夜地図を見るまではね。『忍びの地図』はけっして嘘はつかないから……ピーターは生きている。ナマエがあいつを握っているんだよ、ハリー」
ルーピンは言いながらナマエを見た。ナマエがカササギの姿でもルーピンに見つかったのは、その地図のせいだったらしい。ルーピンはナマエを見てあらためて言った。
「私も説明してほしいことはたくさんある」
ナマエが口を開こうとすると、ハーマイオニーが震えながら冷静を保とうとして切り出した。
「──でも、先生?ご存知のはずです。『動物もどき』は、今世紀にはたった七人しか、魔法省に登録されていません。私、宿題で調べたことがあります。ペテグリューはそのリストにありませんでした」
ナマエはなんとなくハーマイオニーから目を逸らすと、ルーピンは笑い出した。
「またしても正解だ、ハーマイオニー。でも、魔法省は、未登録の『動物もどき』が三匹、ホグワーツを徘徊していたことを知らなかったのだ」
「その話をみんなに聞かせるつもりなら、リーマス、さっさとすませてくれ」
シリウスは苛立った声で急かした。目だけは、ナマエの手の中でもがきつづけるネズミを捉えていた。
──ルーピンが狼人間に噛まれたのはホグワーツ入学前だった。ダンブルドアの取り計らいで、狼人間になる間は暴れ柳からこの「呪いの屋敷」に移り、満月の夜をしのいでいた。それに気がついたハリーの父、ジェームズとシリウス、そしてピーターは「動物もどき」になることで、満月の夜を友と過ごしたのだという。
ルーピンは、ダンブルドアの信頼に背いて友と校庭を駆けた日々を、罪悪感と充実感の混じった切実な声で語った。
「──三人がようやく動物もどきになったのは五年生のころだった。狼人間が噛むのは人間だけだ。だから私は変身している間、動物に変身した友と過ごすことができた」
ルーピンは微かにナマエに笑いかけた。シリウスは殺気だった声で「リーマス、早くしてくれ」と続きを促した。
「──全く、聞くに絶えない……虫唾が走る思い出話だ」
突然、ルーピンの背後の壁のあたりから、冷たい嘲るような声がした。セブルス・スネイプが「透明マント」を脱ぎ捨て、杖をぴたりとルーピンに向けて立っていた。
「エクスペリアームス!武器よ去れ!」
「プロテゴ、護れ!」
ルーピンの呪文はハリーの持っていた杖とハーマイオニーが持っていた杖を飛ばし、ルーピンの手の中に収まった。ナマエは間一髪、ルーピンの呪文を防いだ。
ルーピンは驚いたような感心したようなため息をついてから、シリウスに目を向けた。
ナマエは杖を構えたまま、ちらりとロンを見た。まだスキャバーズはロンの手の中にあった
ナマエはルーピンの挙動に注意を払いながらじり、とロンに一歩近づくと、ルーピンはシリウスをじっと見つめたまま言った。
「──シリウス、あいつがいるんだな?お前とあいつは、入れ替わったんだな?」
ナマエははっとした。ルーピン先生も、ペテグリューを知っているそぶりだった。
「ルーピン先生!一体なにが──」
ハリーが大声で割って入ったが、問いが途切れた。目の前で起こったことが、ハリーの声を喉元で押し殺してしまったからだ。ルーピンがかまえた杖を下ろした。次の瞬間、ルーピンはブラックのほうに歩いていき、手を取って助け起こした。そして、兄弟のようにブラックを抱きしめたのだ。
「何てことなの!」
ハーマイオニーが叫んだ。ルーピンはブラックを離し、ハーマイオニーを見た。ハーマイオニーは床から腰を上げ、目をランランと光らせ、ルーピンを指差した。
「信じていたのに!信じていたから誰にも言わなかったわ──貴方がブラックを手引きしていたのね!」
「違う、聞いてくれ」
「先生は狼人間なのよ!!」
ハーマイオニーの言葉にナマエは驚いたが、なるほどと合点がいった。──スネイプの薬は、脱狼薬だったのか。
しかし、ハーマイオニーの告発は場にさらなる混乱を招いた。
ナマエは意を決し、杖を上げてロンに向けた。できる限り杖先に集中して、口を開いた。それを見たロンは目を丸くして叫んだ。
「ナマエ!何を──」
「アクシオ!──ピーター・ペテグリュー!」
ナマエが叫ぶと、ロンのスキャバーズが真っ直ぐにナマエの手に飛び込んできた。
「やった……こいつがピーターか、シリウス!」
「そうだ!!ピーター・ペテグリュー!」
全員がネズミを見つめて静まり返った。シリウスだけが吠えるように笑った。
ネズミは狂ったように暴れ、ナマエの手に噛みつき、引っ掻き回した。ナマエはぎゅっと指に力を込めて耐えた。
「ピーターなんかじゃない。そいつはスキャバーズだ!」
ロンが叫んだ。ハリーも言った。
「ペティグリューが死んだのを見届けた証人がいるんだ!通りにいた人たちが大勢……」
「見てはいない。見たと思っただけだ」
ナマエの手の中でジタバタしているスキャバーズから目を離さずに、シリウスが荒々しく言った。ルーピンが頷いた。
「私自身もそう信じていた──今夜地図を見るまではね。『忍びの地図』はけっして嘘はつかないから……ピーターは生きている。ナマエがあいつを握っているんだよ、ハリー」
ルーピンは言いながらナマエを見た。ナマエがカササギの姿でもルーピンに見つかったのは、その地図のせいだったらしい。ルーピンはナマエを見てあらためて言った。
「私も説明してほしいことはたくさんある」
ナマエが口を開こうとすると、ハーマイオニーが震えながら冷静を保とうとして切り出した。
「──でも、先生?ご存知のはずです。『動物もどき』は、今世紀にはたった七人しか、魔法省に登録されていません。私、宿題で調べたことがあります。ペテグリューはそのリストにありませんでした」
ナマエはなんとなくハーマイオニーから目を逸らすと、ルーピンは笑い出した。
「またしても正解だ、ハーマイオニー。でも、魔法省は、未登録の『動物もどき』が三匹、ホグワーツを徘徊していたことを知らなかったのだ」
「その話をみんなに聞かせるつもりなら、リーマス、さっさとすませてくれ」
シリウスは苛立った声で急かした。目だけは、ナマエの手の中でもがきつづけるネズミを捉えていた。
──ルーピンが狼人間に噛まれたのはホグワーツ入学前だった。ダンブルドアの取り計らいで、狼人間になる間は暴れ柳からこの「呪いの屋敷」に移り、満月の夜をしのいでいた。それに気がついたハリーの父、ジェームズとシリウス、そしてピーターは「動物もどき」になることで、満月の夜を友と過ごしたのだという。
ルーピンは、ダンブルドアの信頼に背いて友と校庭を駆けた日々を、罪悪感と充実感の混じった切実な声で語った。
「──三人がようやく動物もどきになったのは五年生のころだった。狼人間が噛むのは人間だけだ。だから私は変身している間、動物に変身した友と過ごすことができた」
ルーピンは微かにナマエに笑いかけた。シリウスは殺気だった声で「リーマス、早くしてくれ」と続きを促した。
「──全く、聞くに絶えない……虫唾が走る思い出話だ」
突然、ルーピンの背後の壁のあたりから、冷たい嘲るような声がした。セブルス・スネイプが「透明マント」を脱ぎ捨て、杖をぴたりとルーピンに向けて立っていた。