アズカバンの囚人
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ナマエは日の出より早くに目覚めた。まだ暗くて肌寒い。今日はクィディッチのグリフィンドール対スリザリンの試合がある。大きく伸びをして頭を覚ました。試合のために観戦のためにほとんど城中の人間が競技場に出る。ネズミ探しにぴったりの日だ。
ナマエはこっそり城を抜け出して、鳥の姿で校庭へと向かった。
暴れ柳の木のそばをクルックシャンクスとシリウスが歩いているのが見えた。ナマエは二匹を見つけると一声鳴いて降り立った。
ナマエはあたりに誰もいないことを確認して、人の姿に戻った。すると、シリウスとクルックシャンクスがとことこやってきた。ナマエは二匹の前にしゃがみこみ、声をひそめた。
「今の俺の考えだけど──」
ナマエは狙いを城外に絞っていた。城内ではいざという時に逃げづらいし、ロンたちにみつかってしまう可能性がある。クルックシャンクスもいる。となると、ホグワーツの敷地内で、城以外の雨風がしのげる場所を探すべきだと考えた。さらに、いざシリウスと対峙したときに、誰かが守ってくれるような場所──ナマエは犬と猫に自分の考えを説明して、シリウスに目をやった。
「──なあ、ペテグリューはあんたが動物もどきだと知ってるんじゃないのか?そうなら、あんたにはおとりになって欲しいんだけど」
シリウスは不思議そうに頭をこてんと傾げた。ナマエはその仕草をついかわいいと思ってしまい、一瞬口元がゆるんだが、咳払いをして真面目な顔をした。
「──誘導したいんだ。だから、それ以外の場所をうろついていてほしい」
ナマエは二匹に作戦を耳打ちし、犬と猫は走り去った。
「もういいよ」
ナマエがじっとおとなしい暴れ柳を撫でると、枝が震えてまた動き始めた。
いつのまにか登っていた朝日が目に沁みた。ナマエは再びカササギになって城の周りを一周した。
しばらくすると、競技場から歓声が聞こえ始めた。ナマエは競技場に向かうことにした。
マイケル、テリー、アンソニーを見つけると、ナマエは人ごみを掻き分けて隣に座った。三人はナマエが来たことにも気づかない様子で試合に見入っていた。
みんなの視線を追うと、なんとマルフォイがハリーの箒にしがみついていた。
スリザリンからは歓声が、それ以外からは怒涛のブーイングが沸き起こった。ナマエはマルフォイのなりふり構わない姿に、もはや感心していた。
マルフォイが突然方向転換した。スニッチを見つけたのだ。
目にも止まらぬ速さでマルフォイとハリーが加速した。だんだんとハリーがマルフォイに追いついて、二人が並んだ──。
競技場が爆発した。
ハリーが腕を突き上げると、指の隙間から金色の羽が見えた。グリフィンドールチームが次々とハリーのもとに集まり、抱き合ったり笑い合ったりしていた。グリフィンドールが優勝したのだ。
腕を絡ませ、もつれあい、叫びながらハリーたちは地上に降下していった。
深紅の応援団が柵を乗り越えて波のようにピッチになだれ込み、ハリーの姿は見えなくなった。
「──なんだ、ナマエ!いたのか」
ようやくピッチから目を離したマイケルがナマエに気がついた。
「この試合を見逃してたら、絶対後悔してたぜ!」
「ファイアボルトはすごい、いや、ハリーは本当にいい飛びっぷりだった」
テリーとアンソニーも口々に言った。ナマエは頷いた。自分が箒であんな飛行をすることは到底無理だろうと思った。
ダンブルドアから優勝杯を渡されたハリーは、大勢に囲まれていた。ナマエはその様子を遠巻きに眺めながら競技場から出ようとしていると、不意にハリーと目が合った。
ハリーはナマエを見るなり人垣をかき分けてこちらに向かってきた。ナマエは驚きと嬉しさでその場に固まって、ぎこちなく声を出した。
「ハリー、おめでと──」
「君、今朝どこにいたの?」
ナマエの言葉を遮って、ハリーは言った。
「──えっ?」
「僕は君が動物もどきだと知ってる。君は今朝、死神犬といたじゃないか」
ハリーは苛立って捲し立てた。ナマエは「まずい」と思った。ハリーの表情で、それが顔に出ていたことを悟った。
「君は僕に何を隠してるの?」
──もうすぐ、あと少しでペテグリューを捕まえられるのに。
ハリーの後ろで、グリフィンドールの生徒の群れが不思議そうにハリーとナマエを眺めていた。フレッドとジョージが囃し立てるように口笛を鳴らしまくっていた。
「ごめん……ハリー、今はまだ説明できない。絶対に話すから、待ってくれ」
ナマエはハリーの明るい緑色の瞳を真剣に見つめた。どうか伝わってほしいと願った。
ハリーは一瞬目を閉じて、返事はせずにグリフィンドールの生徒たちの群れに戻っていった。ナマエはほっと胸を撫で下ろした。
息をつく間も無く、テスト期間がやって来た。ナマエは、忙しくしていた割にはかなり良い出来だと思った。「マグル学」では夏休みに使った公衆電話について事細かに記載できたし、「魔法薬学」はスネイプの不服そうな顔が「良い点数」だと物語っていた。しかし、「闇の魔術に対する防衛術」だけは悔いが残った。ルーピン先生の試験はかなり独特で、戸外での障害物競走のようなもので、水魔のグリンデローが入った深いプールを渡り、赤帽のレッドキャップがいっぱいひそんでいる穴だらけの場所を横切り、道に迷わせようと誘う、おいでおいで妖怪のヒンキーパンクをかわして沼地を通り抜け、最後に、最近捕まったまね妖怪、ボガートが閉じ込められている大きなトランクに入り込んで戦うというものだった。
ナマエは「リディクラス」の呪文を成功させたことがなかった。自分が何を恐怖しているかわかった今なお、それを笑い飛ばす方法がわからなかった。
ナマエが暗い顔でトランクから出てくると、ルーピンは優しく励ました。
「よくやった、ほとんど完璧だったよ」
「でも、ほとんどです」
ナマエは眉を下げた。背後のトランクからテリーのボガートがバンシーの叫び声を上げているのが聞こえた。
アンソニーたちと試験の結果を話しながら城に戻っていると、正面玄関の階段のてっぺんに見慣れない二人の魔法使いが現れた。一人はヨボヨボで、見ている目の前で萎び果てていくような大年寄り、もう一人は真っ黒な細い口髭を生やした、ガッチリと大柄の魔法使いだ。その後ろから、さらに大きなハグリッドが現れた。それを見て、ナマエはこの二人は「危険生物処理委員会」の委員たちなのだろうと思った。
ハグリッドの顔はぐしゃぐしゃで、泣きながら何度も頭を下げていた。ナマエが怪訝に思っていると、ハグリッドがこちらに気がついた。
「ナマエ!」
アンソニーたちは「占い学」の試験に向かっていったので、ナマエはハグリッドに駆け寄った。
「ハグリッド、控訴は──」
ナマエが遠慮がちに聞くと、ハグリッドは満面の笑みで答えた。
「ああ、ああ、さっき終わったとこだ!バックビークは助かった!」
ナマエは面食らった。てっきり、バックビークの処刑が決まったのかと思ったのだ。
「えっ?本当か?」
「なんでも、恐らくだが、信じられんことだが、ルシウスのやつが手を引いた」
「なんだって?」
ナマエはさらに驚いて目を丸くした。同時にドラコの顔が頭をよぎった。本当にドラコが父親に申し出たのだろうか?ヒッポグリフの処刑をやめるようにと?
「お前さんたちには感謝しかねえ、本当にありがとうよ。──しかし、バックビークはこの学校の敷地内では飼えんことになった。寂しい思いをせんとええが……」
「本当によかった!ハグリッド、今から俺も小屋に行ってもいいか?試験がちょうど全部終わったんだ」
「ああ、もちろんだとも!」
ハグリッドは頷いて、嬉し涙で濡れた顔を拭った。
二人がハグリッドの小屋に向かうと、小屋のそばに鎖で繋がれたバックビークがのんびり眠っていた。
「最後に外の空気を吸わせてやろうと思うてたんだ……よかった……本当に……」
ハグリッドは、バックビークの寝顔を見てまた鼻を啜った。
小屋に入ると、中は荒れ果てていた。樽のような大きなジョッキからアルコールの匂いがぷんぷんしていた。
ナマエは素早く辺りを見渡した。ナマエは、ハグリッドの小屋こそ、スキャバーズが身を隠すのにうってつけの場所だと考えていた。
しかし、ファングのほかに動くものの気配はなかった。ナマエはハグリッドに促されるまま椅子に腰を下ろし、目の前に紅茶が注がれるのを待った。ふと、ナマエはあることを思い出した。
「ハグリッド、聞きたいことがあるんだけど」
「なんだ?」
「ハグリッドは俺の父親と知り合いなんだろ?それで──」
「待て待て、誰がそう言うたんだ?」
ナマエから父親という言葉が出た途端、ハグリッドは紅茶を盛大にこぼした。
「えっと、ごめん。三本の箒で話してるのを見ちゃった」
「ああ──そうか、そうか……」
ハグリッドは隠し事がとても下手だった。ナマエは畳み掛けることにした。
「なぜ隠すんだ、ハグリッド」
「お前さんの父親に口止めされちょる。あまり息子に構わんでくれってな。だが誤解するな、ナマエ──」
ハグリッドが言い終わらないうちに、ナマエの腕が咄嗟に動いていた。
「ペトリフィカス・トタルス!」
ハグリッドは驚いて立ち上がった。ナマエの杖先から放たれた呪文が、棚の植木鉢あたりに命中した。
ナマエは急いで駆け寄った。間違いなく、スキャバーズだ──指の欠けた、みすぼらしいネズミが石になっていた。
ナマエはこっそり城を抜け出して、鳥の姿で校庭へと向かった。
暴れ柳の木のそばをクルックシャンクスとシリウスが歩いているのが見えた。ナマエは二匹を見つけると一声鳴いて降り立った。
ナマエはあたりに誰もいないことを確認して、人の姿に戻った。すると、シリウスとクルックシャンクスがとことこやってきた。ナマエは二匹の前にしゃがみこみ、声をひそめた。
「今の俺の考えだけど──」
ナマエは狙いを城外に絞っていた。城内ではいざという時に逃げづらいし、ロンたちにみつかってしまう可能性がある。クルックシャンクスもいる。となると、ホグワーツの敷地内で、城以外の雨風がしのげる場所を探すべきだと考えた。さらに、いざシリウスと対峙したときに、誰かが守ってくれるような場所──ナマエは犬と猫に自分の考えを説明して、シリウスに目をやった。
「──なあ、ペテグリューはあんたが動物もどきだと知ってるんじゃないのか?そうなら、あんたにはおとりになって欲しいんだけど」
シリウスは不思議そうに頭をこてんと傾げた。ナマエはその仕草をついかわいいと思ってしまい、一瞬口元がゆるんだが、咳払いをして真面目な顔をした。
「──誘導したいんだ。だから、それ以外の場所をうろついていてほしい」
ナマエは二匹に作戦を耳打ちし、犬と猫は走り去った。
「もういいよ」
ナマエがじっとおとなしい暴れ柳を撫でると、枝が震えてまた動き始めた。
いつのまにか登っていた朝日が目に沁みた。ナマエは再びカササギになって城の周りを一周した。
しばらくすると、競技場から歓声が聞こえ始めた。ナマエは競技場に向かうことにした。
マイケル、テリー、アンソニーを見つけると、ナマエは人ごみを掻き分けて隣に座った。三人はナマエが来たことにも気づかない様子で試合に見入っていた。
みんなの視線を追うと、なんとマルフォイがハリーの箒にしがみついていた。
スリザリンからは歓声が、それ以外からは怒涛のブーイングが沸き起こった。ナマエはマルフォイのなりふり構わない姿に、もはや感心していた。
マルフォイが突然方向転換した。スニッチを見つけたのだ。
目にも止まらぬ速さでマルフォイとハリーが加速した。だんだんとハリーがマルフォイに追いついて、二人が並んだ──。
競技場が爆発した。
ハリーが腕を突き上げると、指の隙間から金色の羽が見えた。グリフィンドールチームが次々とハリーのもとに集まり、抱き合ったり笑い合ったりしていた。グリフィンドールが優勝したのだ。
腕を絡ませ、もつれあい、叫びながらハリーたちは地上に降下していった。
深紅の応援団が柵を乗り越えて波のようにピッチになだれ込み、ハリーの姿は見えなくなった。
「──なんだ、ナマエ!いたのか」
ようやくピッチから目を離したマイケルがナマエに気がついた。
「この試合を見逃してたら、絶対後悔してたぜ!」
「ファイアボルトはすごい、いや、ハリーは本当にいい飛びっぷりだった」
テリーとアンソニーも口々に言った。ナマエは頷いた。自分が箒であんな飛行をすることは到底無理だろうと思った。
ダンブルドアから優勝杯を渡されたハリーは、大勢に囲まれていた。ナマエはその様子を遠巻きに眺めながら競技場から出ようとしていると、不意にハリーと目が合った。
ハリーはナマエを見るなり人垣をかき分けてこちらに向かってきた。ナマエは驚きと嬉しさでその場に固まって、ぎこちなく声を出した。
「ハリー、おめでと──」
「君、今朝どこにいたの?」
ナマエの言葉を遮って、ハリーは言った。
「──えっ?」
「僕は君が動物もどきだと知ってる。君は今朝、死神犬といたじゃないか」
ハリーは苛立って捲し立てた。ナマエは「まずい」と思った。ハリーの表情で、それが顔に出ていたことを悟った。
「君は僕に何を隠してるの?」
──もうすぐ、あと少しでペテグリューを捕まえられるのに。
ハリーの後ろで、グリフィンドールの生徒の群れが不思議そうにハリーとナマエを眺めていた。フレッドとジョージが囃し立てるように口笛を鳴らしまくっていた。
「ごめん……ハリー、今はまだ説明できない。絶対に話すから、待ってくれ」
ナマエはハリーの明るい緑色の瞳を真剣に見つめた。どうか伝わってほしいと願った。
ハリーは一瞬目を閉じて、返事はせずにグリフィンドールの生徒たちの群れに戻っていった。ナマエはほっと胸を撫で下ろした。
息をつく間も無く、テスト期間がやって来た。ナマエは、忙しくしていた割にはかなり良い出来だと思った。「マグル学」では夏休みに使った公衆電話について事細かに記載できたし、「魔法薬学」はスネイプの不服そうな顔が「良い点数」だと物語っていた。しかし、「闇の魔術に対する防衛術」だけは悔いが残った。ルーピン先生の試験はかなり独特で、戸外での障害物競走のようなもので、水魔のグリンデローが入った深いプールを渡り、赤帽のレッドキャップがいっぱいひそんでいる穴だらけの場所を横切り、道に迷わせようと誘う、おいでおいで妖怪のヒンキーパンクをかわして沼地を通り抜け、最後に、最近捕まったまね妖怪、ボガートが閉じ込められている大きなトランクに入り込んで戦うというものだった。
ナマエは「リディクラス」の呪文を成功させたことがなかった。自分が何を恐怖しているかわかった今なお、それを笑い飛ばす方法がわからなかった。
ナマエが暗い顔でトランクから出てくると、ルーピンは優しく励ました。
「よくやった、ほとんど完璧だったよ」
「でも、ほとんどです」
ナマエは眉を下げた。背後のトランクからテリーのボガートがバンシーの叫び声を上げているのが聞こえた。
アンソニーたちと試験の結果を話しながら城に戻っていると、正面玄関の階段のてっぺんに見慣れない二人の魔法使いが現れた。一人はヨボヨボで、見ている目の前で萎び果てていくような大年寄り、もう一人は真っ黒な細い口髭を生やした、ガッチリと大柄の魔法使いだ。その後ろから、さらに大きなハグリッドが現れた。それを見て、ナマエはこの二人は「危険生物処理委員会」の委員たちなのだろうと思った。
ハグリッドの顔はぐしゃぐしゃで、泣きながら何度も頭を下げていた。ナマエが怪訝に思っていると、ハグリッドがこちらに気がついた。
「ナマエ!」
アンソニーたちは「占い学」の試験に向かっていったので、ナマエはハグリッドに駆け寄った。
「ハグリッド、控訴は──」
ナマエが遠慮がちに聞くと、ハグリッドは満面の笑みで答えた。
「ああ、ああ、さっき終わったとこだ!バックビークは助かった!」
ナマエは面食らった。てっきり、バックビークの処刑が決まったのかと思ったのだ。
「えっ?本当か?」
「なんでも、恐らくだが、信じられんことだが、ルシウスのやつが手を引いた」
「なんだって?」
ナマエはさらに驚いて目を丸くした。同時にドラコの顔が頭をよぎった。本当にドラコが父親に申し出たのだろうか?ヒッポグリフの処刑をやめるようにと?
「お前さんたちには感謝しかねえ、本当にありがとうよ。──しかし、バックビークはこの学校の敷地内では飼えんことになった。寂しい思いをせんとええが……」
「本当によかった!ハグリッド、今から俺も小屋に行ってもいいか?試験がちょうど全部終わったんだ」
「ああ、もちろんだとも!」
ハグリッドは頷いて、嬉し涙で濡れた顔を拭った。
二人がハグリッドの小屋に向かうと、小屋のそばに鎖で繋がれたバックビークがのんびり眠っていた。
「最後に外の空気を吸わせてやろうと思うてたんだ……よかった……本当に……」
ハグリッドは、バックビークの寝顔を見てまた鼻を啜った。
小屋に入ると、中は荒れ果てていた。樽のような大きなジョッキからアルコールの匂いがぷんぷんしていた。
ナマエは素早く辺りを見渡した。ナマエは、ハグリッドの小屋こそ、スキャバーズが身を隠すのにうってつけの場所だと考えていた。
しかし、ファングのほかに動くものの気配はなかった。ナマエはハグリッドに促されるまま椅子に腰を下ろし、目の前に紅茶が注がれるのを待った。ふと、ナマエはあることを思い出した。
「ハグリッド、聞きたいことがあるんだけど」
「なんだ?」
「ハグリッドは俺の父親と知り合いなんだろ?それで──」
「待て待て、誰がそう言うたんだ?」
ナマエから父親という言葉が出た途端、ハグリッドは紅茶を盛大にこぼした。
「えっと、ごめん。三本の箒で話してるのを見ちゃった」
「ああ──そうか、そうか……」
ハグリッドは隠し事がとても下手だった。ナマエは畳み掛けることにした。
「なぜ隠すんだ、ハグリッド」
「お前さんの父親に口止めされちょる。あまり息子に構わんでくれってな。だが誤解するな、ナマエ──」
ハグリッドが言い終わらないうちに、ナマエの腕が咄嗟に動いていた。
「ペトリフィカス・トタルス!」
ハグリッドは驚いて立ち上がった。ナマエの杖先から放たれた呪文が、棚の植木鉢あたりに命中した。
ナマエは急いで駆け寄った。間違いなく、スキャバーズだ──指の欠けた、みすぼらしいネズミが石になっていた。